法人登記先例訓令通達質疑応答 その3 解散・清算 その他 懈怠 記載
解散・清算
新宗教法人に移行しなかった旧宗教法人登記簿は職権で閉鎖する
昭和21年8月2日をもつて解散とみなされた神杜の清算
「責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得て管長の承諾を受けなければならない。」旨の寺院規則の定めは、宗教法人法43条2項1号に規定する「解散の事由」に該当しない
登記不要な解散事由の例
新宗教法人法施行時に移行登記しない宗教法人は解散とみなされる
新宗教法人に移行せず解散した宗教法人の清算人選任登記についての受理照会
旧宗教法人は宗教法人法附則17項所定の期日に当然解散する
宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の残余財産の処分は裁判所が決定した清算人が行う
同上
旧宗教法人の主管者が承継手続をせずに死亡した場合の清算人選任方法
旧宗教法人令当時の神社が法律上当然解散した場合、所属宗派の主管者の承認は要しない
旧宗教法人登記簿に清算結了の登記をした時は新登記簿への移記は要しない
解散に関する認証書の交付とは当該認証書の到達したとき
宗教法人法附則第17項による解散は職権ではなく申請により解散清算人の登記をする
宗教法人法附則第17項による解散で代務者と見なされた者も法定清算人となる
その他
管轄外の寺院登記をした場合の抹消手続について
宗教法人が特別代理入を選任する必要が生じた場合には規則にその選任方法を定めた上で特別代理人を選任しなければならない
宗教法人は株式会社の設立発起人になることが可能
宗教法人が学校を経営している場合でも登録免許税は非課税の適用が受けられる
包括宗教団体が合併してもその名称及び宗教法人非宗教法人の別に変更がない場合は被包括宗教法人においては変更の登記を要しない
同上関連
教派、宗派叉は教団に属しなくなっても単独宗教法人として変更登記可能
認可書の認可の日付と到達した日の間が長期間であつても却下できない
所属宗派から離脱し宗派に属さない寺院となることができる
寺院が所属宗派を変更しても主管者の変更登記は不要
所属宗派が解散した寺院は単一宗教法人となり、規則変更は単独でできる
宗教法人令当時宗教法人は合併できなかった
宗教法人の登記については登録税を徴収しない理由
規則の変更の時期は認証書が到達した日
所属宗派の登記のない寺院が独立の寺院となる場合の手続
神社が所属宗派を離脱する場合主管者の承認は不要
懈怠
責任役員死亡後数カ月たって他の責任役員変更登記といっしょに死亡の登記を申請していた場合懈怠通知の対象となる
任期伸長規定がない場合は旧責任役員変更登記について懈怠が発生する
登記原因が発生しなければ懈怠も発生しない
記載
昭和21・7・5、民事甲398号民事局長回答並に通牒
代表役員たる責任役員が変更されたときの記載は「代表役員たる責任役員何某は年月日死亡(又は辞任」
同上
旧宗教法人登記簿の登記用紙はそのまま使用せずバインダー化する
前任者が宗教法人令施行規則附則第二項の規定による登記の移記をしなかった場合後任者が移記する
宗教法人登記及び神社寺院教曾財産登記取扱手続附則第8項の規定による移記年月日は予備欄に記載しない
解散・清算
新宗教法人に移行しなかった旧宗教法人登記簿は職権で閉鎖する592旧宗教法人の移記をなさざる登記簿の閉鎖処理について
(昭和27年7月18日附日記(登)第289号山形地方法務局長問合、同年同月28日附民事甲第1098号民事局長回答
旧宗教法人は宗教法人法附則第5項又は第6項の規定により新宗教法人となるための設立の登記がなされた場合同附則第19項により登記官吏は職権で当該旧宗教法人の登記用紙を閉鎮しなければならないのであるが、この場合旧宗教法人令施行規則第2項の移記をなさざる旧宗教法人については、旧宗教法人登記及神社寺院教会財産登記取扱手続附則第7項の移記を要せずして直ちに閉鎖の処理をなし差しつかえないでしようか至急何分の御指示を願います。
(回答)
7月18日附日記(登)第289号で問い合せのあつた標記の件は、貴見の通りと解する。
昭和21年8月2日をもつて解散とみなされた神杜の清算2318 宗教法人とみなされた神社の清算について
(昭和36年11月2日付庶発第1888号神社本庁事務総長照会、同36年12月5日付民事甲第3000号民事局長回答)
(照会)
宗教法人令附則(昭和21年勅令第70号)第4項の定によつて、昭和21年8月2日をもつて解散とみなされた神杜は、現在においても宗教法人令に因る清算法人として取扱われるものと思うが、これらの神杜には、規則及び法人登記の制度が現実には適用されなかった関係もあつて、その取扱上疑義があるので、次の点について御教示下さるようお願いします。
記
一、法人登記がしてないので、この場合の解散、清算人就任及び清算結了の登記は不可能であるから、これらの事項については、登記をしないまま単に主務官庁(所轄庁)に届け出でるだけで、事足りるのではないでしようか、或は他に便法がありますでしようか。
二、初めから規則がないので、残余財産の処分については、宗教法人令第14條の定に従つて裁判所の許可を申請しなければならないか。前問において、何等かの方法がない場合、何等の公認手続も経ない者が、清算人の肩書を用い又規則の謄本も添付しないで許可申請してよいでしようか。
三、この種の神杜における残余財産は、殆んど僅少の不動産(境内地)のみで、又事実上債務はない場合が通例であるが、民法第79條の定による債権申出の公告は、現行神杜の公告の方法に準じて神杜の掲示場に掲示する方法によることは許されないでしようか。
(回答)
11月2日付庶発第1888号で照会のあつた標記の件については、次のように考えます。
一、貴見のとおり。
二、前段、後段とも貴見のとおり。
三、官報に掲載すべきである。
「責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得て管長の承諾を受けなければならない。」旨の寺院規則の定めは、宗教法人法43条2項1号に規定する「解散の事由」に該当しない4726 宗教法人の解散の事由について
(昭和58年2月17日付け福井地方法務局長電信照会、同月28日付け法務省民四第1304号民事局第四課長回答)
【要旨〕一 宗教法人の解散には、「責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得て管長の承諾を受けなければならない。」旨の寺院規則の定めは、宗教法人法43条2項1号に規定する「解散の事由」に該当しない。
二 一の事項が「解散の事由」として登記されている場合には、登記官は、当事者の申請又は職権により、右事項を抹消することができる。
(照会) 宗教法人法第52条第2項第8号による解散の事由として登記されている左記事項を同法第26条第1項による寺院規則変更の手続を経ないで、今般、解散の事由の抹消登記申請がありました。ついては、該登記事項は、同法第43条第1項による任意解散の手続を規定したものであつて、解散の事由それ自体に当たらないので、受理して差し支えないものと考えますが、いささか疑義がありますので、何分の御指示をお願いします。
なお、他の宗教法人においても右の事項が登記されている場合、発見の都度、宗教法人法第65条で準用する商業登記法第110条以下の手続により職権抹消して差し支えないものと考えますが、併せてお伺いします。
記
責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得て管長の承認を受けなけれぱならない。
(回答)本月21日付けの電信をもって照会の件については、いずれも貴見のとおりと考えます。
【解説】...
