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神社の登記小資料室 熊谷司法書士事務所

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〒995-0112 山形県村山市大字湯野沢2884番地

法人登記先例訓令通達質疑応答 その2 役員変更

代表役員
宗教法人の主管者の地位に対する仮処分の登記はできない
宗教法人の代表役員の解任による変更登記申請の受否
代表役員たる住職の選任について定めがない場合は慣習により、慣習がない場合は条理により選任する
条理により住職を選任したきは慣習がないことを証明する書面が必要
規則に投票により代表役員を選挙するとされている場合、挙手の方法によつて代表役員を選任することは認められない
代表役員の選任には、選任機関の指名のほかに教主の認証を要する旨の規則を有する宗教法人の代表役員変更登記申請書には、教主の認証を証する書面の添付を要する
宗教法人における代表役員の解任及び新代表役員就任の登記がなされた後、その役員の選任方法にかしがあるとして右登記の抹消登記の申請があつた場合、当該申請書が方式に適合しないので受理すべきでないとされた事例
未成年者は代表役員となることはできない
代表役員たる責任役員の任期は住職在任の期間。代表役員以外の責任役員の任期は規則による
本庁統理の代表役員資格証明書に押印された印鑑につき本庁統理の印鑑証明書は必要ない
死亡した代表役員から設立登記の申請がなされていることが判明した場合、設立登記を抹消することなく、申請により代表役員の登記の更正をすべきである
包括宗教法人が発給する被包括法人代表役員の任命書及び辞任の承認書の様式の例
宗教法人登記申請に添付すべき代表役員、責任役員の資格を証する書面は、規則で定められた選任方法によつて選任されたものであることを証するに足る書面であればよい
法人の代表権を有する者の全員について変更登記申請があつた場合の登記用紙等の取扱い
代表権を有する者の前提資格の地位を失つたことによる代表役員変更の登記申請書に添付する退任の事由を証する書面
法人全般の代表権を有する者の資格を証する書面の範囲について
有資格者(神職)以外の者でも代表役員になることは可能
任期の定めがある代表役員代務者が再任される場合であっても、重任の登記を要する
乙寺院の住職は、包括団体である宗教法人甲宗の規則に基づいて管長により任命され、かつ、乙の規則によって当該住職が乙の代表役員に充てられている場合、乙の代表役員の変更の登記申請には、包括団体である甲の規則のほか、乙の規則の添付を要する
代表役員はその包括団体の規則によって任命された宮司をもって充てる旨の規定がある場合、代表役員変更登記申請には規則のほかに包括団体の添付を要する
住職に選任されれば必ず責任役員及び代表役員の地位を与えられるのかどうか判然としない場合の登記について
代表役員の死亡による変更登記申請は後任者就任後2週間以内に申請しなければならない
包括団体の代表者が代表役員を任命する旨の規則の定めがある宗教法人における代表役員の就任の日は、被任命者の就任承諾の日か任命書到達の日のうち、いずれか遅い日
代表役員の選任及び解任の申請書には責任役員の互選により選任した場合を除き規則の写及び任命を証する証明書を添附すべきである
規則に終身とあるのを4年に変更した場合、変更時の代表役員の任期は、規則の変更が効力を発生してから4年である
代表役員の任期について別段の定がない場合、辞任又は解任等がなされない限り任期満了による変更登記は必要ない
代表役員変更登記の申請書には規則を添附する
住職の任命申請書は代表役員の変更を証する書面にあたらない。代表者の就任が管長の任命による場合、任命書への印鑑につき印鑑証明書は添付不要
代表役員はこの寺院住職の職にある者をもつて充てる、との定めがある場合規則のほかに宗制をも添附すべきである
代表役員就任年月日は任命書記載の月日が原則であるが辞令書交付年月日でも認められる場合
単に「責任役員の任期は何年とする」とした場合には、代表役員たる責任役員の任期もこの規定の適用があり、任期満了による変更登記を要する
前任者が2月15日任期満了し、後任者が3月1日就任した場合の退任就任年月日は3月1日
包括宗教法人発行の被包括宗教法人の代表役員の任命書又は辞任承認書があっても、就任承諾書又は辞任届の添附を要する
代表役員の資格を証する書面は当該宗教法人が所属する宗教団体の出先機関の証明したものでよい
単に「責任役員の任期は何年とする」とある時は、責任役員の変更の他に代表役員の変更登記もする
充当制をとる宗教法人の主宰者の地位の辞任と法人等登記規則第5条で準用する商登規第61条第6項の準用

代表役員代務者・仮代表役員
判決による仮代表役員の登記
会議招集権がある宗務管長が解任され解任につき争いがある旨の議事録記載がなされている代表役員代務者就任登記申請の受否
規則に任期伸長規定があり、かつ任期満了を代表役員代務者選任事由としている場合、任期満了により退任する代表役員の後任者が速やかに選任されないとして、代表役員代務者就任の登記申請は、受理して差し支えない
責任役員会議事録が、代表役員代務者の解任、選任を証する書面とはならないとされた事例
仮代表役員よる代表役員の死亡及び仮代表役員選任の登記申請は受理すべきでない
仮処分決定に基づく職務執行停止並びに代表役員職務代行者選任の登記は受理できないが職務代行者から代表権を有する者の就任による変更登記の申請は受理できる
代表役員代務者の登記をしたとき、代表役員の登記は朱まつしない
設立当時代表役員として登記した者を代務者に更正する登記はできない
仮代表役員及び仮責任役員については、別段登記すべき定がないから、その必要はない
代務者で設立登記を誤つて受理した場合職権抹消せず役員変更登記ができる
代務者が再任された場合は同一人であっても重任登記は必要

責任役員
宗教法人の責任役員の退任日付について
責任役員の任期の起算点は登記の翌日
責任役員の任期は代表役員の委嘱を受けた後就任を承諾した日。ただし就任受諾の意志表示の日が委嘱の日以前である場合には、委嘱の日
責任役員資格証明書だけで責任役員の登記はできない
責任役員は代表役員が選定し、○○宗の代表役員の委嘱を受けるものとする。とある場合、委嘱書到達の日か就任を承諾した日のいずれか遅いときが任役員就任の日となる
任期のある責任役員が全部辞任した場合次に就任した責任役員の任期は更新したものとする。責任役員は任期が満了しても後任者が就任する時まではなお在任することになつている場合後任者の任期には影響を与えない
責任役員変更登記の可否について
責任役員に委嘱就任したことを証明する旨の代表役員の証明書では役員変更登記できない
規則に解任に関する定めがなくとも、責任役員の選任権限を有するものは当然解任権がある

その他
法人登記規則第9条で準用する商業登記規則第80条の運用(登記用紙の使用方法)
役員の定数を欠く場合とは規則上の定数を欠く場合も含まれる
役員変更登記には所属教派、宗派又は教團の主管者の任免を証する書面を添附すべきで効力発生日はその到達した日
役員の重任の日は任期満了日と同日でよい



代表役員

宗教法人の主管者の地位に対する仮処分の登記はできない
604 宗教法人の主管者の地位に対する仮処分の登記取扱方について
(昭和27年9月4日附発第448号長崎地方法務局長問合、同年同月19日附民事甲第294号民事局長回答)
 (旧)宗教法人令による宗教法人(寺院)の主管者解任され、後任主管者より退任及び就任の登記を完了したが、前任主管者において、右解任を不当として任命権者曹洞宗管長を相手取り、解任取消の訴を提起し、目下本案繋属中の事案に対し、別紙の如き仮処分の決定がなされた場合、右仮処分中第2項の事項はその職務執行上当然登記を要するものと考えられますが、裁判所から該登記を嘱託すべき規定もないようですから(旧)宗教法人令施行規則第16條により主管者(債権者)から申請登記すべきものと解し、処理し差支えないか。
 若し差支えないとすれば、その登記は登記事項の変更として変更欄に左の振合で登記し差支えないか。
「昭和27年8月21日東京地方裁判所の仮処分決定により、昭和27年8月7日退任した主管者左の者は、右退任の原因である任命権者の解任を不当とする解任取消の本案判決確定に至るまで、皓台寺の主管者としての職務を執行することができる旨の仮処分があつた。
  ○○市○○町1番地
           ○○○○
 右昭和27年月日登記」
右聊か疑義があり目下差迫りたる事案につき至急電報にて御回示願いたく登記簿謄本添付御伺いします。
(別紙)
    主文
 債務者が昭和27年8月7日附を以て債権者に対してなした「皓台寺の兼務住職の職を免ずる」旨の住職罷免処分はその効力を停止する債権者は本案判決確定に至るまで皓台寺の兼務住職としての職務を執行することができる。債務者は債権者の右職務の執行を妨害してはならない。
  昭和27年8月21日
      東京地方裁判所民事第9部
         裁判官山本笑一
(登記簿謄本)
   略
(回答電丈)
 9月4日付で問い合せのあつた宗教法人の主管者の地位に対する仮処分の登記はこれをすることが出来ないものと考える。

