本文へスキップ

神社の登記小資料室 熊谷司法書士事務所

お問い合わせはTEL.FAX 0237-54-3612

〒995-0112 山形県村山市大字湯野沢2884番地

神社の登記の基礎資料

 神社の登記の際の基礎資料は以下の三つがあげられると思います。
1.神社備付書類
2.1の書類のうちの神社規則
3.登記事項証明書・登記簿謄本
 1の神社備付書類は毎年都道府県知事に届け出している書類のほか過去に神社庁や市町村に届け出ている書類、役員会議事録など神社で保管している資料です。
 2は神社組織の基本規定です。会社の定款にあたります。神社備付のものが原本です。都道府県にある規則は昭和26年頃に都道府県知事の認証を受けた一番最初の規則で、以降、規則変更の届出があると都道府県ではこの定款に変更の記載をしています。
 3は法務局に登記している公文書の内容証明書です。
 登記事項証明書と登記簿の記載は、通常神社からの申請に基づいて記載されています。「こんな登記はした覚えはない」と思っていたら実は責任役員会議事録に記録が残っていたり、よく分からないが頼まれたので何かの書類に代表役員印を押印したことがあった、ということはありませんか?書類の整理と印鑑の管理は重要なことです。
 では以下に神社明細帳から現在の登記事項証明書までの実例を紹介します。


神社明細帳

施設写真

 昭和21年まで神社は登記簿ではなく国の神社明細帳に登載されることにより法人と認められていました。古い登記を調べるとき、都道府県が保管している神社明細帳をみる必要が出てくるときもありますが、神社明細帳は終戦時に多くが廃棄されてしまったといわれており、神社明細帳がない都道府県もあります。また現在国文学研究資料館という施設で戦前まで文部省に保管されていた神社明細帳を閲覧することができますが、やはり保管されているのは一部の都道府県のみです。また証明書として写しを発行してもらうこともできません。神社明細帳の有無は都道府県に照会して確認します。
 左写真は国文学資料館で閲覧した神社明細帳です。著作権の関係からデータをモノクロ化してサイズも縮小し神社名などの記載は消してどの神社なのかわからないようにしてあります。それでも厳密にいえば著作権法に触れてしまうのかもしれませんが、神様のためなのでどうか見逃してください<(_ _)>。記載内容は上写真の内容のほかは境内地坪数、氏子戸数などのあっさりしたものがほとんどですが、中には境内見取図もあるもの、由緒を詳細に記したものなどもあります。登記の上で参考となるのは所在地と社格、神社名でしょうか。


「大福帳」登記簿

機器写真


 昭和21年、宗教法人令附則により神社は国の管理を離れ一般の宗教法人となりました。昭和21年2月2日当時神社明細帳に登載されていた神社は、2月2日から6カ月以内に規則を作成して地方長官に届出することにより宗教法人となりました。左記の登記簿がその時作られた法人登記簿です。期間内に届出なければその神社は解散したものとみなされました。プライバシーなどの観点から神社名などの記載は消してあります(以下同じ)。


昭和38年法人登記規則改正前の登記簿

施設写真


 その後昭和26年4月3日宗教法人法が施行されると、当時存在した宗教法人(旧宗教法人)は施行日から1年6カ月以内に規則を作製して所轄庁の認証を受け、登記することにより現在の宗教法人(新宗教法人)となりました。所定の期間に認証を受けなければ解散したものとみなされました。左記の登記簿がその当時作られた法人登記簿です。代表役員のほか責任役員も記載されていました。


「バインダー式」登記簿

機器写真


 昭和38年の法改正により登記簿は左記の登記簿のように大福帳形式から用紙が差し替え可能なバインダー方式に変更されました。また記載も縦書きから横書きに変更されています。記載の大きな変更点は昭和38年の改正により法人は代表権がある役員だけを登記することになったため責任役員の登記がなくなったことです。用紙の差し替えが可能となったことにより同じ欄の登記簿が複数ある場合があります。左下隅に丁数の記載がありますので、それで判断できます。


現在の登記事項証明書

施設写真



 左記の登記簿が現在の登記事項証明書(登記簿)です。帳簿ではなくコンピュータのデータとなりましたので、名前も「登記事項証明書」に変わっています。紙の帳簿からコンピュータのデータに変わりましたので、今では全国どこの法務局からもとられるようになりました。



熊野神社社務所内神社の登記小資料室・
熊谷司法書士事務所

〒995-0112
山形県村山市大字湯野沢2884番地
TEL 0237-54-2310
FAX 0237-54-3612