一 本照会は、宗教法人の解散の事由として「責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得て管長の承諾を受けなければならない。」と登記をしている宗教法人が、同事項は宗教法人法52条2項8号に規定する登記事項たる「解散の事由」に該当しないことを理由に、同事項に関する寺院規則を変更することなく、抹消の申請があつた場合の受理の可否及び当該事項の職権抹消の可否を問うものである。
二宗教法人法は、法人の解散事由として、任意解散のほか法定解散を定め、法定解散の事由の一つとして「規則で定める解散事由の発生」を規定している(宗教法人法43条1項、2項)。宗教法人が規則をもつて解散の事由を定めた場合には、その事由は、登記すべき事項とされている(同法52条2項8号)。
宗教法人法43条2項に定める解散事由が発生すると、当該法人は、阿らの手続を要せずに解散することとなる。したがつて、規則をもつて解散の事由を定めた宗教法人は、その事由が発生すれば、解散の決議、所轄庁の認証(宗教法人法44条、46条)等の手続を要せずして当然に解散することとなる。
宗教法人が解散の事由としてどのような事由を定め得るかは、強行規定や宗教法人の本質に反しない限り私的自治の範囲の問題である。宗教法人の定めた解散の事由が右の範囲にあるか否かは、所轄庁が規則を認証するに際して審査することになる。
三 本照会は、この宗教法人法43条2項1号に規定する「解散の事由」の意義に関するものである。
同条にいう「規則で定める解散事由」は、次の例のような、その事由の発生、存在が解散原因となるものをいうと解される。
@檀徒の数が10人未満になつたとき
A2年間法人の目的のための行為をしないとき
B礼拝の施設が滅失し、その後3年間その施設を備えない
とき
C2年間代表役員又はその代務者を欠いているとき
本照会に係る事項は、「責任役員の定数の全員及び総代並びに門徒の3分の2以上の同意を得て管長の承諾を受けなければならない。」というのである。この規定は、その事由が生ずることにより、宗教法人が解散するというのではなく、解散に関する手続を定めたものであり、宗教法人法44条以下に定める任意解散に関する手続を加重したものにすぎないと解される。したがつて、同法43条2項1号に定める解散の事由に当たるとは解し難い。すなわち、任意解散の手続については、規則の定めによるときは、それにより、その定めがないときは責任役員の定数の過半数で決することとされている(宗教法人法44条2項、19条)が、本照会に係る事項は、同法44条2項の「規則に別段の定め」に該当すると解されるからである。
四 本照会に係る事項が、解散に関する手続の定めであり宗教法人法43条2項1号に定める解散の事由に当たらないとすると、その事項は、同法52条2項8号に定める登記すべき事項に該当しないこととなる。
登記すべき事項は、法律により登記しなければならないとされ又は登記することができると定められた場合に限られるのであつて、登記すべき事項でない事項について登記の申請がされたときは、その申請は却下すべきものとされている(商登法24条2号)。そして、仮りにその申請が誤つて受理されたため、登記すべき事項でない事項が登記された場合は、当事者は、その登記の抹消を申請することができる(宗教法人法65条、商登法109条1項1号、24条2号)。
したがつて、本件照会に係る事項は、登記すべき事項に該当しないと解されるので、その登記は、当該宗教法人から抹消の申請があれば受理し、抹消することとなる。この場合、当該宗教法人の規則には、解散の事由として照会に係る事項の定めが存するが、同事項は、解散に関する手続の定めとして機能し得るものであるから、右登記の抹消の前提として規則を変更する必要はないと思われる。
また、本照会に係る事項は、以上のとおり登記すべき事項に当たらないので、登記官は、その登記を発見したときは、登記をした者に対し、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨を通知し、異議を述べた者がないとき、又は異議を却下したときは、登記を抹消しなければならないこととなる(宗教法人法65条、商登法110条から113条、109条1項1号,24条2号)。
本回答は、以上のような見解によりなされたものと思われる。
登記不要な解散事由の例1089 宗教法人の解散事由について
問 宗教法人が規則により解散の事由を定めたときは、その登記を要することになつておりますが、規則に次のような定めがある場合は登記すべきでしようか。(四国・研究生)
規則第何條 本宗教法人は、何宗(包括団体)の責任役員の承認を得て、本法人の総代何分の二以上の同意があつたときは解散する。
答 所問の場合は、規則に定める解散の事由(宗教法人法第43條第2項第1号)ではなく、任意解散の手続として規則に定めたものと解しますから、その登記は要しません。
新宗教法人法施行時に移行登記しない宗教法人は解散とみなされる637 宗教法人の解散登記について
昭和27年11月28日付総行法発第8号東京都総務局行政部長照会、同年12月5日付民事甲第766号民事局長回答)
宗教法人令による宗教法人は宗教法人法附則第15項にいう期間内に同法附則第5項又は第6項によつて新法人となろうとする申請をしないかぎり同法附則第17項によって解散することになる。
この場合には宗教法人令第5条、第17条及び民法第77条第1項によつて解散及び清算人就任の登記並びに清算結了の登記が必要と思われるが、この場合登記の必要の有無について折返し御回答願いたい。
(回答)
11月28日附総行法発第8号をもつて、照会のあつた標記の件については、貴見のとおりと解する。
右回答する。
新宗教法人に移行せず解散した宗教法人の清算人選任登記についての受理照会1350 宗教法人の清算人選任登記について
(昭和32年8月24日付鳥取地方法務局長電報照会、同年9月2日民事甲第1678号民事局長回答)
(照会)
寺院が宗教法人法附則第5項による規則の認証を受けることができないことが確定したので門徒11名出席した総会で主管者以外の者を清算人に選任した門徒総会決議書(門徒総数の記載なく総会成立の確認もない。)を添付して旧宗教法人の解散及び清算人選任の登記の申請ありその後、もと主管者より解散及び法定清算人就任の登記申請があったが宗教法人の性格上総会に関する規定の準用乃至総会の構成について疑義があつて右第一の申請についての受否を決しかねますので何分の御回示願います。
なお、規則は火災のため滅失しています。
(回答)
本月24日付電照の件は、添附書類により清算人選任決議が有効になされたことが証明されない限り、受理すベきでない。
旧宗教法人は宗教法人法附則17項所定の期日に当然解散する823 宗教法人法附則の解釈について
(昭和29年6月10日付29渉学1123号最高裁判所事務総長宛長崎県総務部長照会同年7月5日付法務省民事甲第1352号民事局長回答)