宗教法人の代表役員の解任による変更登記申請の受否
4506 宗教法人の代表役員の解任による変更登記申請の受否について
(昭和53年5月4日付け登第456号京都地方法務局長照会、昭和53年12月26日付け法務省民4第6775号民事局長回答)
【要旨】 宗教法人の規則においてその代表役員は宗教団体の管長をもつて充てるとされている場合において、宗教団体の管長の推戴機関による管長の解任決議に瑕疵があるとして、これに基づく宗教法人の代表役員の変更登記申請を受理すべきでないとされた事例
(照会) 宗教法人「○○○○」の標記申請がありましたが、右法人の総則等には解任についての規定もなく、かつ世襲制であるとの明文も存しませんので、管長(代表役員)の推戴機関である宗議会及び門徒評議員会の解任決議は有効と解し、受理するのを相当と考えますが、いささか疑義がありますので、何分の御指示を賜わりたく関係書類を添えて照会します。
 追つて、右申請に関し、別紙(掲載省略)参考資料のとおり、○○○○代表役員○○○○から上申書が提出されておりますので、これを添付します。
 なお、右解任及び後任代表役員の選任に関し、職務執行停止の仮処分申請が京都地方裁判所に対し提出された旨の新聞報道があります。
(回答) 本年5月4日付け登第456号をもって照会のあった標記の件については、受理すべきでないと考える。
【解説】..................................................................
一 本件照会は、宗教法人○○○○の代表役員解任による変更登記申請の受否を問うものである。
 宗教法人○○○○の代表役員については、同法人の母体である宗教団体○○○○の管長の職にある者をもつて充てることとされている(宗教法人○○○○規則(以下「規則」という。)5条)が、宗教団体○○○○の宗憲によれぼ、同派の管長は、宗議会及び門徒評議員会によつて推戴されることとなつている(宗憲16条)。しかし、右の規則及び宗憲には、代表役員又は管長の解任に関して何ら規定が置かれていないのであるが、宗教団体○○○○においては、管長の推戴機関たる宗議会及び門徒評議員会によつて管長を解任する決議をし、後任管長を選任したため、宗教法人○○○○の代表役員に変更を生ずることとなつたとして代表役員の変更登記申請がされた。この登記申請を受けた照会庁では、管長の解任に関して明文の規定がないため、その解任の可否について疑義を生じ、本件照会に及んだものと思われる。
二 ところで、法人の代表者等の役員の解任について法令、定款、規則等に明文の規定がある場合には、その規定によることになるが、解任に関して明文の規定がない場合において、法人が代表者等の役員を自由に解任することができるかどうかは、当該法人と役員との法律関係によつて決まるものと解されている。
 法人と役員との間の法律関係については、委任、雇傭、無名契約等種々のものが考えられるが、一般には委任ないし準委任契約であると解されている。すなわち、法人と役員との法律関係は、総会の決議その他に基づいて法人の代表機関より被選任者に対して任用契約の申込みをなし、被選任者がこれを承諾することによつて成立するが、この任用契約は、被選任者が法人の目的を達成するために、一定の内部的及び対外的な事務の処理を行うことを内容とする。このように、法人と役員との間の法律関係が委任ないし準委任契約であるとすれば、民法の委任に関する規定が適用されることになり、法人は、民法651条1項の規定により役員をいつでも自由に解任することができることになる。この場合の解任を決定する機関は選任権をもつ機関と考えられる。
 しかし、右のような法律関係が、本件宗教団体と管長との関係について妥当するかどうか、すなわち、本件宗教団体の管長については、委任に関する規定の適用を排除し、あるいは、法人からの解任が制限される法律関係にあるかどうかを検討する必要がある。
1 本件宗教法人と代表役員との法律関係
 本件宗教法人の代表役員については、宗教団体○○○○の管長の職にある者をもつて充てることとされているので(規則第5条)、その法律関係は、宗教団体○○○○とその管長との間の法律的性質がいかなるものであるかによることになる。
 ところで、宗教団体○○○○における管長の選任についてであるか、同派の管長は、宗憲17条の2により管長推戴条例(以下「推戴条例」という。)の定める手続によつて選任されることとなつている。すなわち、管長の推戴は、宗務総長の提案によつて、宗議会及び門徒評議会の両会が各別に管長候補者を決定することになつているが、両会で決定した管長候補者が異なるときは、両会協議会を開いて決定する(推戴条例2条、4条及び5条)。そして、管長候補者が決定すると、両会の議長は宗務総長に対しその旨報告し、この報告を受けた宗務総長は、両会の議長とともに候補者に対し管長としての就任を要請し、管長候補者がこれを受諾すれば管長の就任が決定する(推戴条例6条及び7条)。
 以上にみたとおり、管長の選任については、宗議会及び門徒評議員会の選任機関によつて管長候補者を選任し、宗務総長から被選任者に対して任用契約の申込み(就任要請)をなし、被選任者がこれを承諾することによつて成立する契約であるといえる。そして、管長に就任した者は、本件宗教法人の代表役員となつて法人の事務を執行するほか、宗教団体○○○○においては、宗憲の定めるところにょり、宗務総長の任命、条例の公布、住職及び教会主管者の任免等の事務を執行するものである(宗憲18条及び19条)。したがつて、宗教団体○○○○と管長との間の法律関係は、他の法人一般におけるのと同様に、委任ないし準委任契約であると解される。ただ、同派の管長就任者の地位が世襲であるとした場合には、右の法律関係が委任関係であることを否定されることになるかどうかという問題はあるが、仮に世襲制が採られているとしても、それは、事実上管長候補者が宗祖親鷲聖人の血脈を継ぐ○○家の出身者に限定されるという関係にすぎないと考えられる。管長の就任はあくまで同派と管長候補者との任用契約によつて成立するものであるから、本件における法律関係が委任ないし準委任契約であることまで否定することにはならないといえる。
2 宗教団体○○○○における管長の世襲制とその解任の可否について
 宗教法人法、本件宗教法人の規則及び宗教団体○○○○の宗憲では、代表役員又は管長の解任に関して何らの規定もおかれていないが、宗教団体○○○○と管長との法律関係が委任ないし準委任契約であるとすれば、同派は、民法651条1項によりいつでも管長を解任することができることとなり、その結果、宗教法人の代表役員はその地位を喪失することになる。しかし、同派における管長就任者の地位が世襲であるとした場合には、当該管長の存命中は解任が許されないことになるかどうか、また、解任が許されるとして、後任者については宗祖○○聖人の血脈を継ぐ○○家の出身者以外から選任することが許されないかどうかが問題となる。同派の現行の宗憲では、管長就任者の地位が世襲であることの明文の規定はおかれていないので、管長制度の沿革、又は宗教法人法、宗憲、推戴条例等の規定全体の趣旨からみて、世襲制であると解する余地があるかどうかをまず検討する必要がある。
 ところで、宗教団体の管長制度については、明治5年6月9日教部省達をもつてまず仏教につき教導職管長が置かれることとなつたのに始まるが、明治17年8月11日太政官布達第19号により、右教導職制が廃止されるとともに神仏各宗派ごとに管長一人が置かれることとなり、管長には寺院の住職を任免する権限が委任されるなど宗派統轄の権限が与えられ、制度的に確立されるに至った。その後に制定された宗教団体法(昭和14年法律第77号)は、同法施行の際に現に存する教派又は宗派の管長は同法による管長とみなすこととし(同法31条1項)、右布達の管長制度を承継したが、宗教法人令(昭和20年勅令第719号)では、法律上の制度としての管長制度を廃止した。そこで仏教神道の各宗門は従来の制度を踏襲し、その宗門規則の上で管長制度又はこれに類似する制度を採用し、○○○○も他の宗門と同様にその宗憲において管長制度を採用している。そして、管長の選定方法については、明治17年の太政官布達当時から各教宗派の教規、宗制に委ねられていて、各宗派によつて世襲、選挙及び特選とそれぞれ異なるが、○○○○では世襲制がとられていたと解される。すなわち文部省宗教局作成の「宗教制度調査資料」(大正10年調査)によれぽ、同派の管長に選定されるべき者は本山○○の法主となつているが、この法主には本山○○の住職が当たり(現行の宗憲11条は、「本派においては、○○宗の法統を伝承するものを師主とする。本派の師主は法主と称し、本山○○の住職がこれに当る。」となつている。)、この住職となるべき者は、「宗祖日来伝燈相承ノ例ニヨリ其系統ヲ以テ世襲相続ス」るとされている。もともと、管長制度が創設されるまでの宗派については、本山と末寺制が採られていて、本山は宗派の統轄権を有し、末寺及び僧侶を指揮監督していたところから、本山を代表する住職について世襲制が採られることになつたものと思われる。したがつて、同派における管長の世襲制は、管長に充てられるべき者、すなわち、本山○○の住職の世襲制ということに帰着する。
 しかし右の制度は戦後改革され、同派の現行の宗憲(昭和21年制定)においては、法主と管長若しくは本山○○の住職と管長との地位が相互に一体であること、又は管長に充てられるべき者の地位(例えば、従来の本山○○の住職)若しくは管長自身の地位が世襲であることについて明文の規定は置かれていない。したがつて、同派の管長就任者の地位については世襲制が採られているとはいえないと考える。ただ、推戴条例8条において、管長が未成年であるときは、管長代務者を置く旨定められているが、これは、世襲制が採られているとした場合に、管長候補者が宗祖○○聖人の血脈を継ぐ○○家の出身者に限られるところから、未成年の管長の就任もあり得ることを予定して規定されているものと考えられなくはない。しかし、推戴条例の他の規定によれば、同派の管長の選任は、宗議会及び門徒評議員会で各別に候補者を決定すること(同条例2条)、両会が決定した管長候補者が異なるときは、両会から各委員15名を選んで、両会協議会を開いて管長候補者を決定することとしている。このことは、管長に就任する資格を有する者が複数存在することを前提としているのであり、かつ、その賞格を有する者の範囲を限定したり、それらの者の間で優劣を定めていない。したがつて、推戴条例の規定からは、管長候補者を宗祖○○聖人の血脈を継ぐ○○家の出身者、あるいは、本山○○の住職の地位にある者に限定していると認めることはできない。
3 役員の任期の定めがない場合の解任について
 宗教法人法、本件宗教法人の規則及び宗教団体○○○○の宗憲において、代表役員又は管長の任期に関して何らの規定もおかれていないが、このような場合には、役員の任期はないものとして、法人はいつでも自由に役員を解任することができるのか、それとも、役員の任期を終身と解し、法人はいかなる事情があつても役員を解任することはできないかどうかという問題がある。民法651条1項の規定からは、通常前者によるべきであると解されるが、一部の法人、殊に宗教団体においては、教宗派の教祖又は代表者は、その者自身が信仰上の中心又は対象であるともいえるので、信者等の団体構成員の意思として、その地位を終身間保障しているとも考えられる。そこで、本件では管長の任期について終身制が採られているかどうか、終身制であるとした場合には、管長の解任は制限されることになるかどうかが間題となるが、その前提として、そもそも役員の任期を終身とすることが許されるかどうかが問題となるので、それについて検討する必要がある。
 ところで、法人が役員の任期を「終身」とすることは、つまり、法人と役員との委任関係において法人からの解任権の放棄を意味することになるのであるが、委任の本質上からこのような解任権の放棄が許されるかどうかが問題となる(許されないとした場合は終身制が否定されることとなり、問題が生じないといえる)。委任契約における解除権放棄の特約の有効性、すなわち、当事者が民法651条1項の適用を排除して、解除権(告知権)をあらかじめ放棄する内容の特約をした場合、その特約が有効であるかどうかについては、民法651条1項を強行法規と解するか否かによつて説が分かれるところである。多数説は、当事者の信頼関係を基礎とする委任の本質上、民法651条1項を強行法規と解し、原則として委任者の解除権の放棄は無効であるとする。判例も、「委任ハ当事者ノ信任ヲ基礎トスルモノナレハ子孫ニ至ルマテ永久ニ守護役ヲ勤務セシムルコトヲ約スルカ如キハ委任ノ性質ニ反スルモノニシテ固ヨリ無効ナリ」とする(大審院大正6年7月14日第3民事部判決、民録23輯1、423べージ)。これに対し、最近の有力説は、民法651条1項を任意法規と解し、契約自由の原則により、解除権放棄の特約は有効であるが、ただ、その特約が公序良俗に反したり脱法行為となる場合は解除権を行使できるとする。
 思うに、民法651条1項の規定は、強行法規とは解せられない(同条は、契約当事者たる委任者及び受任者のみの利害に関する関係を規律し、公の秩序の維持、第三の保護を目的とするものではない。)から、当事者があらかじめ解除権を放棄する旨の特約は、原則として有効であると考える。しかし、委任関係は、当事者の特別の信頼関係を基礎として成立するものであるから、その信頼関係が破綻した場合までその特約の効力を認め解除権の行便が許されないとすれぼ、委任者にあまりに不利益を及ぼすことになるので、このような場合には、事情変更の原則の適用により、その特約の存在にかかわらず、委任契約を解除(告知)することができるものと解される。したがつて、委任関係においてあらかじめ解除権を放棄する旨の特約は、原則として有効であるが、絶対無制限にその特約の効力が認められるものではないといえる(大判昭14・4・12民集18巻397頁)。そして、このことは、法人と役員との関係においても同様であつて、法人が役員の任期として終期を定めず終身とすることも、さらには解任権放棄の特約をすることも許されるが、当該役員の在任中は絶対に解任ができないというものではないと解される。役員の任期の定めがない場合にあつては、法人は、無条件に、あるいは解任事由の当否にかかわらず役員を解任することができるのに対し、役員の任期を終身とする場合にあつては、任期中の解任ということになるから、やむことを得ざる事由によらない解任の場合には、損害賠償義務を負うことになり、また、解任権を放棄したときには、委任関係を継続し難い重大な事由のない限り解任は許されないことになる。
 本件宗教団体○○○○の管長の任期をどのように解するかという点に関しては、管長の任期がないというのではなく、管長の任期を終身とするものではないかとも解される。なぜなら、多くの法人にあつては、法令、定款、寄附行為等において役員の任期を定め、また、定めることになつているのが通常であるが、法人(団体)の根本規則においてあえてその任期を定めていないということは、信者等の団体構成員の意思として、管長に対する信頼関係が破綻しない限り、団体の事務処理及び運営をなるべく同一人の手に委ね、容易にその交替を認めることを欲していないと思われるからである。
三 管長の解任及び後任者の選任手続について
 以上において検討したとおり、宗教団体○○○○と管長との法律関係は委任契約であると解される。
 同派の宗憲では管長の任期に関して何らの規定も置かれていない。なお仮にその任期を終身であると解しても、同派と管長との法律関係が委任契約である以上、管長の存命中には絶対に解任ができないというものではなく、当事者の信頼関係が破綻し、委任関係を継続し難い重大な事由が生じたときは、事情変更の原則の適用の下に解任は許されるものと解され、その事由の存否は一次的には管長の選任機関の判断によるべきものと考えられる。
 本件では、管長の推戴機関である宗議会及び門徒評議員会の決議によつて管長を解任すると同時にその後任管長を選任したものであるが、解任機関及び解任手続等が適法であるかどうかについて検討する。
 まず、管長の解任機関についてであるが、宗憲及び推戴条例において管長の解任権限がいずれの機関に属するかについて明文の定めがないときは、その権限は管長の選任機関にあるものと解される。
 次に、管長の解任及び後任管長の選任の手続、決議方法が適法であるかどうかについて検討する。
 管長の推戴は、宗議会及び門徒評議会の両会で各別にその候補者を決定することになつているが、その議事は、両会とも、構成員の4分の3以上の出席した会議で、4分の3以上の多数をもつて決議しなければならない(推戴条例2条)。
 管長の解任及び後任管長の選任に関する宗議会の議事録によれば、会議の開催に必要な定足数、決議に必要な議決権数、決議方法はすべて要件を充足しているので、宗議会における決議に瑕疵はないものと思われる。
 一方、門徒評議員会については、議員286名中251名(うち委任状による出席110名であるが、門徒評議会条例4条ただし書により、委任状による出席が認められている。)が出席しているので、会議は有効に成立しているが、決議方法について問題があると思われる。同会においては、新管長候補者を選任する決議の中には現管長の解任の決議が含まれているものとして、管長候補者の選任決議をしたのであるが、その採決に当たつては、新管長候補者に反対する者についてのみ起立を求め、残りの出席者については何らの意思表明をさせることなくすべて賛成者として取り扱つている。しかし、賛成者とみなされた者の中には、賛否保留者あるいは棄権者が含まれている可能性があるから、出席者251名から反対者30名を差し引いた221名をもつて賛成者の数とすることはできないものと解される。したがつて、賛成者の数が判明しない以上は、出席者の4分の3以上の多数をもつて決議したことにはならないといえる。そうすれば、同会における管長の解任及び新管長候補者の選任の決議は、成立したものと認められない。
四 結論
 管長の解任及び後任管長の選圧については、宗議会及び門徒評議員会の決議がそれぞれ適法になされて初めて有効な決議となり、その効力を生ずることになる。本件では、議決機関の一方の門徒評議員会の決議に瑕疵があるので、管長の解任及び新管長選任の効力は生じていないこととなる。
 本件代表役員の解任及び就任による変更登記申請については、右新管長からなされており適法な代表者からされたものでなく、添付の書類からは管長の解任及び新管長の選任が有効になされたものとは認められないから、商業登記法24条4号、8号、10号(宗教法人法65条で準用)に該当し、却下すべきであるとされたものと思われる。

代表役員たる住職の選任について定めがない場合は慣習により、慣習がない場合は条理により選任する
3310 宗教法人の代表役員の選任について
(昭和40年6月1日付日記登第496号静岡地方法務局長照会、同年12月6日付民事甲第3403号民事局長回答)
【要旨】 宗教法人の規則中、「代表役員は、この寺院の住職の職にあるものをもつて充てる」、「総代は、この寺院の運営及び住職又はその代務者の進退に関する事項について関与する」旨の定めはあるが、代表役員たる住職の選任について定めがない場合における住職の選任方法。
(照会)
 包括団体から離脱して単立寺となつた宗教法人について、代表役員の選任に関して争いがあり、互いに異なつた選任方法により選任した代表役員の変更登記の中請が相次いでなされましたが、同法人の規則によれぼ、「代表役員は、この寺院の住職の職にあるものをもつて充てる」、「総代は、この寺院の運営及び住職又はその代務者の進退に関する事項について関与する」旨の規定があるだけで、住職選任についての明文を欠いているため、その選任について次のとおり疑義があり、さしかかつた事件でもありますので、至急何分の御指示をお願い致します。
     記
一、総代が住職の進退に関する事項について関与する旨の規則の定めは、住職の選任を総代の権限と定めたものとは解されないと考えますが、総代が住職を選任することを定めた規定と解すべきでしようか。
二、右が住職の選任機関を定めたものでないとした場合、当該寺院に住職の選任に閑する慣習があれぱ、その慣習に従つて住職を選任すべきものと考えますが、かかる慣習による住職の選任は認められないでしようか。
三、右のように慣習による住職の選任を認めうるとした場合、昭和28年6月5日に設立登記をして以来代表役員の変更登記がなされておらず、かつ昭和32年3月5曰に包括団体から離脱して単立寺となつた当該宗教法人については、設立登記以前にかかる慣習があつたとしても、そのような慣習は少なくとも単立寺となつて以後は、存在しないものと考えますが、現在もかかる慣習が存続すると解することができるでしようか(かかる慣習があるものとして登記申請がなされています。)。
四、一の規定は、住職の選任機関を定めたものではなく、かつ住職選任に関する慣習も存在しない場合は、檀徒の過半数以上の同意によつて住職を選任することができると考えますが、(檀徒の総会を開いて住職を選任した登紀申請がなされています。)、規則の変更により住職(代表役員)の選任規定を定めてから、これが選任をなすべきでしようか。
◎参考 東京地方裁判所昭和32年(ワ)第7230号責任役員会決議無効確認等請求事件判決(昭和37年10月9日言渡)
(回答)
 6月1日付日記登第496号で照会のあつた標記の件については、左記のように考える。
     記
一、二、貴見のとおり。
三、慣習は包括団体からの離脱によつて消然には消減しない。
四、住職の選任に関する規則の定めも、慣習も存在しないときは、条理によるが、条理上常に所問の方法によるべきであると、断定することはできない。

条理により住職を選任したきは慣習がないことを証明する書面が必要
3425 宗教法人の代表役員の変更登記の事務取扱いについて
【要旨】宗教法人の代表役員たる住職の選任方法にっいて規則に別段の定めがないため、条理により住職を選任したと認められる事案につき、その変更登記の申請があつた場合には、慣習の不存在を証する書面の添付がない限り当該登記の申請は却下するのが相当である。
(伺い)
 宗教法人の代表役員変更登記の中請があり、その受否につき左記のとおり取り扱つてさしつかえないと考えますが、いささか疑義がありますので、お伺いします。
     記
 宗教法人の代表役員の選任について、規則に別段の定めがあれば、それによるべきことは宗教法人法第18条第2項に規定するところでありますが、本件申請書に添付された寺院規則によりますと、「代表役員は、この寺院の住職の職にある者をもつて充てる」とのみ規定し、住職の選任方法について何らの規定もありません。かかる場合には、住職の選任は、住職選任に関する慣習により、またはその慣習の存しない場合には、条理によつて選任すべきことは昭和40年12月6日付民事甲第3403号民事局長回答に明示されているところでありますが、本件申請書には、代表役員たる住職選任を証する書面として檀信徒総会議事録のみしか添付されていないため、その選任が憤習によるものか、または条理によるものか、不明であります。この場合、住職選任の根拠を慣習にもとめるものであれぱ、その慣習の存在を証する書面を添付すべきものと考えられ、当該書面によつて登記官は、かかる慣習の存否を判断し、住職選任の檀信徒総会が慣習にもとづくものであると判断できれば、これを受理し、また、かかる慣習が不存在または、存在することが不明確であると判断すれば、はじめて条理によつてその受否を決することになると考えます。しかるに、申請書に当該代表役員となる住職の選任についての慣習の存在を証する書面を添付せず、その住職選任が条理によるものとして申請された場合においても、檀信徒総会により住職を選任できるとする根拠を証する書面、例えば住職選任に関する慣習の存しないことを証する書面などを申請書に添付して提出しなければ、形式的審査権しか有しない登記官としては、条理に優先する慣習について何らの判断をなすすべがないので、条理によつてその受否を決することはできないことになり、従つて、当該申請書には、右の書面の添付を要すると解すべきであり、その添付を欠くときは、宗教法人法第65条において準用する商業登記法第24条第8号の規定により当該申請を却下するほかないものと考えます。
(回答)
 6月23日付日記第562号をもつて照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考える。