旧宗教法人は附則第3項及び第5項の規定により新宗教法人として切替えるか又は、旧宗教法人として存続するかについてその選択の自由が認められているものと解される。
しかるに第17項の規定によれば、旧宗教法人は第15項の期間内に認証の申請をしなかつた場合又は当該認証の申請をしたが、その認証を受げることができなかつた場合においてほ、同項の定める期目において解散すると定めているが、これは第3項の規定によりなお存続する旧宗教法人もすべて一斉に解散せしめられる強行規定であるかどうか、第3項及第5項との関連において疑義があるので何分の御教示賜りたい。
回答
客月10日付29渉学第1123号をもつて最高裁判所事務総長あて照会にかかる標記の件については、便宜当職より左記のとおり回答する。
記
宗教法人法附則第3項の規定により存統する旧宗教法人は、経過的にその存続を許容されるものに過ぎず、同法附則第17条所定の期日に当然解散するものと考える。
宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の残余財産の処分は裁判所が決定した清算人が行う4702 宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の残余財産の処分について
(昭和57年10月19日付け水戸弁護士会照会、昭和57年10月27日付け法務省民四第6476号民事局第四課長回答)
【要旨〕 宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の残余財産は、宗教法人令14条により、清算人が裁判所の許可を受けて処分することを要する。
(照会) 宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の規則に残余財産の処分方法について定めがない場合でも、同法50条に従えば足り、裁判所の許可を要しないと考えてよろしいでしようか。何分の御回答をお願いします。
(参考)昭和28年12月4日民事甲第3207号民事局長回答)
(回答) 昭和57年10月19日付け書面をもって御照会のありました標記については、左記のとおり考えます。
記
照会に係る宗教法人の残余財産については、宗数法人令(昭和20年勅令第719号)14条により、清算人が裁判所の許可を受けて処分することを要するものと考えます。
(4705と重複)
同上4705 宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の残余財産の処分について
(昭和57年10月19日付け水戸弁護士会照会、昭和57年10月27日付け法務省民四第6476号民事局第四課長回答)
【要旨〕 宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の残余財産は、宗教法人令14条により、清算人が裁判所の許可を受けて処することを要する。
(照会) 宗教法人法附則17項により解散した宗教法人の規則に残余財産の処分方法について定めがない場合でも、同法50条に従えば足り、裁判所の許可を要しないと考えてよろしいでしようか。何分の御回答をお願いします。
(参考)昭和28年12月4日民事甲第3207号民事局長回答)
(回答) 昭和57年10月19日付け書面をもって御照会のありました標記については、左記のとおり考えます。
記
照会に係る宗教法人の残余財産については、宗教法人令(昭和20年勅令第719号)14条によリ、清算人が裁判所の許可を受けて処分することを要するものと考えます。
旧宗教法人の主管者が承継手続をせずに死亡した場合の清算人選任方法1871 旧宗教法人の清算人選任について
旧宗教法人令による宗教法人が宗教法人法附則第15項、第16項の新宗教法人となる手続をしないで同法附則第17項により法定解散した場合、主管者が死亡し、清算人になる者がないとは旧宗教法人令第17条において準用する民法等75条により裁判所において選任するのでしようか。(大分神西生)
答 当該宗教法人の規則に別段の定がなく又は規則に選任方法の定めがあるが清算人になる者がいないときは、利害関係人の請求により裁判所が選任する。
旧宗教法人令当時の神社が法律上当然解散した場合、所属宗派の主管者の承認は要しない1236 宗教法人の解散登記について
問 一、旧宗教法人令当時の神社、寺院、教会等が宗教法人法附則第17項の規定により法律上当然解散した場合は、所属教派、宗派又は教団の主管者の承認は要しないと考えるが如何ん。
二、右解散は法律上明かなので、その申請書には、解散の事由を証する書面の添附を要しないと思うか如何ん。(秋田登研生)
答一、貴見のとおり。
二、宗教法人法附則第15項の期間内に認証申請がなかつた事を証する書面又は認証を受けることが出来なかつた事が確定した事を証する書面を添付させるべきであると考えます。
旧宗教法人登記簿に清算結了の登記をした時は新登記簿への移記は要しない276 宗教法人の清算結了の登記と宗教法人令施行規則附則第2項の適用の有無
問 宗教法人令施行規則附則第2項の規定は、従來の登記簿に「本令施行後最初の登記」として宗教法人の清算結了の登記をした時は、将来の登記の必要がないから新登記簿への移記は要しないものであると考えられるが如何ですか。(山梨 登記生)
答 御意見の通り移記する必要はない。
解散に関する認証書の交付とは当該認証書の到達したとき2974 宗教法人の任意解散の時期について
問 宗教法人の任意解散において、解散の効力は解散に関する認証書の交付によつて生ずるとされているが(宗教法人法第48條)、右の「交付」とは左記いずれによるべきでしようか。
(甲)当該認証書の到達したとき
(乙)所轄庁において当該認証書の交付手続をとつたとき(認証書の日付)
(愚問士)
答 御照会の件は、甲説によるべきものと考えます。
宗教法人法附則第17項による解散は職権ではなく申請により解散清算人の登記をする1273 宗教法人の法定解散について
問 宗教法人法附則第17項に因る期間内に認証の申請をせざる宗教法人は、昭和27年10月2日解散として、職権で登記簿に解散の登記をしてよいでしようか、なお清算人の登記は申請によるべきでしようか。
(鈴江一甫)
答 何れも申請によるべきものと考えます。(宗教法人法附則第4項、宗教法人令第17条参照)
宗教法人法附則第17項による解散で代務者と見なされた者も法定清算人となる九 宗教法人令14條・17條-残余財産の帰属等
昭和21・9・5、民事甲562号民事局長回答並に通牒
別紙甲号の通り新潟区裁判所監督判事から問合せがありましたので、別紙乙号の通り回答致しましたから、この義貴庁管下登記官吏に然るべく御通達方御取計ひ相煩し度、この段通牒致します。
(別紙甲号)
宗教法人の解釈について稟伺
左記の点に疑ひがあり、不動産登記上差し懸つた事件もありますから、至急何分の御回示を煩はし度
記
一、宗教法人令第14條に基いて、宗教法人の規則に「解散した場合の残余財産は何某又は其の正統相統人に帰属する」と定めてある場合に於て、清算人から残余財産を引渡すことによつて、其の所有権は規則所定の権利帰属者に移転するものと解して差支ないと思ひますが如何でせうか(参照-民法第72条)
二、前項差支ないとすれぱ、残余財産が不動産の場合、帰属権利者の為めにする所有権移転登記原因は「帰属」とし、其の日付は財産引渡の日で良いと考へますが如阿でせうか。
三、宗教法人令第17条によつて、宗教法人に準用される民法第73條乃至第83條の規定は、其の性質に反しない限り、昭和22年勅令第70号附則第4項に依つて解散した神社にも準用され、右勅令附則第6項に於て代務者と看做される者が、法定清算人となるものと考へますが如以ですか。
(別紙乙号)
宗教法人に関する件
いづれも貴見の通りと思考致します。
その他
管轄外の寺院登記をした場合の抹消手続について829 管轄権がない寺院登記の抹消について
問 土地について管轄権がないにもかかわらず寺院の登記嘱託あり、登記官吏かこれを誤つて受理し寺院登記簿に登記した。その登記の抹消は如何したらよいでしようか、その手続を教示して下さい。なお、この錯誤発見後管轄登記所へは正当の登記嘱託済であります。(新登記生)
答 その登記は、法律上許可すべからざるものであるから、宗教法人令施行規則第21條において準用する非訟事件手続法第151條ノ2又は第148條ノ2の規定によつて処理すベきものと考える。
宗教法人が特別代理入を選任する必要が生じた場合には規則にその選任方法を定めた上で特別代理人を選任しなければならない七 宗教法人令17條但書の趣旨-特別代理人の選任
昭和21・7・2、民事甲394号民事局長回答並ニ通牒
別紙甲号の通り釧路地方裁判所長から問合せがありましたので、別紙乙号の通り回答致しましたから、この旨貴管下関係宮吏に然るべく御通達煩し度
(別紙甲号)
宗教法人令第17條但書の趣旨は宗教法人の「規則」の中に特別代理入の選任に関する別段の定がない場合には民法の規定に従つて裁判所に選任を求めるのか、それとも「規則」に此の点を補充させ、その新規定に依つて選任させるのかどちらでせうか。
(別紙乙号)
後段貴見の通りと思考致します。
〔解説〕 宗教法人令第17條但書は、宗教法人と主管者又は代務者との利益相反する場合における特別代理人の選任は、必ず、当該宗教法人の規則の定めるところによらなければならないといふ趣旨である。したがつて、規則に特別代理人選任に関する別段の定めがない宗教法人において、特別代理入を選任する必要が生じた場合には、先づ、規則にその選任方法を定めた上で、その定めるところにより、特別代理人を選任しなければならないのであつて、この場合、裁判所に特別代理人の選任を求めるのではない。
宗教法人は株式会社の設立発起人になることが可能4434 宗教法人が発起入となっている株式会社の設立登記申請の受否について
(昭和52年3月4日付け法第78号名古屋法務局民事行政部長照会、昭和52年8月15日付け民四第4079号民事局第四課長回答)
【要旨】 宗教法人が発起人の1名となつている魚貝類及び生鮮食料品の販売及び貿易、損害保険代理業を目的とする株式会杜の設立登記申請は受理して差し支えない。
(照会) 発起人7名の内1名が宗教法人である株式会杜(魚貝類及び生鮮食料品の販売及び貿易、損害保険代理業を目的とする。)の設立登記中請は受理せざるを得ないものと考えますが、いさ上か疑義があり、さしかかつた事案でありますので、至急何分の御指示をお願いします。
なお、本件宗教法人の目的は左記のとおりであります。
記
宗教法人「○○○○」規則第3条、
この法人は、不朽不易の大道を奉じて、痛く一宗一派の私見を斥け、観世音菩薩を本尊として釈尊の法統を継承し、其の洪範に則つて仏教の教義をひろめ、所依の儀式及び行事を執行し、会員を教化育成し、衆庶をして安心立命を得せんがためその他青年哲学堂の目的を達成するための業務及び事業を行うことを目的とする。
(回答) 本年3月4日付け法第78号をもつて照会のあつた標記の件については、受理して差し支えないものと考える。
【解説】...............
一、本件は、宗教法人が発起人となつている魚貝類及び生鮮食料品の販売及び貿易、損害保険代理業を目的とする株式会杜の設立登記申請を受理できるかどうかという事案である。そして、これは、宗教法人がこのような目的の株式会杜の設立の発起人となる権利能力を有しているか否かという問題にかかわる。以下、実体法上の問題点及び登記手続上の問題点に分けて検討してみることとする。
二、株式会杜の設立には7人以上の発起人を要する(商法165条)。発起人の資格には商法上何らの制限はなく、無能力者や法人であつてもよいと解されており、また、法人は公法人であると公益法人又は営利法人であるとを問わないものと解されている(大隅・全訂会杜法論上巻154頁等)。ただ法人は法令又はその目的の範囲内においてのみ権利能力を有するのであり、その権利能力の範囲内で発起人になれると解しているのが通説・判例であるから、その面での制約は受けることになる(もつとも、目的の範囲内とは目的として挙げられている事項に限る趣旨ではなく、その目的を遂行するに心要な範囲内の全般にわたる。)。
また、株式会杜の株主となり得る者についても何らの制隈はなく、法人であつても株主となる権利を有している。
したがつて、宗教法人もその権利能力の範囲内である限り株式会杜の発起人となり、また、株主となることができるものと解される。
ところで、宗教法人の権利能力の範囲については宗教法人法1〇条で「...法令の規定に従い、規則で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」旨定められている。これは民法43条の規定と同趣旨であつて、規則所定の目的自体に限局されるものではなく、その目的を遂行するために必要な範囲内の全般にわたるものと解される。
一方、宗教法人は、公益事業及びその目的に反しない限り公益事業以外の事業を行うことができるものとされている(宗教法人法6条)。公益事業以外の事業を行うには、その種類及び管理運営に関する事項を規則に定めることを要し(宗教法人法12条1項7号)、その収益の使用について制限がもうけられている(宗教法人法6条2項後段)。ところで、宗教法人が発起人及び株主となることは設立しようとするその会杜の事業を当該法人が自ら行うことと同一かどうかであるが、発起人は会杜設立の企画者であり、その執行機関であつて、設立中の会杜の原始的構成員であるが、このことが直ちにその会杜の目的たる事業を白ら行うことにはならないと考える。たとえ、ある事業を行うことを目的として白ら会杜の設立を企画し積極的に発起人となつた場合であっても同様であろう。これは株主についても同様のことがいえよう。株主は会杜の共同所有者であつて、会杜を所有し、その事業活動の結果たる利益を受けるもので、株主が自らその事業を行うものではない。