規則に投票により代表役員を選挙するとされている場合、挙手の方法によつて代表役員を選任することは認められない
4433 宗教法人の代表役員就任登記申請の受否について
(昭和52年7月5日付け登第517号京都地方法務局長照会、昭和52年7月20日付け法務省民4第3702号民事局第四課長回答)
【要旨】 宗教法人の代表役員の選任方法について、耆宿会(長老会)で3名の候補者を定めた上、宗会において投票により代表役員(門跡)を選挙することとされている場合に、宗会の席上3名の候補者の中2名が候補者を辞退したため、残り1名の候補者について挙手の方法によつて代表役員を選任した旨の記載がある宗会議事録を添付して代表役員就任の登記申請がなされても、受理すべきでない。
(照会) 宗教法人「A寺」から別紙宗会の議事録を添付し標記申請がありましたが、宗教法人A寺規則第8条において、「門跡は○○宗A寺派の中僧正以上のものにつき、耆宿会で3人の候補者を定め、宗会において選定する。」と規定され、これを受けて大本山A寺寺院規則施行規程第14条で「門跡選挙については宗制の選挙規定を準用する。」と規定されています(注)。ところで、右宗会議事録からは、選挙の投票がおこなわれたと解することができないので、その変更の事由を証する書面を欠くものと考えますが、いささか疑義がありますので、何分の御指示を賜わりたく関係書類を添えて照会します。
(注)宗制の選挙規程によれぱ、「選挙は投票で行う」ことと定められている(宗制第5章第10条)。
(回答) 本月5日付け日記登第517号をもつて照会のあつた標記の件については、貴見のとおりと考える。
【解説】.
一 本件は、宗教法人A寺の代表役員就任による変更登記申請の受否を問うものである。
 事案の概要ば、A寺では門跡が代表役員になることになつているが、この門跡の選任方法については、まず、耆宿(きしゅく)会(長老会とでもいうべきもの)であらかじめ3人の候補者を定め、次に、宗会においてこの3人の候補者の中から投票により門跡を選挙すべきものと解されるところ、申請書に添付された臨時宗会議事録によると、候補者の中2人が宗会の席上において辞退の意思を表明したため、議長は全出席議員の諒承を得たうえ右2人の辞退を認め、残る1人について挙手の方法によつて同意を求めたところ全員の同意を得たので、同人を次期門跡に選任したというものである。
 ところで、宗教法人法(昭和26年法律126号)18条2項の規定によれば、宗教法人の代表役員は、規則に別段の定めがなけれぼ、責任役員の互選によつて定めることとされている。
 本件の宗教法人A寺の規則(以下「規則」という。)によれぼ、代表役員は門跡をもつて充てることとされているが、この門跡は、A寺の住職をも兼ねており、さらにその包括団体である宗教法人○○宗A寺派の管長および代表役員でもあるという重要ポストである。門跡の選任方法については、規則8条1項の規定により「○○宗A寺派の中僧正以上のものにつき、耆宿会で3人の候補者を定め、宗会において選定する」ことになつており、これをうけて(規則51条で、この規則の施行に関する細則は、規程で定めることができる旨規定している。)、同規則の細則を定めている大本山A寺寺院規則施行規程(以下「施行規程」という。)に門跡の選定に関する規定を置いている。そして、この施行規程によると、門跡の選挙については、さらに、○○宗A寺派宗制(以下「宗制」という。)の選挙規程を準用することとしている(規則50条は、包括団体である○○宗A寺派の規則中、宗教法人A寺に関係ある事項に関する規定は、A寺についても、その効力を有する旨規定している。)。
 右の選挙規程は、全体で34条にわたつているが、これらの規定は、本来、宗会議員の選挙方法を定めたものであるため、そのすべての規定が門跡の選挙に準用されるわけではもちろんないが、選挙規程の中、どの条文が準用されるかについて、施行規程には具体的に何らの規定も置かれていない。したがって、この点は解釈によつて補わざるをえないわけである。選挙規程は、前述のとおり34条にわたつているのであるが、これらのうち少なくとも選挙の方法(投票で行う)に関する規定、無効な投票に関する規定、投票を1人1票単記とする投票の方法に関する規定等およそ選挙の方法に関する基本的な規定は、門跡の選挙についても当然準用されるものと解すべきであろう。
三 本件については、耆宿会において選ばれた3人の侯補者申、2人が臨時宗会の席上で侯補者を辞退し、その辞退について、出席議員全員の諒承を得たとされているのであるが、このように耆宿会で選ばれた候補者が辞退することができるかどうかを検討する必要がある。しかし、それには、まず、規則において、何故耆宿会で候補者3人を選ぶことにしているのか、つまり、立侯補制を採らず、耆宿会において3人の侯補者を選ぶことにした趣旨を考えてみる必要がある。
 規則8条1項で「耆宿会で3人の侯補者を定め」ることとLているが、この耆宿会というのは、いわば長老会のようなもので、耆宿5人によつて構成され、門跡候補者の選定のほか、事務長の選任、寺院規則の変更、基本財産の管理処分、予算・決算の決定・承認等の権限を有している。このように、耆宿会は法人の業務執行に関する決定権を持つ重要な機関であるため、構成員たる耆宿は、中僧正(大僧正、権大僧正に次ぐ地位)以上の教師の中から選任されることになつている。門跡の選挙について立候補制を採用しないで、あらかじめ耆宿会において3人の候補を選定することとしているのは、門跡は、A寺の住職、代表役員たるにとどまらず、その包括団体である○○宗A寺派の管長、代表役員をも兼ねる重要な地位を独占することになるので、前述のように、宗務全般についての知識、経験に富む者で構成されている耆宿会において、公平な立場から、門跡にふさわしい人物を慎重に選定しようとする趣旨と解される。なお、耆宿会における侯補者の選定方法については、特に規定は設けられていないので、耆宿会が任意の方法により選定することになろうが、規則8条1項の規定の仕方からみると、候補者は必ず3人を定めることを要し、宗会は、この3人の候補者について選挙を実施すべきものと解される。これは、門跡-の地位の重要さからして、耆宿会において候補者を1人にしぼらず、複数の候補者を立てることによつて、選挙人に選択の余地を与えて、公平な方法で門跡を選任しようと配慮されたものであろう。そして、耆宿会における門跡候補者の選定は、門跡の被選任資格者を事実上定めたものにすぎず、そのことによって候補者が何ら格別の地位を与えられたものでもないと思われる。
 このように解すると、本件のように候補者が選挙前に辞退することは許されないというべきであろう。とすれぼ、本件の場合、候補者の中2人が臨時宗会の席上でした辞意表明をどのように解したらよいであろうか。そもそも候補者を辞退するということはあり得ないとすれぼ、宗会において候補者を辞退する旨の意思を表明しても、その意思表明は、仮に自分が門跡に選任されても就任を辞退したいという意思を、あらかじめ選挙人である宗会議員に対して事実上表明したものに過ぎないと解すべきであろう。したがつて、2人の候補者の辞退を有効なものとして、残り1人のみを対象として行われた門跡の選挙は、この点において規則に反するものといわざるをえないであろう。
四 次に選挙の方法について、本件の場合には挙手の方法で行われているが、前述のとおり、選挙規程には、そのような方法を認める規定はなく、投票の方法によることとされている。特に投票の方法によることの意味は、誰が誰に投票したか判らないようにし投票の秘密を保持しようとする趣旨と考えられる。したがつて、本件のような挙手の方法によることには本質的に疑問があるといえよう。
五 以上のように考えると、本件の場合、門跡の選任については、規則等の定める方法によつたものとはいえず、したがつて、その臨時宗会議事録は、宗教法人法63条2項の「変更の事由を証する書面」とはなりえないものと解される。

代表役員の選任には、選任機関の指名のほかに教主の認証を要する旨の規則を有する宗教法人の代表役員変更登記申請書には、教主の認証を証する書面の添付を要する
4841 宗教法人の代表役員変更登記の受否について
(昭和60年4月9日付け静岡地方法務局長電信照会(東京法務局経由)、同月25日付け法務省民事局第四課長電信回答)
【要旨〕 代表役員の選任には、選任機関の指名のほかに教主の認証を要する旨の規則を有する宗教法人の代表役員変更登記申請書には、教主の認証を証する書面の添付を要する。
(照会) 宗教法人Sから教主の認証の事実を証する書面を添付せず総長指名委員会議事録のみを添付して標記変更登記申請がありましたが、同法人の規則第8条によると代表役員は「総長指名委員会が教主の認証を受け指名する」とあり、これが受否については下記二説のうち甲説を相当と思料しますので、総長指名委員会議事録署名者の印鑑証明書の添付がない事実とを含めて代表役員の選任を証する書面がないものとし宗教法人法第65条において準用する商業登記法第24条第8号により却下するのを相当と考えますが、いささか疑義がありますので、何分の御指示を賜りたくお伺いします。
     記
甲説 教主の認証は、代表役員を指名する前提要件として代表役員の選任に関する必要行為であるから、指名の前提要件を欠いてなされた代表役員の選任は、有効な選任が行われたとは認められない。したがって、認証の事実を証する書面の添付を要する。
乙説 同法人の規則によれば、教主は本宗教法人の象徴とされていることから教主の認証それ自体は、総長指名委員会の指名によって実質的に決定されたことを外部に表示する単なる形式的儀礼的行為であるから、代表役員の選任は総長指名委員会の指名のみでその効カが発生し、有効な選任が行われたこととなる。したがって、教主の認証の事実を証する書面の添付の必要はない。
(参考)宗教法人S規則(抄)
第五条 教主は、宗教法人Sの教統を伝承する者であつて、本教の象徴とする。
(代表役員の選任)
第八条 代表役員は、教団の教師又は総本部に勤務する者のうちから、総長指名委員会が、教主の認証を受け、指名する。
2 総長指名委員会の組織運営については、別に定める規程による。
(回答) 本月9日付け電信をもって民事局長あて照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考えます。

宗教法人における代表役員の解任及び新代表役員就任の登記がなされた後、その役員の選任方法にかしがあるとして右登記の抹消登記の申請があつた場合、当該申請書が方式に適合しないので受理すべきでないとされた事例
4001宗教法人の登記事務の取り扱いについて
(昭和44年7月9日付日記登第436号高地地方法務局長照会、同年8月14日民事甲第1658号民事局長電報回答)
【要旨】 宗教法人における代表役員の解任及び新代表役員就任の登記がなされた後、その役員の選任方法にかしがあるとして右登記の抹消登記の申請があつた場合、当該申請書が方式に適合しないので受理すべきでないとされた事例
(照会)
 別紙(1)○○神杜規則および別紙(2)(3)の代表役員選任を証する書面を添付した申請に基づき、別紙登記簿謄本のとおり代表役員の解任及び就任の登記を完了した後、別紙(4)のとおり右登記の抹消登記の申請がありましたところ、左記のとおり受理すべきでないと考えますが反対説もありこれが受否につきいささか疑義がありますので、至急電信にて何分のご指示を願います。
     記
 代表役員の解任及び新代表役員就任の登記を完了した以上代表役員選任の前提たる責任役員選任の方法につき、たとえかしがあつたとしても選任無効の裁判が確定するまで受理すべきでない。
別紙(1)
   宗教法人○○神杜規則(抄)
第5条 本神杜に責任役員9名を置きそのうち1人を代表役員とする
第6条 代表役員は本神杜を代表し、その事務を統理する
 責任役員は役員会を組織し宗教上の機能に関する事項を除く外本神杜の維持運営に関する事務を決定する
第7条 代表役員は責任役員の互選によって定める
第8条 責任役員は崇敬者中徳望篤き者の中から選定する
 前項に定める役員の任期は3年とする
 但し補欠役員の任期は前任者の残任期間とする
別紙(2)(3)省略
別紙(4)
   宗教法人変更登記抹消申請書
(事務所)○○○○○
(名称)○○○○
代表役員○○○○
右代理人弁護士○○○○
(抹消すべき登記)
 本神杜についてなされた左記の宗教法人変更登記
 昭和44年3月31日御庁受付第164号
原因 昭和44年3月23日○○市○○13番地代表役員○○○○解任により退任、
 右同日○○市○○町○番地○○○代表役員就任
(登記の無効原因及び申請の根拠)
1 前記変更登記申請書によると、登記の事由、登記すべき事項として、昭和44年3月23日崇敬者総会において代表役員○○○○は責任役員を解任されたため、代表役員の資格を喪失し同日退任したこと、並にその後任者として○○○が代表役員に就任した旨記載されている。
2 而して昭和44年3月23日に開催されたという崇敬者総会なるものは、右変更登記申請書の添付書類である崇敬者総会議事録の記載及び総会開催についての公告によると○○○○氏の招集によつてなされたものであることは明らかである。
3 ところで宗教法人法第18条第3項及び本神杜規則(変更登記申請書に添付されている)第6条によると、本神杜を代表し、その事務を総理するものは代表役員に限られており、代表役員が本神杜と利益が相反する事項については、前記同法第21条1項、規則第10条により役員会において仮代表役員を選ぼなければならないことになつている。(尤も総会の招集行為自体は単なる手続に過ぎないから、代表役員と利害相反すると解すべき余地はない。)
4 然るに前記総会なるものを開催した昭和44年3月23日当時の本神杜の代表役員が名実共に○○○○であることは貴庁の登記に徴しても明白で、○○○○氏は代表役員でも、仮代表役員でもなく、名誉禰宜に過ぎなかつたことも又添付書類の1記載により明らかである。
5 そうすると前記3月23日の総会なるものは、招集権者に非ざる者の招集によつてなされたことになり、法律上は所謂「総会不存在」の典型的な場合に該当し、その集会でなされた責任役員解任、後任者選任等の決議も又、すべて当然に絶対無効と解すべきことは、争いの余地のないところである。
6 そこで宗教法人法第65条により準用せられる商業登記法第109条に基き、前記無効登記の抹消申請に及んだ次第です。
(前記集会における決議の無効原因については他にも数個存在するけれども、これらの無効原因は登記申請書及び添付書類からは必ずしも明らかでないため(尤も招集通知や公告に目的事項の具体的記載がないことはわかるが、−民法第62条参照)貴庁の形式的審査権の行使によつても無効であることの明らかな招集権者の問題のみを指摘するに止めました。)
7 尚、本件については昭和44年3月28目から4月3日迄の間になされた○○地方裁判所の一連の仮処分決定により、○○○○氏の本神杜代表役員としての職務の執行は保護されているのに反し、○○○氏に対しては代表役員としての職務の執行は停止されていることを念のため申し添えます。
  添付書類
一、委任状1通
一、仮処分決定写3通
   省略
 昭和44年7月4日
        代理人弁護士○○○○
高知地方法務局御中
(回答)
 本月9日付日記登第436号で照会のあつた標記の件は、申請書が方式に適合しないので受理すべきでない。

未成年者は代表役員となることはできない
639宗教法人の登記事務取扱について
(昭和28年1月10日付日記登第22号金沢地方法務局長問合、同年同月26日民事局長回答)
 宗教法人の設立にあたり寺院規則にもとずいて責任役員3人を置くが、1人はその寺院の住職が責任役員及び代表役員となり、残る2人は代表役員が寺院関係人から選任することに定められている。然るに責任役員であり又代表役員となる住職未成年のためその代務者を定め設立登記申請をした。この場合受理しても差支えないと考えますが、宗教法人法第20条第1項第1号に該当するのでしようか。疑義がありますので、何分の御教示を願います。
(回答)
 本月10日付記登第22号をもつて照会のあつた標記の件については、未成年者は代表役員となることはできないので(宗教法人法第22條)設立当初代表役員が存在しないこととなるから、設立登記の申請は受理することができないものと考える。なお、宗教法人法第20條第1項の代務者は、設立当初から選任する事はできないものと考えるので、念のため申し添える。

代表役員たる責任役員の任期は住職在任の期間。代表役員以外の責任役員の任期は規則による
980 宗教法人登記事務取扱について
昭和30年8月8日津地方法務局長照会、同年8月17日民(四)発第263号民事局第四課長回答
 左記間題について取扱上疑義がありますので、何分の御指示をお願いいたします。
    記
1問
    ○○寺規則(抄)
   第1節 代表役員及び責任役員
 (員数)
第7条 この法人に3人の責任役員を置き、そのうち1人を代表役員とする。
(代表役員の資絡及び選任)
第8条の法人の代表役員は、○○寺の住職(主管者)の職にあるものをもつて充てる。
2 住職(主管者)は宗則により○○○○派の法主が任命する。
3 住職(主管者)任命の申請は、宗則の規定によりその寺の所属の教師から住職の発意又は遺志により役員及び総代の同意を得て住職(主管者)又は、住職代務者(主管者代務者)が行い、住職(主管着)及び住職代務者(主管者・代務者)がともに無いときは、責任役員及び総代が合議して行う。
(責任役員の資絡及び選任)
第9条 代表役員以外の責任役員は左に掲げるものとする。
1、○○寺に所属の教師又は寺族で代表役員が選定した者   人
2、代表役員が総代の同意を得て、檀信徒の中から選定した者   人
(任期)
第10条 代表役員の任期は住職在任中とし、責任役員の任期は4年とする。但し、重任を妨げない。
2 補欠責任役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 代表役員以外の責任役員は、辞任、任期満了後でも後任者が就任する時までなおその職務を行うものとする。
 右規則による代表役員たる責任役員の任期は、宗教法人法第18条に「1、宗教法人には3人以上の責任役員を置き、そのうち1人を代表役員とする。2、代表役員は規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によつて定める。」とあつて、代表役員は即ち責任役員でなげればならない。故に例示の規則にかれば代表役員の任期は住職在任中であつて、しかもなお責任役員としての任期(4年)である。いいかえれぱ住職として在任中でも責任役員の任期満了すれば代表役員の任期も満了すると定められたものと解されるのであるが、法第12条1項第5号「代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項」を記載しなければならない。とある点から代表役員の任期と責任役員の任期は別個に定められるのが建前であると考えられる。
 故に例示の規則制定の主意もここにあつて、文脈その意を尽されないが「代表役員の任期は住職在任中とし、その他の責任役員の任期は4年とする。」旨を制定せられたものであると推理解釈すベきであると考えますが差支えありませんか。
2問
 宗教法人法附則第5項により設立した当初の代表役員、責任役員の任期の起算日について、宗教法人法第15条による法人成立の日から起算すべきであると考えられますが、左記のごとく寺院規則に定めがあれぱ、これに従うとの異説があります。いずれによるべきでしようか。
    寺院規則(抄)
(本文省略)
附則
第1例
1、この規則は、○○県知事の認証を受げた日から施行する。
2、従前の規則は廃止する。
3、この規則施行当初の代麦役員その他の責任役員は左に掲げる者とする。
 代表役員    何某
 責任役員    何某
 同       何某
第2例
1、この寺則はこの寺院の設立の登記をした月から施行する。
2、この寺則施行の際、現に存する住職(代表役員)、寺族、門徒総代(責任役員)及び門徒たる者は、それぞれこの寺則による住職(代表役員)、寺族、門徒総代(責任役員)及び門徒とみなす。但し、任期がある者については、従前の規定により従前就任の日から起算する、
3、第1例3項と同じ。
(回答)
 本月8日付日記登第217号で照会のあつた標記の件については、左記のとおり回答する。
     記
1については、貴見のとおり代表役員たる責任役員の任期は住職在任の期間とし、代表役員以外の責任役員の任期は4年とする趣旨に解するのが相当である。
2について、第1例の場合は、貴見のとおり。第2例の場合は、規則の定めに従い任期の計算をするのが相当である。

本庁統理の代表役員資格証明書に押印された印鑑につき本庁統理の印鑑証明書は必要ない
3685 商業登記規則第82条第2項の準用について
(昭和42年12月5日付電報番号36号仙台法務局民事行政部長電報照会、同年12月8日付民事四発第975号民事局第四課長電報回答)
(要旨) 代表役員は包括団体の代表者が任命する旨の規則の定めがある宗教法人について、代表役員の就任による変更の登記を申請する場合には、商業登記規則第82条条第2項は準用されない。
 商業登記規則第82条策2項の準用について
(照会)
 代表役員の選任は、包括団体の代表者が任命する旨の規則の定めがある宗教法人の代表役員の就任による変更登記中請書に、包括団体代表者「神杜本庁統理」の証明にかかる代表役員資格証明書が添付されているが、同証明書に押印された右代表者の印鑑証明書は、添付させる必要がないものと考えますがいかがでしようか。
 さしかかつた事件があるので折返し電信でご指示願います。
(回答)
12月5日付電照の件は貴見のとおり。

死亡した代表役員から設立登記の申請がなされていることが判明した場合、設立登記を抹消することなく、申請により代表役員の登記の更正をすべきである
3546 認証後設立登記前に死亡した宗教法人代表役員の変更登記申請の取扱いについて
(昭和42年3月13日付弐登商一第265号千葉地方法務局長照会、同年3月17日付民事甲発第709号民事局長回答)
【要旨】 宗教法人の設立登記につき、死亡した代表役員から登記の申請がなされていることが判明した場合において、当該設立登記を抹消することなく、申請により、代表役員の登記の更正をすべきであるとされた事例。
(照会)
 宗教法人法附則第5項の規定により設立された新宗教法人の代表役員が、規則の認証をうけたのち設立登記前に死亡したことを理由として、右宗教法人の代表役員変更登記申請がなされたが、設立登記は(その登記前に後任代表役員の選任された事実がないので)無効であるから、宗教法人法第65条において準用する商業登記法第110条(同法第24条第2号に該当するものとして)以下の手続により抹消さるべきものであり、右代表役員変更登記申請はこれを却下すべきものと考えますが、いささか疑義があるので、何分のご指示を得たく照会します。
 おつて、本件は農地報償に関連し、さしかかつた事案であるので至急ご指示を仰ぎたく申し添えます。
(回答)
 3月13日付弐登商一第265号で照会のあつた標記の件については次のとおり考える。
     記
 代表役員の変更登記申請を却下すべきことは貴見のとおりであるが、設立登記を職権により抹消することはできないものと考える。なお、本件については、申請により代表役員の登記の更正をした上、変更後の代表役員就任の登記申請をさせるのが相当である。

包括宗教法人が発給する被包括法人代表役員の任命書及び辞任の承認書の様式の例
2937 包括宗教法人(宗教法人○○教)が発給する被包括法人代表役員の任命書及び辞任の承認書の様式について
(昭和39年2月22日付日記第326号○○地方法務局長照会、同年5月16日付民事甲第1754号民事局長回答並びに各地方法務局長、地方法務局長あて通達)
 標記の件について、別紙甲号のとおり○○地方法務局長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官に周知方取り計らわれたい。
 おつて、貴管下登記官に移達するために必要な部数は、別途送付するから申し添える。
別紙甲号
 標記について、別紙のとおり宗教法人○○教代表役員から照会があり、照会の様式でさしつかえないものと考えますが、右は全国的に統一を要する事案でありますので、何分のご垂示をたまわりたくお伺いします。
(別紙)
 昭和39年2月21日
     ○○県○○市○○三島町○○○番地
       宗教法人「○○教」
         代表役員 ○○○○
 ○○地方法務局長 ○○○○殿
 包括宗教法人が発給する被包括法人代表役員の任命書及び辞任の承認書の様式について(照会)
 宗教法人「○○教」(以下「包括法人」という。)が包括する宗教法人の代表役員変更登記を申請する場合には、包括法人代表役員の任命書及び辞任の承認書の添付を必要としますが、登記手続の迅速をはかる目途から、別紙任命書及び承認書の様式を次の通り制定致したいと思いますが、その可否について御指示を賜りたく御照会致します。
 尚、包括法人規則及被包括法人の規則は左記の通りであります。
     記
1 宗教法人「○○教」規則抜萃
   第4章 教   会
  (代表役員及びその代務者)
第40条 一般教会の代表役員及びその代務者は、当該教会の規則で定めるところによつて選定された者につき、この法人の代表役員が任命する
2 宗教法人「○○教○○分教会」規則抜萃
  第二章 役員その他の機関
    第一節 代表役員及び責任役員
      (資格及び選任並びに辞任)
第七条 代表役員は、教会長の地位にあるものにして、○○教の代表役員が任命する。
2 代表役員が辞任しようとするときは、その理由書を添え、○○教○○大教会代表役員が連署して○○教の代表役員の承認を得なければならない。
任命書
住所
○○教○○分教会長
太田一郎
上記の者宗教法人r○○教○○分教会」
代表役員に任命します。
昭和 年 月 日
宗教法人「○○教」
代表役員○○○○
承認書
住所
氏名
上記の者宗教法人「○○教○○分教会」
代表役員を辞任することを承認します。
昭和年月日
宗教法人「○○教」
代表役員○○○○
別紙乙号
 2月22日付日記第326号で照会のあつた標記の件は、貴見のとおりと考える。

宗教法人登記申請に添付すべき代表役員、責任役員の資格を証する書面は、規則で定められた選任方法によつて選任されたものであることを証するに足る書面であればよい
1268 宗教法人の設立登記について
問 宗教法人登記申請に添付すべき代表役員、責任役員の資格を証する書面は具体的には如何なるものでしようか。(東海生)
答 宗教法人法第12条第1項第5号の規定によれば、代表役員及び責任役員の任免等については、規則で定めることとなつているので、その規則で定められた選任方法によつて選任されたものであることを証するに足る書面であればよいと考えます。

法人の代表権を有する者の全員について変更登記申請があつた場合の登記用紙等の取扱い
3111 法人の代表権を有する者の全員につき変更の登記の申講があった場合の名称役員欄の用紙の使用について
(昭和40年1月7日付民事甲48号法務局長、地方法務局長あて、民事局長事務取扱通達(昭和39年11月5日付日記登第554号岐阜地方法務局長照会、民事局長事務取扱回答)
 (要旨) 法人の代表権を有する者の全員について変更登記申請があつた場合の登記用紙等の取扱いについて
一、当該法人の登記用紙がすでに新用紙に改製されている場合でも、右の申請には、初葉の名称役員欄用紙を用いること。
二、改製されていない場合旧登記用紙に記載された名称、事務所及び成立年月日は、法人登記規則附則第7項により朱抹する。
三、日を異にして附則第7項による移記をし、旧登記用紙に現に効力を有する登記事項がなくなつたときの閉鎖は、附則第4項によるものとする。
 標記の件について、別紙甲号のとおり岐阜地方法務局長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官に周知方取り計られたい。
別紙甲号
 組合法人等について代表権を有する者が、その全員について変更の登記を申請する場合には、申請書に記載すべき変更後の代表権を有する者の氏名、住所及び資格並びに就任年月日は、名称役員欄の用紙と同一の用紙に記載しなければならないが、この用紙を登記用紙として用いることについて、左記のとおり疑義がありますので、何分の御垂示を賜わりたくお伺いいたします。
     記
一、新登記用紙に改製されている場合提出された名称・役員欄(初葉)の用紙中に記載された名称、事務所は、便宜記載されたもので、従前の用紙中に記載された、これらの事項が現に効力を有する登記事項と考えて差支えないでしようか。
 前項のとおりだとすれば、申請書に記載すべき変更後の代表権を有する者の氏名、住所及び資格並びに就任の年月日を便宜名称・役員欄(継続)の用紙に記載させこれを登記用紙として、用いることはできないでしようか。
 新登記用紙に改製されていない場合
 提出された名称・役員欄(初葉)の用紙を旧登記用紙の継続用紙に用いる場合、名称、事務所及び成立年月日を法人登記規則附則第七項の規定による移記事項と解し、従前の登記を朱抹すべきと考えますが、いかがでしようか。
 また、日を異にして各欄の用紙毎に移記した結果、旧登記用紙に現に効力を有する登記事項が存しなくなつたときの旧登記用紙の閉鎖の記載は、次の振合いで差支えないでしようか。
 昭和39年法務省令第46号附則第7項の規定により、昭和年月日移記
 なお、右の場合新登記用紙の登記用紙を起こした事由及び年月日の欄には、何等の記載も要しないものと考えますが、いかがでしようか。
別紙乙号
 客年11月5日付日記登第554号で照会のあった標記の件については、次のとおりと考える。
一、一項 貴見のとおり。
  二項 初葉の名称・役員欄の用紙を用いるのが相当である。
二、一項 貴見のとおり。
二項、三項 旧登記用紙の予備欄及び新登記用紙の「登記用紙を起こした事由及び年月日」欄に、「昭和三十九年法務省令第四十六号附則第四項の規定により年月日移記」と記載し、当該用紙を閉鎖するのが相当である。

代表権を有する者の前提資格の地位を失つたことによる代表役員変更の登記申請書に添付する退任の事由を証する書面
3046 法人の代表権を有する者が前提資格の地位を失ったことによる退任の事由を証する書面の範囲について
(昭和39年10月1日付民事甲第3333号法務局長、地方法務局長あて、民事局長通達(昭和39年6月16日付登法日記第11号青森地方法務局長照会、民事局長回答)
 標記の件について別紙甲号のとおり青森地方法務局長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官に周知方取り計らわれたい。
別紙甲号
 法人の役員のうち代表権を有する者以外は、原則として登記しないことに伴い、法律に代表権を有する者の前提資格の地位を法人の業務執行機関の構成員であることとされている場合、その前提資格の地位を失つたことによる代表権を有する者の変更の登記申請書に添付しなければならない退任の事由を証する書面を次のように取り扱つてさしつかえないかお伺いします。

一、前提資格の地位を法律又は定款若しくは規則所定の任期満了によつて失つたことによるとぎは、次のような書面
1、退任した者が作成した任期満了による退任届
2、代表権を有する者が任期滴了によつて資格を喪失した旨の記載がある各選任機関の証する書面(総会もしくは総代会又は理事会の議事録)
3、右のような書面がない場合には、代表権を有する者が業務執行機関の構成員に選任されたことを証する書面及び就任の承諾を証する書面並びに定款又は規則の関係部分の抜すい
二、前提資格の地位を辞任によつて失つたときは、次のような書面
退任した者が作成した辞任した旨が記載されていて同人の署名がある選任機関の証する書面(総会又は総代会の議事録)
別紙乙号
 6月16日付登法日記第11号で照会のあつた標記の件については、次のとおりと考える。
一項 理事若しくは責任役貝等の就任の時期を証する書面(例えば、就任承諾書)及び任期を証する書面(定款若しくは規則等)又は2の書面によるのが相当である。ただし、法律所定の任期の満了によつて退任する場合には任期を証する書面、設立当初の役員が退任する場合には就任の時期を証する書面を要しない。
二項 貴見のとおり。ただし、総会又は総代会等の議事録には、辞任者の署名がなくてもさしつかえない。
(解説)一、本件照会は、例えば、理事の中から代表理事を選任することとされている中小企業協同組合のように、業務執行機関の構成員であることが代表権を有する者に就任するための前提資格である法人の代表権を有する者が、任期の満了又は辞任により、その前提である役員の地位を退任したことに伴つて、代表権を有する者を喪失した場合には、登記の申請書に、退任の事由を証する書面としてどのような書面を添附するのが相当か、という問題である。
二、ところで、右のような法人において、代表権を有する者に就任するためには、その前提として必ず理事等の地位にあることが必要であるから、任期の満了又は辞任等によつて理事等の地位を失えば当然に代表権を有する者の地位を退任することはいうまでもない。したがつて、この場合における代表権を有する者の退任を証する書面には、代表権を有する者が理事等の地位を失つたことを証する書面、つまり理事等の任期の満了したこと又はその者が辞任したことを証する書面が該当することとなる。
三、そこで、右の書面として、具休的にはどのような書面がこれにあたるのか、という点について考えてみよう。
(1)理事等が任期の満了によつて退任する場合
 理事等の任期は、その根拠法又は定款等によつて定められているから、理事等の退任が法律で定められた任期の満了による場合(例えは、「理事の任期は、三年をこえることができない。」と定められている場合に、就任後三年で退任する場合である。)には法律そのものが、また定款等で定められた任期の満了による場合(法律で右のように定められている場合に、定款で、「理事の任期は、二年とする。」と定めたため、就任後二年で退任する場合である。)には定款(中小企菜等協同組含の設立当初の役員にあつては、創立総会の議事録)がそれそれ任期を証する書面に該当することとなる。
 商業登記法の施行に伴う関係法令等の施行前にあつては、代表権を有する者のみならず、理事等の氏名、往所も登記事項とされていたから、前述の任期を証する書面のみによつて、理事等の任期の満了したことが証明できたのである。しかし、同法の施行後にあつては、理事等の登記はしないこととなつたので、登記官は、登記簿から理事等の就任の時期を知ることができなくなり、その任期の起算点が不明となつたから、前述した書面のほかに、理事等の就任の時期を証する書面を必要とするものと考える。この場合に、代表権を有する者が理事等に選任されたかどうかまでな審査するため、総会の議事録等を添附させる必要があるか否かであるが、理事等の任期が満了したことを知るには、その就任の時期が判明すればたりるし、代表権を有する者が理事に選任されたことはすでに代表権を有する者の就任の登記の際に審査しているのであるから、理事等の選任に関する総会の議事録等は必要ないものと解される。
 就任の時期を詐する書面には、通常は理事等に選任された後、本人が就任を承諾することになるから、就任承諾書がこれに該当することになるが、あらかじめ就任の承諾をしているような場合にあつては、就任承諾書のほかに理事に選任されたことを証する書面をもあわせて添附する必要がある。
 なお、法律所定の任期の満了による退任の場合には、任期の満了したことが根拠法によつて明らかであり、また設立当初の代表権を有する者が退任する場合にあっては、理事等の就任の時期は法人成立の時であつて登記簿から判明するから、前者にあつては任期を証する書面を添附する必要はない。
 次に、任期の満了した理事等又ば代表権を有する者の後任者選任に関する総会又は理事会の議事録に、例えば、「代表権を有する者何某は、理事の任期満了に伴つて昭和何年何月何日その資格を喪失した......」のように記載されている場合に、その議事録が任期を証する書面にあたるかどうかであるが、これらの議事録には議長並びに出席した理事の全員の署名があるのであるから、右の書面に該当するものと解することがでぎる。したがつて、理事等の退任の事由を証する書面には、原則として、任期を証する書面及び就任の時期を証する書面が該当するけれども、前述の総会の議事録が添附されている場合にあつては、その議事録がこれらの書面を兼ねているものとして処理してさしつかえない。
 最後に退任した者から会杜あての任期満了によつて退任した旨の届書が任期を証する書面に該当するかどうかであるが、任期の満了によつて退任する揚合にあっては、任期か満了することにより当然に理事等の地位を失うのであつて、退任につき本人の意思表示を必要とするものではないから、会杜に対して退任届が出されることは考えられないし、仮りに、本人が退任届を作成したとしても、少くとも任期を証する書面にあたるものと解することができないので、退任の事由を証する書面としての適格を欠くものと思われる。
(2)、理事等が辞任によつて退任する場合
 理事等と法人との関係は委任関係であるから、理事等は、法人に対する辞任の意思表示により、いつでも辞任することができる。したがつて、所問の場含の退任の事由を証する書面には、退任者から法人あてに提出された辞任届が該当することはいうまでもない。
 次に、代表権を有する者が理事等を辞任した旨の記載のあろ総会の議事録等が右の書面にあたるか否かであるが、理事等が任期の満了により退任した場合と同様の理由から、辞任を証する書面にあたるものと考える。商法第二四四条第二項の規定の準用のある法人の理事が総会の席上において辞任の意思表示をしたときにあつては、その理事も出席した理事の中に含まれることになるから、退任した者も総会の議事録に署名しなければならないが、理事が総会外において辞任した場合等にあっては、退任者は総会の議事録に署名することを要しないから、右の議事録に退任者の署名のない場合でも、辞任を訂する書面として取り扱つてさしつかえないものと解する。
 以上のような理由に基づき、本件の通達が出されたものであろう。