したがつて、宗教法人が株式会杜設立の発起人あるいは株主となり得るかどうかは、発起人となつて会杜を設立すること及び株主として会杜の基本的意思決定に参加し利益を受けること、そのことが目的の範囲内かどうかを判断すれぼ足り、その会杜の目的たる事業によつて左右されるものではないと考えられる。
発起人になること又は株主となることは、結局はそれにより何らかの利益を得ることであるが、これは一般的には目的を達成するために相当な範囲内の事項以外のものとは考えられない。そうであるとすれぼ、宗教法人は、規則によつて株式会杜の発起人となることを禁止されていない限り、会杜の目的のいかんにかかわらず発起人となることができるものと考えられる。
しかし、このことは、このような宗教法人の行為がすべての場合に全く適法であることを意味するものでは必ずしもなく、設立しようとする会杜の目的との関連で公益法人としてふさわしいものかどうかが別に審査されるべきであり、その点については、主務官庁の監督に服することになるものと考えられる。
二、次に登記手続上宗教法人が発起人となつている株式会杜の設立の登記申請の受否を判断する場合に、登記官は、当該宗教法人の目的等を審査することができるか否かである。
株式会杜の設立の登記の申請書の添付書類は、商業登記法80条に定められている(そのほか、通則的な規定として同法第79条が、また、補充的な規定として商業登記規則82条の規定がある。)。これによれぼ、設立の登記の申請書には、定款、株式申込み及び引受けを証する書面等を添付しなければならないとされているが、発起人の資格を証する書面の添付は要求されていない。商業登記法上の添付書類はいわゆる限定列挙であり、法令により要求されている書面以外の書面の添付は要しない(もつとも、添付書類の上では却下事由が認められる場合に却下を避けるためには却下事由のないことを証する書面の添付を要することがある。)と解されているから、法人が発起人となつている場合であつても、登記官は、その法人の存在及び目的を知ることができない(もつとも、公証人が定款の認証をする際には、発起人が実在するか否か確認する必要があるのでその法人の存在は認められることにはなる−公証人法6〇条、28条)。したがつて、登記官は、宗教法人について一般的に発起人の適格を否定することができない以上、宗教法人が発起人であつてもその目的を審査することなく、株式会杜の設立の登記申請の受否を決することになる。このことは、当該宗教法人の規則において、株式会杜の発起人となることを禁止している場合(通常は禁止規定をおくとは思われないが)であつても同様である。
三、以上のとおり、実体的には宗教法人が株式会杜の発起人となることは法律上は否定されているものではなく、また、登記手続上も宗教法人の目的について審査権がないので、登記官としては本件のような場合受理せざるを得ないものと考えられる。
宗教法人が学校を経営している場合でも登録免許税は非課税の適用が受けられる1685 宗教法人にかかる登記および登録税の免除について
(昭和34年8月13日付文調宗第183号文部省調査局長照会、同34年9月16日付民事甲第2073号民事局長回答並びに法務局長、地方法務局長あて通達)
このたび文部省調査局長から照会のあつた別紙甲号記載の件について、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官吏に周知方取り計らわれたい。
(別紙甲号)
宗教法人法(昭和26年法律第216号。以下「法」という。)第56條第2項の代務者変更の登記について、左記(1)のように解するのであるが、登記所によつてその取扱が異なり事務処理上困却するとの申出があつたので、貴職においてその取扱が統一されるよう措置願います。
また、宗教法人の登記にかかる登録税免除の取扱については、一応左記例のように解されるのであるが、登記所における実際上の取扱の状況を回示願います。
記
(1)宗教法人は、法第20條によつて、代表役員又は責任役員が死亡その他の事由によつて欠げた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき等には、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う機関として、代務者を置かなけれぱならないとされている。
代務者は、暫定的な機関であつて、当該代務者を置くべき事由がなくなつた場合には当然退任し通常、任期の定めがないと解されるので、法第12條でも、代務者の任期については規則の必要的記載事項としていない。ところで、寺院規則などでは、住職をもつて代表役員に充てることとし、住職代務者をもって代表役員代務者に充てる旨の規定を設ける場合があり、またこの住職代務者については任期を規則に定めている場合がある。このような規定がある場合には住職代務者の任期の満了によつて当該代表役員代務者は、その資格を失うものと解される。従つて代表役員代務者に充てられていた住職代務者が、その任期満了後、住職代務者に再任され引続き代表役員代務者の地位にある場合にも法第56條第2項の規定による変更(重任)の登記は必要であると解する。
(2)宗教法人とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする神杜、寺院、教会並びに教派、宗派、教団等のうち法人となつたものをいい、これらの宗教法人は、法第6條により、公益事業等を行うことができ、学校教育法(昭和22年法律第26号)による幼稚園等の学校を設置(同法第102條)している例が相当多いのであるが、このように、宗教法人が幼稚園等の学校を経営している場合も、登録税法第19條第14号に該当し、当該土地、建物の権利の取得又は所有権の保存の登記について登録税非課税の扱いがなされるものと解される。
また、宗教法人が学校教育法第83條の各種学校を経営している場合も同様に扱われるものと解する。
(備考)
公益事業等を行う宗教法人は、規則中に目的として、「この法人は、○○宗の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成し、その他この寺院の目的達成のための財務その他の業務及び公益事業その他の事業を行うことを目的とする。」と規定し、さらに法第12條第7号の規定に基いて、「この法人は、○○幼稚園を経営する。前項の事業は、○○部において管理運営する。」というような趣旨の規定を設けているのが普通である。
(別紙乙号)
8月13日付文調宗第183号をもつて照会のありました標記については、左記のとおり回答します。なお、この旨、法務局長及び地方法務局長に対し通達しましたから、御了知願います。
(1)貴見のとおり。
(2)昭和25年12月11日民事甲第3、178号法務局長および地方法務局長あて本職通達により了承されたい。