法人全般の代表権を有する者の資格を証する書面の範囲について
3035 本人の代表権を有する者の資格を証する書面の範囲について
(昭和39年9月5日付民事甲第2918号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達(昭和39年6月8日付登法任期第10号青森地方法務局長照会、民事局長回答)
別紙甲号
 商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律の施行による法人の役員登記事項については、このたびあらたに代表権を有する者のみの氏名、住所及び資格が登記すべき事項となつたけれども、次の例示の場合の就任登記申請書に添附する代表権を有する者の資格を証する書面の範囲を次のように取り扱つてさしつかえないかお伺しいます。
     記
第一、法律が代表権を有する者の選任機関を具体的に定めているとき、
一、法人の業務執行決定機関(理事会)において機関の構成員(理事)の中から選任するときは(中小企業等協同組合法の組合)、次のような書面、
1 代表権を有する者の資格要件たる業務執行決定機関の構成員(埋事)に選任した機関(総会または総代会)の事実経過報告的書面(総会または総代会の議事録)及びその者の就任の承諾を証する書面、
 ただし、総代会が選任機関であるときは、これを証する書面(定款)
2 代表権を有する者に選任した業務執行決定機関の事実経過報告的書面(理事会議事録及びその者の就任の承諾を証する書面、
二、法人の意志決定機関(総会または総代会)において選挙するときは(農業協同組合法または農業災害補償法の組合)、次のような書面、
1 代表権を有する者に選任した意思決定機関(総会または総代会)の事実経過報告的書面(総会または総代会の議事録)
 ただし、総代会が選任機関であるときは、これを証する書面(定款)
2 代表権を有する者の就任の承諾を証する書面
三、前号以外の選任方法(総会外の選挙または総会若しくは総代会におげる選任において選任するときは(農業協同組合法または農業災害補償法の組合)、次のような書面
1 選任方法を定めた書面(定款)及び選任したことを証する事実証明ないし事実経過報告的書面(選挙録または総会若しくは総代会の議事録)
2 代表権を有する者の就任の承諾を証する書面
第二、法律が代表権を有する者の選任機関を選択的に定めているとき、
一、選任機関を法人の規則に定めているときは(宗教法人法の法人)、次のような書面、
1 法人の規則及び選任機関の事実証明ないし事実経過報告的書面または意思表示的書面、
2 代表権を有する者の就任の承諾を証する書面、
二、選任機関を法人の規則に定めていないときは(宗教法人法の法人)、次のような書面、
1 法律による選任機関の事実証明(責任役員の互選書ないし事実経過報告的書面(責仔役員会議事録)、
2 代表権を有する者の就任の承諾を証する書面、
第三、法律が代表権を有する者の選任機関を定めていないとき(民法法人)
1 選任機定を定めた書面(定款)及び選任機関の意思表示的書面(任命書)または事実証明ないし事実経過報告的書面(社員総会議事録)、
2 代表権を有する者の就任の承諾を証する書面、
第四、第一ないし第三の場合における代表権を有する者の選任を証する書面等の作成者並びに作成義務者及び署名義務者の真正を担保する意味の書面等の添附は要しない。
別紙乙号
 6月8日付登法日記第10号で照会のあつた標記の件については、次のとおりと考えろ。
     記
第一
一、貴見のとおり。たたし、総会又は総代会の議事録は、代表理事に就任した者が理事に選任されたことに関する議事録のみでたりる。
二、三、いずれも貴見のとおり。
第二
一、貴見のとおり。ただし、責任役員のうちから代表役員を選任する場合には、代表役員に就任した者が規則の定めるところにより責任役員に選任されたこと及びその者の就任の承諾を証すろ書面をあわせて添附する。
二、例示の書面のほか規則、代表役員に就任した者が規則の定めるところにより責任役員に選任されたこと及びその者の就任の承諾を証する書面を添附する。
第二、第四各いずれも貴見のとおり。
(解説)一 本件は、商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律の施行に伴つて、各種組合・法人の登記に関する規定が改められ、代表権を有しない役員はすべて登記をしないこととされたため、登記官が登記簿の記載によつて、代表権を有する者以外の役員をはあくすることができなくなつたこと等から、代表権を有する者の資格を証する書面の範囲に疑義を生じたので照会されたものである。
二、第一の一項は、まず総会で理事を選任し、次いて理事会において代表理事を選任することとされている組合(たとえぱ中小企業等協同組合)のように、数次の段階を経て代表権を有する者を選任する組合に関するもので、これらの組合の代表権を有する者の就任の事由を証する書面としては、代表理事選任に関する理事会の議事録及び代表理事の就任の承諾を証する書面のほか、理事会の構成員が理事に選任された総会の議事録と理事の就任の承諾を証する書面が、また、理事を総代会において選任した場合にあつては、総会の議事録に代えて総代会の議事録並びに定款が該当するのか、という間題である。
 ところで、組合の代表権を有する者が就任するには、理事会における選任決議と本人の就任の承諾とが必要であるから、右の場合には、少くとも理事会の議事録と就任の承諾を証する書面が登記の事由を証する書面にあたることは異論のないところである。
 ここで問題となるのは、登記官が代表権を有する者の就任の登記の申請の受否を決める場合に、総会の議事録及び理事の就任の承諾を証する書面を提出させて、理事に選任されたこと並びにその者の就任承諾の有無まで審査する必要があるのかどうか、もし審査の必要があるとした場合には、代表権を有する者についてのみすればよいのか、又は理事会の構成員の全員についてする必要があるのかという点である。
 右については、代表理事を選任する機関に理事会であるから、登記官は、代表理事が理事会で適法に選任され、就任を承諾したかどうかを判断すればよいのであって、その者又は理事会の構成員が理事であるか否かまで審査する必要がないとの反対意見も予想されるが、組合が事務所を移転するに際して定款の変更を要する場合にあつては、事務所移転に関する理事会の議事録のみならず、その基礎となる定款の変更が有効にされているか否かを判断するために、定款変更に関する総会の議事録をもあわせて提出させ、審査するものとされており、その場合と特に取り扱いを異にするだけの理由も見当らないから、本件の場合にも総会の議事録及び理事の就任の承諾を証する書面もあわせて添付させるのが相当であろう。
 しかし、以上のように解しても、登記の対象となつているのは、代表理事であり、その他の理事についてば単に代表理事の選任機関(理事会)の構成員となつているにすぎないから、いわば代麦理事の就任の登記についての関接的な事項でもあるし、もしかりに理事全員の資格の有無を審査するとすれば、たとえぱ理事がそれぞれ各別の総会において選任されているような場合にあつては、代表理事の就任の登記を申請する都度、数通の総会の議事録を提出を要することになり登記事務簡素化の見地からも好ましいことではないから理事選任に関する総会の議事録並びに理事の就任の承諾を証する書面は、代表権を有する者に関するもののみでたりるものと考える。
 次に、これらの組合が総会の議事録に代えて総代会の議事録を提出した場合にこれを証する書面を添附する必要があるかどうかであるが、組合の総代会は、法定数の組合員を有する組合が定款において総代会を設ける旨を定めたときに限つて例外的に認められ(注1)、その旨の定めのない組合がかりに総代会で理事選任に関する決議をした場合でも、その選任決議は無効の決議であるから、理事が総代会において有効に選任されたことを証するため、定款を添附すべきものと解される。
三、第一の二項及び三項は、代表権を有する者(理事)を総会又は総会外において組合員が直接選出する組合こ関するものである。
 農業協同組含又は農業共済団体の理事の選出は、原則として組合員が総会において選挙の方法によつて選出することとされているが、総会外において選挙し又は総会において選任することが例外として認められている。
 これらの組合が代表権を有する者の就任の登記を申請する場合に添附する登記の事由を証する書面は、登記事項の発生の過程を明らかにするためのものであるから、理事が総会で選挙され又は選任されたときにあつては、総会の議事録(選挙の方法によつたときは、選挙録が別途作成ざれる場合もあるが、総会の議事の経過及び要領は、議事録に記載されるから議事録のみでたりる。)及び就任の承諾を証する書面を、また、総会外の選挙によつて選出されたときにあつては選挙録及び就任の承諾を証する書面を必要とすることはいつまでもないが、理事が前述の法律の例外の方法によつて選出され、又は総代会において選出された場合には、中小企業等協同組合の理事が総代会において選任された場合と同様の理由から、総会において選任又は総会外における選挙の方法によつて理事を選出することができる旨の定めがあることを証明させるため、定款を必要とするものと考える。
 しかし、その選出が法律の原則の方法によつてされ、その旨を証する書面の添附があるときは、当該組合の定款で別段の定めをしない限りその方法によることができるのであるから、定款を添附させて別段の定めがあるか否かを審査することを要しない。
 なお、役員の選挙又は選任に関する規定は一般に定款の附属書類である役員選挙規程等に一括して記載されているようである(註2)から、その場合には、もちろん右の選挙規程は選任方法を定めた書面である定款に含まれる。
 理事の就任の承諾を証する書面としては、通常就任承諾書がこれにあたるが、たとえば役員選挙規程に、「役員の候補者を推せんしようとするときはあらかじめその者の承諾を得ておかなければならない。役員に関する議案が総会で可決されたときは、会長はただちに被選任者に通知し、同時に被選任者の住所、氏名及び理事監事の別を組合の事務所の掲示板に公告しなければならない。被選任者は前項の公告があつたときに就任するものとする。」との定めがある場合にあつては、理事の就任の日は当該公告のあつた日である(註3)から、右の場合には、就任の承諾を証する書面として、役員選挙規程及び公告のあつた旨の組合員又は組合の近隣居住者等の証明書を添附すべきこととなろう。
四、第二の一項及び二項は、宗教法人に関するものである。
 宗教法人にあつては、代表権を有する者(代表役員)は、規則の定める方法によつて選任し規則に別段の定めがないときには責任役員の互選によることとされている。
 規則で代表役員の任免方法を定める場合につき宗教法人法に何等制限規定がなく、法人の自由意思にまかされているから、たとえぱ「代表役員は、○○寺の住職の職にある者をもつて充てる。住職は、宗則により○○宗の代表役員が任令する。代表役員以外の責任役員は、寺院信徒のうちから信徒総代の同意を得て○○宗の代表役員か委嘱する」のように、責任役員の選任とは無関係に代表役員が決定される場合と、たとえば「責任役員は、檀信徒又は寺族の中から寺総代の同意で定める。代表役員は、責任役員のうちから責任役員の四分の三以上の同意を得て選定し、○○宗の代表役員の委嘱を受けて定める」のように、責任役員をまず定め、その中から代表役員を選出する場合とがある。
 代表権を有する者の資格を証する書面としては、前者の法人にあつては、住職になつた者が当然代表役員になるのであるから、○○宗の代表役員の任令書及び就任の承諾を証する書面並びに代表役員の選任方法を証する書面(規則)を添附することとなる。
 しかし、後者の法人にあつては、第一の一項で述べたのと同様の理由から、代表役員に就任した者が規則の定める手続にしたがつて責任役員に選任され、かつその者が就任を承諾したかどうかを審査すべきであると解されるので、代表役員になることにつき責任役員の四分の三以上の同意を得たことを証する書面、○○宗の代表役員の委嘱書及び就任の承諾を証する書面のほか、代表役員に就任した者が責任役員になることにつき寺総代の同意のあつたこと及び就任の承諾を証する書面並びに責任役員及び代表役員の選任方法を証する書面(規則)が該当するものと考える。
 次に規則に代表役員の選出方法が定められていない場合であるが、この場合にあつては代表役員は常に責任役員のうちから責任役員の互選によつて定められることになるから、中小企業協同組合と同様の問題が生ずるが、特に組合の場合と区別する理由もないから、代表権を有する者の資格を証する書面として、責任役員の互選で代表役員を定めたことを証する書面、その者の就任の承諾を証する書面並びに代表役員に就任した者か規則の定めるところによつて責任役員に選任されたこと及びその者の就任の承諾を証する書面を添附するのが相当である。
五、第三は、代表権を有する者(理事)の選任の方法を定款又は寄附行為で定めることとし、法律で選任方法が定められていない法人に関するものである。
 これにあたるものとしては、民法法人、学校法人、医療法人及び杜会福祉法人等がある。
 これらの法人にあつては常に理事の選任方法が定款又は寄附行為で定められるから、代表権を有する者の資格を証する書面には、理事の選任方法を証する書面(定款又は寄附行為)、定款又は寄附行為の定めるところにより理事に選任されたことを証する書面及びその者の就任の承諾を証する書面が該当することになる(註4)
 前者の書面とは、たとえば評議員会で理事を選任する旨の定めがある揚合には評議員会の議事録、理事は会長が任命する旨の定めがある場合にあつては会長の任命書である。
 なお定款、規則又は寄附行為を添附すべぎ場合には、疑問もあるがその関係部分の抜すいを添附してもさしつかえない。また、議事録等の記載により定款、規則又は寄附行為所定の方法によつて選任されたことが認められる場合にあつては、議事録等の記載が選任方法を証する書面を兼ねることとなるから、重ねて定款等を添附する必要がないものと思われる。
六、第四は、代表権を有する者の資格を証する書面として申請書に添附した総会の議事録、任命書等の作成者又は署名者等を担保するため、たとえば印鑑証明書とか住氏票の謄本等を添附させる必要があるかどうかであるが、商業登記にあつては、登記事務の迅速性をはかるため、申請書の添附書面が偽造のものであるか否か等について一般に審査しないこととされているから、この場合にもこれらの書面の添附を要しないものと考えられる。
 以上のような理由から、本件回答が出されたものであろう。
(註1)所沢道夫・改正中小企業等協同組合法精解230頁
(註2)農林省・農業協同組合法53頁
(註3)昭和36年4月25日民事四発第76号民事局第四課長事務代理回答
(註4)味村治・民法法人登記概説民事月報2巻11号

有資格者(神職)以外の者でも代表役員になることは可能
520 寺院または神社の主管者は有資格者でなければならぬか。 
問 宗教法人令による寺院又は神社の主管者は、住職又は神職の有資格者でなくても、普通素人が主管者となり、住職又は神職の有資格者は別に有給にて雇い入れをしても差し支えないよう考えるが如何でしようか。
(木元元憲)
答 御意見の通り。

任期の定めがある代表役員代務者が再任される場合であっても、重任の登記を要する
6857 宗教法人における代表役員代務者の変更登記の要否 
〔要旨〕「住職代務者の任期は2年とする。代表役員代務者は住職代務者をもって充てる。」旨の規則のある宗教法人において、代表役員代務者に充てられていた住職代務者が、任期満了後、住職代務者に再任され、引き続き代表役員代務者の地位にある場合であっても、代表役員代務者の変更(重任)の登記を要する。
問 「住職代務者の任期は2年とする。代表役員代務者は住職代務者をもって充てる。」旨の規則のある宗教法人において、代表役員代務者に充てられていた住職代務者が、任期満了後、住職代務者に再任され、引き続き代表役員代務者の地位にある場合であっても、住職代務者の任期満了により、当該代表役員代務者は、その資格を失うものと解し、代表役員代務者の変更(重任)の登記をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。(奄美 登研生)
答 御意見のとおりと考えます。

乙寺院の住職は、包括団体である宗教法人甲宗の規則に基づいて管長により任命され、かつ、乙の規則によって当該住職が乙の代表役員に充てられている場合、乙の代表役員の変更の登記申請には、包括団体である甲の規則のほか、乙の規則の添付を要する
6934 宗教法人における代表役員変更登記の添付書面について
〔要旨〕宗教法人乙寺院の住職は、包括団体である宗教法人甲宗の規則に基づいて管長により任命され、かつ、乙の規則によって当該住職が乙の代表役員に充てられている場合、乙の代表役員の変更の登記申請には、包括団体である甲の規則のほか、乙の規則の添付を要する。
問 宗教法人乙寺院(以下「乙」という。)の住職が乙を包括する宗教団体である甲宗(以下「甲」という。)の規則に基づいて管長により任命され、かつ、乙の規則によって当該住職が乙の代表役員に充てられている場合、乙の代表役員の変更の登記申請書の添付書面について、次の二説があり、(一)説を相当と考えますがいかがでしょうか。
(一)この場合は、あたかも包括団体である甲の管長が乙の代表役員を任命するのと同一の結果になるが、これは宗教法人法12条1項5号が代表役員の資格及び任免については規則で定めることとしたのを受けて、乙が任意にその規則で「代表役員は甲の規則によりこの寺院の住職の職にあるものをもって充てる。」としていることに起因するのであるから、これを証するため、甲の規則のほか、乙の規則の添付を要する。
(二)末寺である乙においては任意に代表役員を選任する権限はないものと解されるので、包括団体である甲の規則を添付すれば、乙の規則の添付は要しない。
(名古屋 TM生)
答 御意見のとおりと考えます。

代表役員はその包括団体の規則によって任命された宮司をもって充てる旨の規定がある場合、代表役員変更登記申請には規則のほかに包括団体の添付を要する
7026 宗教法人における代表役員変更登記申請の際の添付書類
〔要旨〕宗教法人A神社の規則に、代表役員はその包括団体であるBの規則によって任命された宮司をもって充てる旨の規定がある場合、Aの代表役員変更登記申請には、その代表役員の選任を証する書面として、Aの規則のほかにBの規則の添付を要する。
問 「代表役員は、包括団体であるBの規則によって任命された本神社の宮司をもって充てる」旨の規則のある宗教法人A神社の代表役員の就任による変更登記申請に際して、その選任を証する書面として、Aの規則のほかに当該宮司の任免に係る規定のあるBの規則を添付する必要があると考えますが、いかがですか。
(静岡県 炉端)
答 御意見のとおりと考えます。

住職に選任されれば必ず責任役員及び代表役員の地位を与えられるのかどうか判然としない場合の登記について
1782 宗教法人の責任役員たる代表役員の変更の登記について
 代表役員は、何々宗の宗制によりこの寺院の住職に在る者をもつて充てる。
 代表役員以外の責任役員はこの寺院の干与者のうちから代表役員か選任し、何々宗の代表役員の委嘱を受けるものとする。
 右の如く規則の定めある寺院の代表役員(住職)が死亡したので、後任住職の選任に基いて責任役員と代表役員の就任及び死亡による変更登の申請があったとき、新任代表役員は責任役員の資格も取得したものと解してその登記を受理して差しつかえないか。(松江 佐藤)
答 規則の定め方があいまいで住職に選任されれば必ず責任役員及び代表役員の地位を与えられるのか、どうか判然としません。しかし、規則中「代表役員以外の責任役員は...」というような規定から推して住職に就任することによつて当然に代表役員たる責任役員の地位に就くものと解されるので、当該変更の登記は受理してさしつかえないと考えます。

代表役員の死亡による変更登記申請は後任者就任後2週間以内に申請しなければならない
2947 宗教法人の代表役員の死亡による変更登記について 
問 宗教法人の代表役員の死亡による変更登記は、後任の代表役員又はその代務者である者から申請することになると思いますから、その者の就任の日から、主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内に、変更の登記をなせばよいと解しますがいかがでしようか。
(福岡H・H)
答 ご意見のとおりと考えます。

包括団体の代表者が代表役員を任命する旨の規則の定めがある宗教法人における代表役員の就任の日は、被任命者の就任承諾の日か任命書到達の日のうち、いずれか遅い日
5291 宗教法人の代表役員の就任の日について 
[要旨〕包括団体の代表者が代表役員を任命する旨の規則の定めがある宗教法人における代表役員の就任の日は、被任命者の就任承諾の日か任命書到達の日のうち、いずれか遅い日である。
問 包括団体の代表者が代表役員を任命する旨の規則の定めのある宗教法人における代表役員の就任の日は、任命書の日付ではなく、任命書到達の日であると考えますが、いかがでしょうか。(登記生)
答 被任命者の就任承諾の日か、任命書の到達の日かのうち、いずれか遅い日であると考えます。

代表役員の選任及び解任の申請書には責任役員の互選により選任した場合を除き規則の写及び任命を証する証明書を添附すべきである 
1545 宗教法人の代表役員の選任及び解任について 
問一、代表役員に任命(又は解任)した旨の包括団体の証明書のみを以て宗教法人法第63条第2項の「登記の事由を証する書面」とすることができるか。
規則に包括団体の長が任命(又は解任)する規定があれば、その写を添附せしむべきではないでしようか。
 亦規則に何ら任命、解任の規定なし、単に代表役員は宮司(或いは住職)を以てあてるとのみある場合如何
(山中生)
答 責任役員の互選により選任した場合を除き規則の写及び任命を証する証明書を添附すべきものと考える


規則に終身とあるのを4年に変更した場合、変更時の代表役員の任期は、規則の変更が効力を発生してから4年である
4390 宗教法人の代表役員の任期について 
【要旨】代表役員の任期について、規則に終身とあるのを4年に変更した場合、変更時の代表役員の任期は、規則の変更が効力を発生してから4年である。
問 宗教法人の代表役員の任期の定めについて、規則に終身とあるのを4年に変更した場合、変更時の代表役員の任期は、いつ満了するでしようか。なお、右のように規則を変更するについては、特に経過規定は設けていません。
(京都・Y生)
答 任期の定めに関する規則の変更が効力を発生してから、4年を経過したときに任期が満了するものと考えます。

代表役員の任期について別段の定がない場合、辞任又は解任等がなされない限り任期満了による変更登記は必要ない
2414 宗教法人の代表役員の変更について 
問 寺院規則に「代表役員以外の責任役員の任期は4年とする」旨の定があり、代表役員の任期については別段の定がない場合、責任役員の任期満了による変更登記は代表役員以外の責任役員のみで足り、代表役員である責任役員については辞任又は解任等がなされない限り任期満了による変更登記は必要ないと考えますが如何でしようか。(木魚)
答 御意見のとおりと解します。

代表役員変更登記の申請書には規則を添附する
2537 宗教法人の代表役員変更登記について 
問 宗教法人の代表役員選任による変更登記の申請書には、代表役員の選任について当該法人の規則に別段の定があるか否かを証するため、規則をも添附するのが妥当であると考えます(もつとも、この間題は登記官吏の審査権の範囲に属するので、担当登記官吏において不要であると認定した場合は別ですが)が、いかがでしようか。
(大津K司法書士)
答 御意見のとおり。

住職の任命申請書は代表役員の変更を証する書面にあたらない。代表者の就任が管長の任命による場合、任命書への印鑑につき印鑑証明書は添付不要
4953 宗教法人の代表役員変更登記申請と商業登記規則第82条第2項の準用の有無
【要旨】
一、代表役員の変更を証する書面にあたらないとされた例。
二、代表者の就任が管長の任命による場合には、商業登記規則第82条第2項の準用はない。

一、左記規則、宗制の場合、住職の任命申請書は代表役員の変更を証する書面にあた るか。
二、添付書類にあたるとした場合、右の申請書について、商業登記規則第82条第2  項の準用があるか。
三、準用ありとした場合、印鑑証明書は、住職のみでよいか責任役員についても必要か 。
      記
寺院規則抜すい
第7条 代表役員は、○○宗の宗制によりこの寺院の住職の職にある者をもって充てる。
○○宗制抜すい
第五条 住職の後任者の選定は、次の各号による。
一 住職が辞任又は転任をしようとするときはその徒弟のうちから、徒弟のうちに適任者がいないとき又は辞退したときは法類のうちから、法類のうちに適任者がいないとき又は辞退したときは法類以外の教師のうちから、後任者を選任するものとする。
二、省略
2 前項第一号の場合は住職が、同項第二号の場合は教師たる責任役員が、教師たる責任役員を欠くときは教師たる干与者が選定人となる。
第八条 住職の任免は、申請により管長が行う。
第十条 住職の任命申請は、第五条第二項の選定人が申請人となり、責任役員全員の連署を得てしなければならない。(宮地)

一、当該任命申請書は添付書類にあたらないと考えます。
二、商業登記規則第82条第2項は、本問のように代表者の就任が管長の任命による 場合に、準用がありません。

代表役員はこの寺院住職の職にある者をもつて充てる、との定めがある場合規則のほかに宗制をも添附すべきである
4370 宗教法人の代表役員変更登記申請書の添附書類について
【要旨】宗教法人の規則に「代表役員は○○宗の宗制によりこの寺院住職の職にある者をもつて充てる」との定めがある場合、代表役員の変更を証する書類として規則のほかに宗制をも添附すべきである。
問 規則中「代表役員は○○宗の宗制によりこの寺院住職の職にある者をもつて充てる」との定めのある寺院が、代表従員の更迭による変更登記の申請をする場合の登記の事由を証する書面としては、右寺院を包括する団体(宗派)の代表役員が「当該寺院の代表役員並びに責任役員に就任した旨」の証明及び「前代表役員が退任した旨」の証明と寺院規則、就任承諾書を添附すれば足りるか。または、さらに宗制までも添附する必要があるか。 (真助)
答 規則にいう「○○宗の宗制」とは何をいうものか必ずしも明らかでありませんが、もしこれが当該寺院
を包括する団体の規則を指すのであれば、代表役員たる住職の任免資格の得喪については、すべてこれを右宗制に委譲しこれに準拠する趣旨と解されますので、規則のほかに宗制を添附すべきものと思われます。
 なお、ご質問に例示された証明書を添附するのが適当かどうかは宗制の定めより判断されるものと考えられます。

代表役員就任年月日は任命書記載の月日が原則であるが辞令書交付年月日でも認められる場合
1559 宗教法人の登記について
問 神社の代表役員は神社本庁総理から宮司に任命されることによつて、当該神社の規則の定めにより自動的に代表役員に就任する。従つて宮司任命書を受領した日から二週間以内にその就任の登記を申請しなければならないが、その任命書記載月日より二週間以上経過して後に本人に交付されることがある。かかる例から考えると変更登記申請書には、登記規則第十四条の規定に準じ、辞令書の交付を受けた年月日を記載することが望ましいと考えるが如何。
(東京 M生)
答 任命書の交付を受けたときに任命の効力が発生するものであれば登記申請書における登記の事由の記載中、任命の年月日は、任命書の交付を受けた日を記載すべきものである。そうでない場合には、貴見のとおり取り扱われてさしつかえない。

単に「責任役員の任期は何年とする」とした場合には、代表役員たる責任役員の任期もこの規定の適用があり、任期満了による変更登記を要する
2456 宗教法人責任役員の変更登記について 
問 宗教法人の責任役員であつて、且つ、代表役員である者の任期については、規則で特に規定していないのが通例である。しかし、責任役員については任期の定めがあるので責任役員たる代表役員についても任期満了による変更登記を要するものと思うが如何か。第118号2365問には変更登記を要しないとする回答があります。(宿なし)
答 代表役員たる責任役員の任期については通常他の責任役員の任期から除外して規定している例が多いようです。例えば「代表役員たる責任役員を除く他の責任役員の任期は何年とする。」の如きはこの例です。御指摘の第118号2365問についてはこのような場合の一例です。代表役員たる責任役員についての任期を別に定めず、単に「責任役員の任期は何年とする」とした場合には、代表役員たる責任役員の任期もこの規定の適用があり、従つて他の責任役員と同様任期満了による変更登記を要するものと解します。

前任者が2月15日任期満了し、後任者が3月1日就任した場合の退任就任年月日は3月1日
3582 宗教法人責任役員変更登記に関する記載例について 
問 昭和33年3月11日付民事甲第478号通達による宗教法人責任役員変更登記について昭和36年2月15日任期満了し、後任者が同年3月1日就職した場合の登記簿記載例を御教示下さい。 (登研生)

答(記載例)
責任役員何某は昭和36年3月1日退任した。
同日(又は昭和36年3月1日)左の者は、責任役員に就任した。
 何市何町何番地何某
(なお、重任の場合の記載例)
左の責任役員(又は責任役員左の者)は、同日(又は昭和36年3月1日)、重任した。
何市何町何番地何某

  包括宗教法人発行の被包括宗教法人の代表役員の任命書又は辞任承認書があっても、就任承諾書又は辞任届の添附を要する
3256 宗教法人○○教の代表役員の変更を証する書面について 
【要旨】宗教法人○○教の代表役員の変更を証する書面として包括宗教法人の発する被包括宗教法人の代表役員の任命書又は辞任承認書があっても、就任承諾書又は辞任届の添附を要する。
問 宗教法人○○教の代表役員の変更登記の際に添附する包括宗教法人の発する被包括宗教法人の代表役員の任命書又は辞任承認書があれば、就任承諾書又は辞任届の添附を要しないか。(恵郡・M生)
答 包括宗教法人の代表役員の任命書又は辞任承認書の外に就任承諾書又は辞任届の添附を要するものと考えます。

代表役員の資格を証する書面は当該宗教法人が所属する宗教団体の出先機関の証明したものでよい
問題 宗教法人設立登記申請書の添附書類中代表役員及び責任役員の資格を証する書面は当該宗教法人が所属する宗教団体の出先機関の証明したものでよいか。(輪島支)
決議 規則に定められたる選任者の証明でよい。
七尾地区会同(昭和27年10月18日)

単に「責任役員の任期は何年とする」とある時は、責任役員の変更の他に代表役員の変更登記もする
2635 代表役員たる責任役員の変更登記の要否
問 宗教法人の規則に代表役員たる責任役員についての任期を定めず単に「責任役員の任期は何年とする」とある時は、代表役員たる責任役員も任期満了による変更登記を要する(貴誌121号2456問)が、この場合「代表役員」についても変更の登記を要するものと考えるがどうか。(香春・早野)
答 御意見のとおりと解します。
管理人注 これは責任役員も登記されていた時代の取扱です。現在は異なります。

充当制をとる宗教法人の主宰者の地位の辞任と法人等登記規則第5条で準用する商登規第61条第6項の準用
7979 いわゆる充当制を採用している宗教法人の宗教的主宰者の地位の辞任と各種法人等登記規則第5条において準用する商業登記規則第61条第6項の規定の適用について
〔要旨〕包括宗教法人の規則において,被包括宗教法人の宮司・住職等をもって当該被包括宗教法人の代表役員とする旨(いわゆる充当制)の定めがあり、また,宮司・住職等の地位の任命権が包括宗教法人の宗教的主宰者にある旨の定めがある場合において,被包括宗教法人の宮司・住職等が辞任したことにより,代表役員たる地位を失い退任する場合の代表役員の変更の登記の申請書に,包括宗教法人の代表役員の作成に係る宮司・住職等の辞任を証する書面が添付されているときは,各種法人等登記規則第5条において準用する商業登記規則第61条第6項の適用はない。
問 包括宗教法人である宗教法人の規則において,被包括宗教法人の代表役員について,当該被包括宗教法人の宮司・住職等の地位ある者をもって代表役員とする旨(いわゆる充当制)が定められており,また,被包括宗教法人の宮司・住職等の任命権者は,包括宗教法人の宗教的主宰者である旨が定められています。
 このような規則の定めがある場合に,被包括宗教法人の宮司・住職等が,宮司・住職等の地位を辞任したことにより,代表役員たる資格を失い退任する場合,登記原因は,代表役員たる地位を失ったことによる「退任」となり,当該代表役員の変更の登記の申請書に添付された宮司・住職等の辞任届について,吝種法人等登記規則第5条において準用する商業登記規則第61条第6項の適用がありますが,当該変更の登記の申請書に,包括宗教法人の代表役員の作成に係る宮司・住職等の辞任を証する書面が添付されているときは,当該書面をもって,代表役員の退任の真実性が確保されていることから,同項の適用はないものと考えますが,いかがでしょうか。(みかん)
答 御意見のとおりと考えます。
 なお,宗教法人がいわゆる充当制を採用しているかどうか,包括宗教法人の作成に係る証明書等で登記の真実性が確保されているかどうかについては,当該宗教法人の規則等を検討し,個別に判断する必要があるものと考えます。