包括宗教団体が合併してもその名称及び宗教法人非宗教法人の別に変更がない場合は被包括宗教法人においては変更の登記を要しない2399 宗教法人の変更登記について
(昭和37年4月19日付民事甲第1103号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達(昭和37年4月2日付文調宗第70号文部省調査局長照会、民事局長回答))
標記の件について、別紙甲号のとおり文部省調査局長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したからこの旨貴管下登記官吏に周知方取り計らわれたい。
別紙甲号
宗教法人の登記の場合、宗教法人法第52條第2項第4号「当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別」については、当該宗教法人を包括する宗教団体が変更してもその名称及び宗教法人非宗教法人の別に変更がない場合には同法第55條に規定する変更の登記を要しないものと考えるが、これについて貴見を承知したく照会します。
このたび宗教法人「A宗本派」と合併して宗教法人「A宗」を設立することになつた宗教法人「A宗」の被包括宗教法人の変更登記のことも考えられるので、至急何分の回答を願います。
別紙乙号
4月2日付文調宗第70号をもつて照会のあつた標記の件については、貴見のとおりと考えます。
(解説)
一、本件については、たとえ登記簿面上の包括団体名に何等の変更が生じないとしても、その実体である包括団体そのものの法人格は合併の前後で異るのであるから、宗教法人法第55條の登記事項に変更が生じたときに当り、その変更登記を要するのではないか。との意見が予想されないこともないので、次に本件回答に至つた梗概を考えてみよう。
二、およそ法人の登記事項(実体法上の登記事項)には、
イ 当該法人格に対する権利、義務の帰属関係を明らかにすべき事項、例えば代表者等に関する事項
ロ その登記が形成力を有するところの、例えば設立、合併、組織変更(中小企業団体の組織に関する法律第96條7・私立学校法附則W等)に関する事項
ハ 右のいずれにも属さない単に公示しておくことが、法人と取引する第三者を保護する上に必要な組織内容の公示に関する事項、とがあるが(注1)、本件宗教法人の包括団体に関する登記事項については、その登記が形成力を有する登記に属するものでないことはいうまでもなく、また、権利、義務の帰属を明確にするいわゆる責任関係に関する事項でないことも明らかである。
三、この包括団体に関する公示の目的は、主として、信者たらんとする者に対し、信仰上の選択の考慮の余地を与えようとするものであつて、右のハの事項に属し、包括団体を公示すること自体でその目的は達せられるのである。
例えば、甲寺の包括団体たる「A宗」が合併により、新たな「A宗」に変つたとしても、その間の包括・被包括の関係が継続されている限り、甲寺は、やはり「A宗」なる団体に包括されている寺院であつて、その事実が登記簿に反映され、登記簿を閲覧した第三者に、甲寺と「A宗」なる宗教団体が包括・被包括の関係にあることが認められる以上、何等変更登記は要しないものと考えられる。
のみならず、これが変更登記を履践せしめてみてもその実益は全くないであろう。
なお、行政区画の変更と組合等の地区の変更登記の要否に係わる先例(注2)で、行政区画の変更に応じ、定款変更によりその地区を変更する場合、たまたま登記簿の表示が定款変更後の地区と合致するときは変更登記の手続を要しない旨の通達が見受げられるが、本件回答と同趣旨ではないかと考えられる。
(注1)水田耕一 商業法人登記第二編
(注2)昭30・5・21民事甲第1、00号民事局長通達(登記先例集追I79)
同上関連1853 宗教法人の変更登記について
(昭和38年12月5日付浄総発第564号宗教法人A宗照会、昭和39年1月14日付民事甲第18号民事局長回答)
(照会)
宗教法人の登記について昭和37年4月2日「文・調宗第70号」をもつて文部省調査局長天城勲より貴職の意見を求められた結果、昭和37年4月19日1103号をもつて回答せられましたことについて、宗教法人「A宗」と宗教法人「A宗本派」が合併して、宗教法人法第35条第2項により宗教法人「A宗」を設立したが、旧両宗教法人は既に合併による解散登記を昭和37年4月7日に完了したのであります。随つて旧両宗教法人と被包括関係にある宗教法人の寺院は、当然新しい宗教法人「A宗」に包括関係を生じたものと考えるのであります。
然るに貴回答によれぼ消減した旧宗教法人「A宗」に所属した宗教法人の寺院は名称がたまたま同一であるが故に変更登記を要しないとあるが、新しい宗教法人「A宗」と従前の宗教法人「A宗」とは法人の性格内容を異にするものである事は自明であるから、この見解にたてば旧宗教法人「A宗本派」と包括関係を有した宗教法人の寺院も例え名称に異りがあつても当然同様に取扱うべきではないかと考える、然るに旧「A宗本派」所属寺院のみは変更登記申請の要ある旨の指導に接しましたが、既に旧両宗共に消滅した宗教法人であつて共に存在せず旧両宗教法人所属寺院は新設された法人に包括されるのであるから、もし前記回答の通りとすれば同一条件のもとに法的行為を履行する二つの法人が差別的行政処置をうける事になり、抹消された旧「A宗」の存在を認めるが如き感じを与え、法的処置として適性でないと考えられるので、何等かの御回答をお願いします。
尚、新らしいA宗としては、目下宗議会等の手続きを経て、寺院規則の変更の手続きを指令し、各都道府県で着手中でありますので、お含みの上至急お願いします。
(回答)
客年12月5日付浄総発第564号をもつて照会のありました標記の件につきましては、次のとおり回答します。
記
旧「A宗本派」を包括団体とする寺院にあつては、登記事項である宗教法人法第52条第2項4号に掲げる事項に変更を生じたことは明らかであり、同法第55条による変更の登記をしなければならない。
他方、旧「A宗」を包括団体とする寺院にあつては、包括団体として表示している「A宗」の実体に変更がある点については貴見のとおりであるが、登記簿の表示としては変更が生じていないので変更登記は要しない。
教派、宗派叉は教団に属しなくなっても単独宗教法人として変更登記可能昭和21年7月25日民事甲第478号民事局長回答(昭和21年7月4日長野地方裁判所長照会)
宗教法人登記事務取扱方の件
長野市にある○○寺は従来○○宗と○○宗に属していましたが今回寺院規則を変更して何れの宗派にも属しない寺院として変更登記申請がありましたところ宗教法人令第3條同法施行規則第12條第27條第32條等により寺院は所属宗派の名称を記載することになつています建前から何れかの宗派に属することを要し何れの宗派にも属しない寺院はあり得ない様にも解されますので右登記申請の受否に付至急何分の御指示ありたく稟伺致します。