代表役員代務者・仮代表役員

判決による仮代表役員の登記
4455 宗教法人の代表役員の地位保有等仮処分判決に基づく登記について
(昭和52年11月4日付け登第301号徳島地方法務局長照会、昭和53年2月21日付け法務省民四第1099号民事局長回答)
【要旨】 宗教法人の代表役員の解任に伴ない、代表役員の地位に争いがあり、代表役員地位確認請求事件を本案として、「代表役員の地位にあることを仮に定める」旨の仮処分判決があつた場合代表役員の地位にあることを仮に定められた者からの申請により、その者を宗教法人法第52条第2項第6号の代表権を有する者として登記をすることができる。
 右の場合、その資格は「仮に代表役員の地位を有する者」とする。
(照会) 宗教法人の代表役員が解任され、後任代表役員より退任及び就任の登記後前任代表役員等において、当該宗教法人を相手取り、後任代表役員選任無効確認訴訟を提起し、目下本案繋続中の事案に対し、別紙(1)の如き代表役員の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分決定がなされ、代表役員の職務代行者の登記を完了していたところ、解任された元代表役員に対し、別紙目のとおり「代表役員の地位にあることを仮に定める。」旨の仮処分判決があつた場合、代表役員の地位にあることを仮に定められた者からの申請により宗教法人法第52条第2項第6号の代表権を有する者として登記をすることができるものと考えますが、いかがでしようか。また登記ができる場合にはその資格をどのように記載すべきか疑義がありますので、何分の御指示を賜りたくお伺いします。
(回答) 客年11月4日付げ登第301号をもつて照会のあつた標記の件については、左記のとおり考える。
     記
前段 貴見のとおり。
後段「仮に代表役員の地位を有するもの」とする。
別紙(1)
決定
○○市○○町○○浦○○番地○○
債権者 ○○○○
右同所
同 ○○○○
右同所
同 ○○○○
○○市○○橋○丁目C番地
同 ○○○○
右四名代理人弁護士○○○○
同 ○○○○
同 ○○○○
○○市○○町○○浦○○番地○○
債務者 ○○院
右代表者代表役員 ○○○○
○○県○○市○○○○番地○
同 ○○○○
 右当事者間の昭和49年(ヨ)第29号寺院代表役員職務執行停止、代務者選定仮処分申請事件について、当裁判所は債権者らの申請を相当
以下省略

会議招集権がある宗務管長が解任され解任につき争いがある旨の議事録記載がなされている代表役員代務者就任登記申請の受否
4396 宗教法人の代表役員代務者就任登記申請の受否について
(昭和51年5月17日付け登第407号京都地方法務局長照会(大阪地方法務局経由)、同年9月8日付け法務省民4第4983号民事局長回答)
[要旨】 宗教法人の代表役員代務者の就任登記申請書に添付された代表役員代務者の選任機関である参与会及び常務員会の議事録中に、右両会の招集権を有する宗務総長が、両会の開催日前に管長(代表役員)によつて解任され、その解任の当否をめぐつて争いがある旨の記載がある場合について、右の登記の申請を受理して差し支えないとされた事例。
(進達) 標記に関する別紙京都地方法務局長の照会について、左記のとおり意見を付して進達いたします。
 宗務総長は、○宗○○派宗憲第43条及び同第45条の規定により、その地位を保有しているものと解されるので、本件申請は受理せざるを得ないものと考える。
(照会)
 宗教法人「○宗○○派」の標記申請がありましたが、これに添附する参与会及び常務員会の議事録に宗務総長(管長推戴条例第9条第2項参照)の解任につき、争いがある旨の記載がなされていますが、その解任等の真偽につき、登記官は、審査する権限を有しないから、右登記申請は受理しなければならないもの(昭和43年5月7日民事甲第1331号貴職回答)と考えますが、いささか疑義がありますので、何分の御指示を賜わりたく関係書類を添えて照会します。
(回答) 本年5月17日付け登第407号をもつて照会のあつた標記の件については、受理して差し支えないものと考える。
(注)関係書類省略
【解説】.
一 本件は、宗教法人甲(以下「甲」という。)からの代表役員代務者の就任登記申請に関するものである。その内容は、申請書に添付された代表役員代務者の選任機関である参与会及び常務員会(以下「両会」という。)の議事録の中に、両会の招集権者である宗務総長が、両会の開催日前に代表役員(管長)によつて解任され、その解任の当否をめぐつて争いがある旨の記載がなされているため、右の解任の効力等について疑義を生じ、照会がなされた。
二 宗教法人は、宗教法人法(以下「法」という)により法人格を取得した宗教団体で(法4A)、3人以上の責任役員を置き、そのうち1人を代表役員としなけれぼならない(法18@)とされている。そして、代表役員が死亡その他の事由に因つて欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき、または、病気その他の事由に因つて3月以上その職務を行うことができないときには、当該宗教法人の規則の定めるところにより、代表役員代務者を置かなげればならないこととされており、この代表役員代務者が、規則の定めるところにより代表役員に代つてその職務を行うことになる(法20@A)。
 本件の甲の場合も、右の法律の規定を受けて、その規則に法20条と同旨の規定を置いている。そして、甲の場合は、宗門の管長の職にある者を代表役員に充てているので、代表役員代務者には管長代務者を充てることとしている(規則7)。管長代務者は、管長推戴条例(以下「条例」という。)により、管長が欠けて直ちに後任を定め難いとき、未成年であるとき及び久しきに亘つてその職務を行うことができないときに選任される(条例8)。
 その選任手続については、甲の宗務行政を行う内局の主班である宗務総長が、参与会及び常務員会を招集し、両会において選任することとされている(条例1、2、3、9)が、本件の場合は、右の条例所定の手続によつて選任されたことが、申請書に添付された両会の議事録の記載等から認められる。
三 以上のとおり、本件の代表役員代務者(管長代務者)は、一応規則、条例等に定める手続により選任されているようにみえるが、本件で問題とされたのは、申請書に添付された両会の議事録中に、両会の招集権を有している宗務総長が、両会の招集前に、代表役員である管長により解任された旨の記載があり、かつ、その解任の当否について争いがあるとされているところから、果たして管長に宗務総長を解任する権限があるかどうかという点である。これを肯定し、議事録に記載されているとおり、宗務総長が解任されているとすれぼ、両会は招集権限のない者によつて招集されたことになり、管長代務者の選任に瑕疵があることとなる。
 この点について、甲の規則、条例等には、管長に宗務総長を解任する権眼を与える旨の直接の規定は存しないが、規則第13条第1項に「宗務総長は、宗議会の推挙した者について、管長が任命する」という規定があることから、この規定の解釈が問題となる。すなわち、右規定が宗務総長に対する管長の任命権を規定するものとすれば、通常、任命権は解任権を伴うと考えてよいから、管長が宗務総長を解任しうると解することができるかである。しかし、同項による管長の任命権は、宗議会の推挙(宗憲30@)を前提としているものと解すべきであり、仮に同項を根拠として管長の解任権が認められるとしても、それは、管長が独自の判断により宗務総長を解任しうる権限と解することはできないと考える。なお、経由局である大阪法務局が指摘している点について一言すれば、宗務総長がその地位を失う場合として、宗憲45条に、宗務総長及び参務5名以内で組織される内局は「宗議会で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に宗議会が解散されない限り、総辞職しなけれぼならない」ことになつているが、宗議会において右の不信任決議等がなされた事実は、添付書類等からは認められない。したがつて、宗務総長により招集された参与会及び常務員会は有効に成立したものと解し、本件は受理して差し支えないとされたものであろう。

規則に任期伸長規定があり、かつ任期満了を代表役員代務者選任事由としている場合、任期満了により退任する代表役員の後任者が速やかに選任されないとして、代表役員代務者就任の登記申請は、受理して差し支えない
4836 宗教法人の代表役員代務者選任登記申請の受否について
(昭和60年6月17日付け静岡地方法務局長電信照会(東京法務局経由)、同年8月16日付け法務省民事局第四課長電信回答)
【要旨】 代表役員につき規則で任期伸長規定を設けるとともに、その任期満了を代表役員代務者選任事由とする旨の規則の存する宗教法人につき、任期満了により退任する代表役員の後任者が速やかに選任されないとして、選任された代表役員代務者就任の登記申請は、受理して差し支えない。
(照会) 宗教法人○○○○教から代表役員が任期満了によつて退任し、すみやかに後任者を選ぶことができないとして同法人の規則第14条第1号により標記変更登記申請がありました。本件については、宗教法人法第20条及び同法人規則第22条3項との関係もあり、これが受否について下記の3説があり、このうちC説を相当とし、申請を受理して差し支えないものと考えますが、いささか疑義がありますので何分の御指示を賜りたくお伺いします。
     記
A説
 代表役員は、任期満了後でも後任者が就任するときまでなおその職務を行う旨規定されていることから(規則第22条3項)、規則第14条に規定する「代表役員が任期満了によつて欠けた場合」には該当しないので、代表役員代務者を選任する旨の登記申請は、商業登記法第24条10号で却下すべきである。
B説
 規則第14条1号に規定する「代表役員が任期満了によつて欠けた場合」とは、単に任期が満了しただけでは足りず、事実上職務を行うことができない事由が存しなければならない。本件の場合その事由の存在が明らかでないので、商業登記法第24条8号で却下すべきである。
C説
 代表役員の任期が満了したときは、規則第14条1号に規定する「欠けた場合」に該当し、代表役員代務者を置かなければならなので、本件申請は受理すべきである。
(参考)
宗教法人「OO○○教」規則
(代表役員及び責任役員の任期)
第13条 代表役員及び責任役員の任期は、各々3年とする。
2 補欠による代表役員及び責任役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 代表役員及び責任役員は、辞任又は任期満了後でも後任者が就任するときまで、なお、その職務を行うものとする。
(代表役員及び責任役員の代務者を置くべき場合)
第14条 左の各号の1に該当するときは、代務者を置かなければならない。
1 代表役員又に責任役員が死亡、辞任、任期満了その他の理由によって欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。
2 代表役員又は責任役員が病気、旅行その他の理由によつて3月以上その職務を行うことができないとき。
(代表役員及び責任役員の代務者の選任)
第15条 代表役員の代務者は、前条第1号に該当するときは、責任役員の互選により定め、同条第2号に該当するときは、責任役員のうちから代表役員が任命する。
2(省略)
(回答 )6月17日付け電信で照会のあった標記の件については、貴見のとおり取扱つて差し支えないものと考えます。

責任役員会議事録が、代表役員代務者の解任、選任を証する書面とはならないとされた事例
4842 宗教法人の代表役員代務者変更登記申請事件の処理について
(昭和60年9月2日付け静岡地方法務局長電信照会、同年11月29日付け法務省民事局第四課長電信回答)
【要旨】 宗教法人の代表役員代務者変更登記申請書に添付された責任役員会議事録が、代表役員代務者の解任、選任を証する書面とはならないとされた事例
(照会) 当局管内○○出張所昭和60年8月19日受付第62号標記代表役員代務者就任登記申請事件の取扱いについては、下記のとおり3説があり、当職としてはA説によるべきと考えますが、反対意見もあり方針を決しかねていますので、何分の御指示を賜りたくお伺いいたします。
なお、A説とした場合同出張所同日受付第61号代表役員代務者解任の登記申請については、受付第62号事件と同時に宗教法人法第65条において準用する商業登記法第24条第4号及び第10号により却下して差し支えないと考えますが併せて御指示願います。
 おって、関係書類については送付済であります。
     記
A説
 代表役員及び責任役員のAは、S規則第8条により代表役員に選任され、同規則第6条により責任役員とされたのであるから、代表役員の職を退任すれば当然に責任役員の地位も失う。したがって同人は同規則第15条の被互選者にはなれないので、本件申請は宗教法人法第65条において準用する商業登記法第24条第4号及び第10号により却下すべきである。
B説
 代表役員を退任しても当然に責任役員の地位まで失うものでないから、代表役員代務者の被互選者となる資格がある。よって本件申請は受理すべきである。
C説
 登記簿上退任の記載はあるが、退任した事実がないことを明らかにした書面(議事録)が添付されていることにより、Aは引続き代表役員及び責任役員の地位にあると認められるので、本件申請は受理すべきである。
  宗教法人代表役員変更登記申請書(61号)
一、名称 S
一、主たる事務所 静岡県○○市○○町○○番○号
一、登記の事由 代表役員代務者の変更
一、登記すべき事項
昭和60年8月17日代表役員代務者B解任
規則(省略) 1通
解任を証する書面 1通
委任状(省略) 1通
  宗教法人「S」
   責任役員会議事録
一、日時 昭和60年8月17日
     17時○○分〜17時30分
二、場所 静岡県○○市○○町○○番○号
     ○○○○○○○○事務所5階会議室
三、出席者 代表役員(総長) A
責任役員代務者 ○○○
同 ○○○○
同 ○○○○
同 ○○○○
同 ○○○○
同 ○○○○
同 ○○○○○
同 ○○○○
同 ○○○
(定数11名中、10名出席、1名欠席)
四、欠席者 責任役員代務者 ○○○
五、議案
(1)代表役員代務者解任の件
(2)代表役員代務者選任の件
六、議事経過
 総長A氏は議長となり、出席者を確認し開会を宣した。
議案(1)代表役員代務者解任の件
 議長Aは、昭和60年5月2日付をもって宗教法人「S」代表役員代務者Bの登記が為された事実及び上記代表役員代務者を互選・選出した責任役員は昭和60年3月28日の経過をもって任期満了となり、常任理事選考委員会が後任の責任役員を選任しても、すみやかに教主の認証を受けられる見込みがないことから、代表役員Aは、当教団規則第15条2項に基づき昭和60年3月29日付をもって、本人を除く責任役員全員につき責任役員代務者を選任しているものであり、従前の責任役員は、代表役員代務者を互選・選出する権限を有しないことを報告し、上記代表役員代務者Bを解任したいと述べ、一同に諮った。
審議の結果、全員異議なく、これを決定した。
議案(2)代表役員代務者選任の件
 議長Aは、これまでの経緯を説明した後、議案(1)の決定に伴い、規則第15条1項に基づき代表役員代務者を選任したいと述べ、一同に諮った。
審議の結果、Aを代表役員代務者に選任することに決定し、Aは代表役員代務者就任を受諾した。
議長は、以上で議事の終了を告げ、閉会を宣した。
昭和60年8月17日
S
代表役員 A
責任役員代務者 ○○○
同 ○○○○
同 ○○○○
同○○○○
(以下賂)
宗教法人代表役員変更登記申請書(62号)
、名称 S
、主たる事務所 静岡県○○市○○町○○番○号
、登記の事由 代表役員代務者の就任
、登記すべき事項
昭和60年8月17日次のとおり就任
神奈川県○○○市○○丁目○○番○号
A
別紙のとおり代表役員代務者就任
規則(前件添付) 1通
代表役員代務者の選任を証する書面 (前件添付)1通
就任承諾書 (議事録記載を援用)1通
委任状(省略) (前件添付)1通
上記のとおり登記を申請する。
昭和60年8月19日
(主たる事務所) 静岡県○○市○○町○○番○号
申請人(名称) S
(住所) 神奈川県○○市○○○丁目○○番○号
代表役員 A
(住所) 東京都○○区○○○丁目○番○○号
上記代理人 ○○○○
静岡地方法務局○○出張所御中
宗教法人S規則(抄)
第3章 役員
第1節 代表役員及び責任役員
(代表役員及び責任役員の員数)
第6条 教団に11人の責任役員を置き、そのうち1人を代表役員とする。
(代表役員及び責任役員の呼称)
第7条 代表役員を「総長」といい、その他の責任役員を「常任理事」という。
(代表役員の選任)
第8条 代表役員は、教団の教師又は総本部に勤務する者のうちから、総長指名委員会が、教主の認証を受け、指名する。
2 総長指名委員会の組織運営については、別に定める規程による。
(責任役員の選任)
第9条 代表役員以外の責任役員10人は、理事のうちから、常任理事選考委員会が選定した者について、代表役員が、教主の認証を受け、任命する。
2 責任役員のうちには、責任役員のいずれか1人及びその者と親族その他特殊の関係がある者の数が、責任役員の定数の3分の1を超えてはならない。
3 常任理事選考委員会及び理事選考委員会の組織運営については、別に定める規程による。
(代表役員の職務権限)
第10条 代表役員は、この教団を代表し、その教務及び事務を総理する。
(責任役員の職務権限)
第11条 責任役員は、責任役員会(別に「常任理事会」という。)を組織し、この教団の事務を決定する。この場合において規則又は教規に別段の定めがある場合を除き、責任役員の定数の過半数で決し、その議決権は各々平等とする。
2 責任役員会の組織運営については、別に定める規程による。
(責任役員の兼務)
第12条 責任役員は、責任役員以外の役職を兼務する場合は、責任役員会の承認を得なければならない。
(代表役員及び責任役員の任期)
第13条 代表役員及び責任役員の任期は、各々3年とする。
2 補欠による代表役員及び責任役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 代表役員及び責任役員は、辞任又は任期満了後でも後任者が就任するときまで、なお、その職務を行うものとする。
第2節 代務者
(代表役員及び責任役員の代務者を置くべき場合)
第14条 左の各号の1に該当するときは、代務者を置かなければならない。
1 代表役員又は責任役員が死亡、辞任、任期満了その他の理由によって欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。
2 代表役員又は責任役員が病気、旅行その他の理由によって3月以上その職務を行うことができないとき。
(代表役員及ぴ責任役員の代務者の選任)
第15条 代表役員の代務者は、前条第1号に該当するときは、責任役員の互選により定め、同条第2号に該当するときは、責任役員のうちから代表役員が任命する。
2 代表役員以外の責任役員の代務者は、総本部に勤務する者又は理事のうちから代表役員が任命する。
(代表役員及び責任役員の代務者の職務権限)
第16条 代務者は、規則又は教規の変更、基本財産の処分並びに室長、局長又は部長以上の人事の変更を除き、代表役員又は責任役員に代つてその職務権限の全部を行う。
(代表役員及ぴ責任役員の代務者の退職)
第17条 代務者はその置くべき理由がなくなったときは、当然その職を退くものとする。
(回答) 9月2日付け電信で当職あて照会のありました標記の件については、下記のとおり処理するのが相当と考えます。
     記
 代表役員代務者変更及び代表役員代務者就任の各登記申請については、同申請書に添付された責任役員会議事録は登記原因を証する書面とは認められず、かつ、他にこれを証する書面の添付がなく、また、登記すべき事項に無効原因があるときにあたると解されるので、商業登記法第24条8号、10号で却下する。