(因に○○寺に於ては現在の所新に一派を創設すると云う所までには至つていないのであります)
(回答)本月4日附2へ11第2662号で御問合せの標記の件、宗教法人令第3條第2項第3号、同法施行規則第十2條第1項第4号、第27條第3号及び第32條第1項第3号は、当該神社、寺院叉は教会が教派、宗派又は教団に属する場合においては、その所属教派、宗派又は教団の名称を規則に記載し且つこれを登記することを要するも、教派、宗派叉は教団に属しない場合においてはその必要がないとの趣旨の規定と解すへぎでありますがら、御問合せの場合の変更登記の申請は、これを受理して差支えないものと老える。右回答する。
認可書の認可の日付と到達した日の間が長期間であつても却下できない4255 行政庁の認可書の到達期間について
【要旨〕法人登記の際に添附する行政庁の認可書の認可の日付と、認可書が到達した日の間が長期間であつても却下することができない。
問 法人登記の際添附する行政庁の認可書の認可の日附と認可書の到達した日が長期間にわたる場合に却下できますか。(恵那・M生)
答 却下できないものと考えます。
所属宗派から離脱し宗派に属さない寺院となることができる120 寺院が所属宗派から離脱し宗派に属さない寺院となることができるか
問 宗教法人である寺院がその信徒総代の同意を得て寺院規則を変更し所属宗派から離れ、何れの宗派にも属さない寺院となることができるか。(福岩 行徳勉)
答 何れの宗派にも所属しない寺院となることができる。
寺院が所属宗派を変更しても主管者の変更登記は不要757 寺院が所属宗派を変更した場合の主管者の変更登記
問 宗派を変更した寺院のA主管者は、たとえ変更後といえども資格消滅せず、変更後もその地位を維持するものと思う。而して変更後の宗派より同一人たるA主管者を主管者に新に任命するとも登記の必要なしと思うが如何(岸上研究生)
答 御意見の通り。
所属宗派が解散した寺院は単一宗教法人となり、規則変更は単独でできる47 寺院が、その寺院規則を愛更した場合において、從來所属していた宗派は既に解散して存立していないが、あらたに又前の宗派と同一人の主管者により宗派が設立せられているのでありますが斯る場合には、寺院規則変更の宗派主管者の承認は如何にしたらよろしいのでしょうか。(徳島縣名東郡國府町新幸雄)
答 寺院が、あらたに設立せられた宗派に所属したものでなけれぱ承認を受けることを要しない。
(理由)從來所属していた宗派が解散したのであれば解散により一応當該寺院には所属宗派はないことになる。したがつて、あらたに設立せられた宗派にあらためて所属しない限り宗派の所属関係はない。
宗教法人令当時宗教法人は合併できなかった236 寺院は合併できるか
問 寺院は他の寺院を吸収合併できましようか、若しできるものとすればこの場合どのような登記手続を爲せばよろしいでしようか。旧宗教団体法のもとにおいては合併並びに之が登記手続について規定がありまして、それによれば、後者については各寺院についてそれぞれ変更、解散の登記をすればよいことになつておりましたが、現宗教法人令のもとにおいては、右のような規定が見当りません。尤も、解散については規定がありますが(法人令12)、右の場合被吸収寺院が解散するかどうかも規定上はつきりいたしません。(旧団体法施行令27のような規定がないようであります)假に解散するとしても登記手続については、清算人の登記をし、清算結了の登記次で用紙閉鎖(法人令17、民法77法人令施行規則14、宗教法人登記等取扱手続9、商業登記取扱手続78)以外に規定がなく、先ず解散登記をして直に用紙を閉鎖するという具合にいかないようでありますが、合併の場合に清算も妙なものであります。なお、被吸収寺院の寺院規則には「本寺院合併若シクハ解散セントスルトキハ檀徒又ハ信徒ノ3分ノ2以上ノ同意ヲ要ス」「本寺院合併又ハ解散ノ場合ハ本寺院ノ本尊ヲ依託セシ寺院ヘ残余財産ヲ移転スルモノトス」とあるだけで、吸収寺院の規則には合併解散について何も規定がありません。
答 宗教法人令においては、寺院の合併は認めていない。したがつて、現実に合併しようとすれば、一応一方の寺院を解散し、その財産を一方の寺院に帰属せしめることとするか、若しくは双方の寺院を解散し、その上であらためて寺院を設立し、その設立した寺院に財産を帰属せしめることとするより方法がないわけである。しかして、解散に関する事項は規則で定めることとなっており(宗教法人令第12條第1項)、規則の定めたところに從つて解散することとなるのであり、またこの場合の残余財産の帰属についても豫め規則に定めておけば、その定めるところに從って処分されることになるのであるから(同令第14条第1項)、右の場合においては、豫め解散する寺院について寺院規則を変更し、これに解散及び残余財産の帰属に関する事項を定めておくべきであろう。
なお、宗教団体法当時に作成された寺院規則は、宗教法人令附則第2項の規定により宗教法人令による寺院規則とみなされているのであるが、從來の規則中に假に「合併云々」の事項が定められているとしても、それは宗教法人令によればすでに効力のない規定を定めているものと解すべきであつて、その規定よ宗教法人令に基づき改正されなければならない筈のものであることを念のため申し添えておく。
宗教法人の登記については登録税を徴収しない理由1561 宗教法人登記の登録税について
問 宗教法人の設立、登記事項の変更等の登記申請には、登録税は課さない事になつていますが何れの條文によつて免除されるものなりや。
(白木出張所K・H)
答 租税(登録税)を徴収するには法律の明確な規定を必要としますから(憲法第84条)法律に別段の定のない宗教法人の登記については登録税を徴収することはできません。
規則の変更の時期は認証書が到達した日1271 宗教法人法第30條の規則の変更時期
問 宗教法人法第30条の規則の変更の時期は認証書の日附の日か又は認証書が到達した日か。(兵庫 岸上)
答 認証書の交付の時即ち到達したときと考えます。
所属宗派の登記のない寺院が独立の寺院となる場合の手続219 所属宗派の登記のない寺院が独立の寺院となる場合の手続について
問 寺院が、宗教法人令による所属宗派の登記もしないで居りまして、今回寺院独立の登記をしようと思うが、その手続について何分の御回答を願います。(本庄 長岡生)
答 問合せの寺院が、宗教団体法(昭和14年法律第77號)當時に宗教団体登記令(昭和15年勅令第98號)の規定により設立登記のなされているものとすれば、同令第7條第2項第3號の規定により所属宗派の名称の登記がなされている筈であり、その登記は、宗教法人令(昭和20年勅令第719號)附則第3項の規定により、宗教法人令施行規則(昭和20年司法文都省令第1號)第12條第1項第4號の規定による「所属教派の名称」の登記とみなされているわけである。しかるに、宗教団体法當時にその登記がなされていないとすれば、それは登記の遺漏であるから、宗教法人令施行規則の規定により当該幸院の現在の主管者からその更正登記を申請しなげればならないこととなる、ところで、宗教法人令によれぼ、寺院は、必ずしも宗派に所属しなくともさしつかえないのであるから、從來所属していた宗派を離脱して、いずれの宗派にも属しない寺院とすることができるわけである。したがって、寺院が設立當初宗派に属していて設立登記後所属宗派から脱退するときは、宗教法人令第6條の規定による檀徒総代の同意を得て(この場合離脱すべき所属宗派の主管者の承認は不要、昭和22、1、6、民事甲第920號民事局長通達参照)寺院規則を変更し、宗教法人令施行規則第11條、第16條及び第20条の規定により右同意書を添附して當該寺院の主管者より変更の登記をしなければならない。
神社が所属宗派を離脱する場合主管者の承認は不要558 神社が所属宗派を離脱する場合の当該所属宗派の主管者の承認の要否
問 神社本庁に所属していた宗教法人たる神社が、當該宗派から離脱する場合所属宗派の主管者の承認はこれを必要としないと思いますが、一応念のため御伺い致します。
(新潟 登記研究生)
答 御意見の通り。(昭和22年1月6日民事甲第920號民事局長通達)
懈怠
責任役員死亡後数カ月たって他の責任役員変更登記といっしょに死亡の登記を申請していた場合懈怠通知の対象となる3384 宗教法人の責任役員死亡による変更登記について
問 宗教法人の責任役員3名のうち1名が死亡したが、その登記を数ケ月放置し、他の責任役員の辞任と同時に改選、責任役員死亡登記と同時に3名就任の登記があつた場合、右死亡に対する登記については、懈怠にはならないと思いますがいかがでしようか。(不知夫生)
答 責任役員の死亡については、宗教法人法第55條の法定期間内に変更の登記を要しますから、所問の場合には懈怠の通知をすべきものと考えます。
任期伸長規定がない場合は旧責任役員変更登記について懈怠が発生する3250 宗教法人の登記け怠について
問 寺院規則に「責任役員の任期は3年とし後任責任役員は現在責任役員の任期満了1ケ月前までに選任しなけれぱならない」と規定し、後任者が就任するまで前任者がその職務を行う等の規定のない宗教法人について、前任責任役員が就任してから6ケ年経過後、改選による責任役員変更登記の申請があつたが、この場合に旧責任役員退任の登記は宗教法人法第55條に該当し、同法第88條8号の適用があると考えますがいかがでLようか。(滋賀・金吉)
答 貴見のとおり解します。
登記原因が発生しなければ懈怠も発生しない1269 宗教法人の登記懈怠の罰則について
問 責任役員3人の宗教法人の代表役員たる責任役員が死亡したため、その代務者が就任した場合に、代表役員たる責任役員の死亡及びその代務者就任の登記申請のみがあつて、責任役員の就任登記が1年以上もない場合登記懈怠による罰則ありや。(兵庫 岸上)
答 責任役員及び代表役員を選任しない限り、登記原因が発生しないのであるから、登記懈怠にはならないと思います。
記載
昭和21・7・5、民事甲398号民事局長回答並に通牒八 宗教法人登記の変更欄記入事項
昭和21・7・5、民事甲398号民事局長回答並に通牒
別紙甲号の通り新潟区裁判所監督判事から問合せがありましたので、別紙乙号の通り回答致しましたから、この旨貴管下登記官更に然るべく御通達煩し度。
(別紙甲号)
左記登記は変更欄に記入するものと考えられますが、なお疑ひがありますのて、その取扱方に付いて御回示を煩はし度(参照-宗教法人及神杜寺院教会財産登記取扱手続第5條)
記
一、代務者の住所移転、改名等による変更登記
二、代務者の退任又は死亡の登記
三、代務者更迭による変更登記
四、最初就任した代務者退任し、其の後更に宗教法人令第8條第3項の原因の生じた場合の就任登記
(別紙乙号)
貴見の通りと思考致します。
〔解説〕宗教法人及神社寺院教会財産登記取扱手続第5條に、「代務者ノ登記ハ登記用紙中予備欄ニ之ニ為スベシ」とあるのは、初めて代務者の登記をする場合の規定であつて、この場合には、登記用紙中に相当欄が設けられてゐないから、これを予備欄に記載せしめるといふ趣旨である。しかるに、問合せの場合は、総て代務者の変更の登記であるから、この場合の相当欄、即ち変更欄にこれを記載すべきである。
代表役員たる責任役員が変更されたときの記載は「代表役員たる責任役員何某は年月日死亡(又は辞任)1275 代表役員の変更登記の記載について
問 宗教法人の代表役員たる責任役員の死亡又は辞任による変更登記の登記簿の記載は、単に責任役員何某は年月日死亡(辞任)したとすべきか又は、代表役員たる責任役員何某は年月日死亡(又は辞任)したとすべきか。
答 貴見の後段の通り。
管理人注 これは責任役員も登記されていた時代の取扱です。現在とは異なります。
同上1220 宗教法人の登記の記載例について
問 宗教法人の代表役員たる責任役員甲が死亡又は辞任した場合(責任役員も辞任)における登記の記載は左記のうち何れを可とするや。
記
(イ)代表役員たる責任役員甲は年月日死亡(又は辞任)した。
(口)責任役員甲は年月日死亡(又は辞任)した。
(兵庫 岸上)
答 (イ)を可と考えます。
旧宗教法人登記簿の登記用紙はそのまま使用せずバインダー化する1382 宗教法人の登記用紙について
問 法人登記規則の一部を改正する省令(昭和28年法務省令第57号)により、旧宗教法人登記規則による様式の登記用紙の使用が認められることになつたが、これは、旧宗教法人登記規則で定められた宗教法人登記簿(大福帳式)を解体して、その用紙を法人登記規則に基く宗教法人登記簿(バインダー式)の登記用紙として使用してもよいという事と思いますが、大福帳式の登記簿をそのまま使用してもよいのだという人もありますので、愚問とは存じますがその当否をおうかがい致します。(旭川 KH生)
答 貴見のとおり。
前任者が宗教法人令施行規則附則第二項の規定による登記の移記をしなかった場合後任者が移記する102 宗教法人令施行規則附則第2項の規定による登記の移記について。
問 前任の登記官吏の時代に寺院の変更登記の申請があつたのであるが、登記簿未着のため宗教法人令施行規則附則第二項の規定による移記をなさなかつた場合は、後任登記官吏において移記して差しつかえないか
(静岡 研究生)
答 移記すべきものである。
宗教法人登記及び神社寺院教曾財産登記取扱手続附則第8項の規定による移記年月日は予備欄に記載しない103 宗教法人登記及び神社寺院教曾財産登記取扱手続附則第8項の規定による登記用紙中予備欄に記載する「その事由」中に記載する年月日について。
問 宗教法人登記及び神社寺院教曾財産登記取扱手続附則第8項の規定により神社、寺院、教曾登記簿及び從來の登記簿の登記用紙中豫備欄に記載する「その事由」中には、変更登記の受附年月日を記載すべきか又は実際に移記した年月日を記載すべきであるか。(第102問関連)(静岡 研究生)
答 記載するに及ばない。