仮代表役員よる代表役員の死亡及び仮代表役員選任の登記申請は受理すべきでない
991 登記事務取扱について
(昭和30年7月23日付登第1051号横浜地方法務局長照会、同年9月9日付民事甲第1924号民事局長回答)
 左記につき、疑義がありますが、さしかかつた事件でありますので至急何分の御回示をお願いします。
    記
一、宗教法人の代表役員が死亡し、その後任者の選任の遅滞によつて損害を生ずる虞があるとの理由により(同法人の規則によれぱ、代務者は、○○宗管長の承認を受けることになつている。)、民法第56条及び非訟事件手続法第35條の規定に基き仮の代表役員を選任した裁判の謄本を添付し、当該仮の代表役員より、代表役員の死亡及び仮の代表役員選任の登記の申請があつたが、仮の代表役員選任の事項は、登記すベき事項ではなく、また、仮の代表役員は、登記申請人たる資絡がないから、右申請は、受理すべきでないと考えられるが、如何。
二、前項受理すべきでないとすれぽ、代表役員が死亡した後、代務者及び後任の代表役員の選任がない場合において、当該宗教法人が、代表役員死亡前に不動産を売買し、代表役員の死亡後に該不動産の所有権移転の登記を申請するには、申請書に、前記仮の代表役員選任の裁判の謄本(代理権を証する書面として)及び該仮の代表役員個人の印鑑証明(市町村長の証明)を添付してあればよいか。(その他の要件はすべて具備している。)
   (回答)
 本年7月23日付登第1051号で問合せのあつた標記の件については、次のように考える。
    記
一、貴見のとおり
二、所問の場合には、代表役員又は代務者を選任し、その就任の登記を経た上で、その役員から当該登記を申請すべきであつて、仮代表役員による申請は、受理すべきでない。

仮処分決定に基づく職務執行停止並びに代表役員職務代行者選任の登記は受理できないが職務代行者から代表権を有する者の就任による変更登記の申請は受理できる
4485 宗教法人の代表役員に対する職務執行停止並びに職務代行者選任の属託登記等の受否について
【要旨】1 宗教法人の代表役員に対する職務執行停止並びに代表役員の職務代行者選任の嘱託登記は受理できない。 
2 職務代行者選任の仮処分決定書を添付して、代表権を有する者の就任による変更登記の申請は受理できる。
問1 宗教法人法の代表役員に対する職務執行停止並びに右代表役員の職務代行者選任の仮処分決定に基づき、右代表役員に対する職務執行停止並びに右代表役員の職務代行者選任の登記の嘱託があつた。受理できるか。
2 右の職務代行者から、右の仮処分決定書を添付して、代表権を有する者の就任による変更登記の申請があつた場合は、受理してかまわないか。(XYZ)
答1 宗教法人法には、所問の登記を嘱託できる旨の規定がありませんので、受理できません。
2 受理できます(昭和41、10、19民事甲第2940号民事局長電報回答参照)。

代表役員代務者の登記をしたとき、代表役員の登記は朱まつしない
2333 宗教法人の代務者の登記について 

一 宗教法人法第20条第1項第2号に定める事由により代表役員又は責任役負の代務者を選任し、その登記をしたときば、当該代表役員又は責任役員の登記を朱  まつすべきでしようか。(本多生)
二 前問の場合、代表役員又は責任役員の登記を朱まつしないとすれば、当該役員の事項のみの登記簿抄本を交付できるでしようか。(本多生)

一、朱まつしないのが相当でしよう。.
二、さしつかえないでしよう。但し、代務者に関する登記事項も併せて記載するのがよいでしよう(昭和30年8月2日民事甲第1654号民事局長回答参照)。

設立当時代表役員として登記した者を代務者に更正する登記はできない
1346 宗教法人の代務者登記について
問 宗教法人の設立登記に当り、代表役員を定めず、代務者によつてなすことはできないので(昭和27年10月20日民事局長回答)、設立当時は代表役員として登記しておきながら後にその代表役員の登記を代務者に更正するという方法が一部に考えられているが、かかる方法はさきの回答の趣旨と全く相反する脱法的なものというべく、本来ならばその設立自体が無効なものとして更正登記の申請は却下するべきものと考えますが如何でしようか。(大橋生)
答 更正登記の申請は之を却下し、既になされた当該宗教法人の登記は、宗教法人法第65條に於て準用する非訟事件手続法第151條ノ2以下の規定によりまつ消すべきものと考える。

仮代表役員及び仮責任役員については、別段登記すべき定がないから、その必要はない
1565 宗教法人の登記について 

問 宗教法人法第21條の規定により選任された仮代表役員及び仮責任役員については、別段登記すべき定がないから、その必要はないと考えますがいかがでしようか。
(山口 山田研究生)
答 貴見のとおり

代務者で設立登記を誤つて受理した場合職権抹消せず役員変更登記ができる
1997 宗教法人代表役員変更登記について 
問(1) 宗教法人設立に際し、代表役員を置かず、その代務者のみを定めた宗教法人設立登記を誤つて受理し、その後これを発見した場合は、非訟事件手続法第151条ノ2により抹消できるでしようか。
(2)(1)の登記完了後新たに代表役員を選任し、代務者の退任登記と同時に、その変更登記の申請がなされた場合は、受理してさしつかえないか。
(京都吉岡生)
答(1)消極に解します。(本誌第92号第44頁参照)
(2)積極に解します。


代務者が再任された場合は同一人であっても重任登記は必要
1685 宗教法人にかかる登記および登録税の免除について
(昭和34年8月13日付文調宗第183号文部省調査局長照会、同34年9月16日付民事甲第2073号民事局長回答並びに法務局長、地方法務局長あて通達)
 このたび文部省調査局長から照会のあつた別紙甲号記載の件について、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官吏に周知方取り計らわれたい。
(別紙甲号)
 宗教法人法(昭和26年法律第216号。以下「法」という。)第56條第2項の代務者変更の登記について、左記(1)のように解するのであるが、登記所によつてその取扱が異なり事務処理上困却するとの申出があつたので、貴職においてその取扱が統一されるよう措置願います。
 また、宗教法人の登記にかかる登録税免除の取扱については、一応左記例のように解されるのであるが、登記所における実際上の取扱の状況を回示願います。
     記
(1)宗教法人は、法第20條によつて、代表役員又は責任役員が死亡その他の事由によつて欠げた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき等には、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う機関として、代務者を置かなけれぱならないとされている。
 代務者は、暫定的な機関であつて、当該代務者を置くべき事由がなくなつた場合には当然退任し通常、任期の定めがないと解されるので、法第12條でも、代務者の任期については規則の必要的記載事項としていない。ところで、寺院規則などでは、住職をもつて代表役員に充てることとし、住職代務者をもって代表役員代務者に充てる旨の規定を設ける場合があり、またこの住職代務者については任期を規則に定めている場合がある。このような規定がある場合には住職代務者の任期の満了によつて当該代表役員代務者は、その資格を失うものと解される。従つて代表役員代務者に充てられていた住職代務者が、その任期満了後、住職代務者に再任され引続き代表役員代務者の地位にある場合にも法第56條第2項の規定による変更(重任)の登記は必要であると解する。
(2)宗教法人とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする神杜、寺院、教会並びに教派、宗派、教団等のうち法人となつたものをいい、これらの宗教法人は、法第6條により、公益事業等を行うことができ、学校教育法(昭和22年法律第26号)による幼稚園等の学校を設置(同法第102條)している例が相当多いのであるが、このように、宗教法人が幼稚園等の学校を経営している場合も、登録税法第19條第14号に該当し、当該土地、建物の権利の取得又は所有権の保存の登記について登録税非課税の扱いがなされるものと解される。
 また、宗教法人が学校教育法第83條の各種学校を経営している場合も同様に扱われるものと解する。
(備考)
 公益事業等を行う宗教法人は、規則中に目的として、「この法人は、○○宗の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成し、その他この寺院の目的達成のための財務その他の業務及び公益事業その他の事業を行うことを目的とする。」と規定し、さらに法第12條第7号の規定に基いて、「この法人は、○○幼稚園を経営する。前項の事業は、○○部において管理運営する。」というような趣旨の規定を設けているのが普通である。
(別紙乙号)
 8月13日付文調宗第183号をもつて照会のありました標記については、左記のとおり回答します。なお、この旨、法務局長及び地方法務局長に対し通達しましたから、御了知願います。
(1)貴見のとおり。
(2)昭和25年12月11日民事甲第3、178号法務局長および地方法務局長あて本職通達により了承されたい。

責任役員

宗教法人の責任役員の退任日付について
1404 宗教法人の責任役員の変更について
(昭和33年2月15日附発総第4号宮崎県総務部長照会、同年3月11日付民事甲第478号民事局長心得回答)
(照会)
 宗教法人の責任役員の任期満了による変更の登記をするにあたつては別項に掲ぐるような特質から判断して、これを株式会杜等の取締役変更の場含に準じ、その任期満了の日をもつて退任の日とすることはどうかと思われる点もありますが、実地取扱の場合にあつては、左記各号のうちいずれを妥当とすべきか、所轄庁としての指導上必要がありますので、折返しなにぶんの御見解を御回報願いたく、照会いたします。
    記
一、任期満了の日をもつて退任の日とすること。
二、任期満了だけによつては退任とせず、後任者の就任の日又は前日をもつて退任の日とすること。
別項
一、宗教法人においては、代表役員(又はその代務者)だげが民法に定める理事としての職務権限を行使する(宗教法人法第51條)ものであつて、代表役員以外の責任役員(又はその代務者)は、議決権及び第三者に対する連帯責任の義務を有するだけである(同法第11條、第18条第4項及び第19条。したがって、株式会社等の取締役と宗教法人の責任役員とは本質的に異なるものである。
二、すベての宗教法人の規則中に、別記のような任期満了後の暫定規定があり、前任者が任期満了と同時に退任し、後任者がその後1年又は2年を経て就任した場合、規則の定めに背馳するばかりでなく、その間に責任役員の在任しない空白期間が生じ、中間省略の登記にも該当しない事例が起つて、法第18条の管理規定に背反し、所轄庁として黙認できない場合が往々にして生ずる。
三、宗教法人法には、役員の改選をしない場合に対する罰則がないから、したがつて民法法人や株式会杜等に対するごとく、その罰則を適用したときに、前任者が退任しているものと解釈する根拠がない。
別記(宗教法人の規則例)
例の(1)責任役員は、後任者が就任するときまで、なお在任する。
例の(2)代表役員及び責任役員は、辞任又は任期満了後であつても、後任者が就任するときまで、なおその職務を行うものとする。
   (回答)
 本月15日付発総第4号をもつて照会のあつた標記の件については、照会にかかる別記例一、二の規定がある場合には、前任者は後任者の就職したとき退任すると解するのが相当である。

責任役員の任期の起算点は登記の翌日
1148 宗教法人教会の責任役員の任期の起算点について
(昭和31年6月29日付○○○総務部長照会、同年7月5日付民事四発第156号民事局第四課長回答)
(照会)
 首標の件につきまして、左記のような事情でありますので、公務御多端の中甚だ恐縮に存じますが、御教示賜わり度くお願い申上げます。
     記
 当教団が包括する宗教法人教会は、去る昭和27年、宗教法人法施行に伴い、その年の7月下旬から8月中にかけて、教会規則を変更し、同法第52条第2項に規定する事項の登記をしました。その際登記した責任役員の任期は、規則の定めるところにより4年でありまして、その規則の附則に
1 この規則は、この法人の設立の登記をした日から施行する。
2 この規則施行当初の代表役員及び責任役員は、左の通りとする。
 代表役員 何某
 責任役員 何某
 責任役員 何某
と規定しております。
 今年は、責任役員の任期満了の年に当りますが、本年任期を満了する責任役員の任期の起算点につきまして
1 民法第140條本文の定により、責任役員の任期の起算点は登記の翌日とする。
2 民法第140条本文の定にかかわらず、身分については、登記した日から起算する。
との二様の解釈があるようにその筋から承り、当教団の場合いずれの解釈によるベきか困惑しております。
 当教団におきましては、包括する法人教会が全国に亘りますので、責任役員の任期の起算点の解釈については、どちらかに一定して、責任役員の任期満了に伴う変更登記を進めたいと思います。
 つきましては、当教団の法人教会の場合、責任役員の任期の起算日には、登記した日を算入すベきか否かについて、貴職の御見解を御教示願い度いのであります。
 なお、責任役員の変更登記は、本年7月下旬から8月中にかけて致すことになつておりますので、恐れ入りますが出来得る限り早急に御教示願えれば幸甚に存じます。
    (回答)
 客月29日付310第11号で照会のあつた標記の件については、当職より次のとおり回答する。
     記
 貴見1を相当と解する。

責任役員の任期は代表役員の委嘱を受けた後就任を承諾した日。ただし就任受諾の意志表示の日が委嘱の日以前である場合には、委嘱の日
2208 宗教法人責任役員の就任の日について
(昭和36年6月9日付庶日記第620号青森地方法務局長報告、同36年7月22日付民事甲第1544号民事局長回答)
(報告)
 標記のことについて、別紙(1)のとおり管内野辺地出張所長より問合せがあり、別紙(2)のとおり回答しましたから、この旨報告いたします。
 なお、本件回答の適否について、何分のご指示を賜わりますようお願いいたします。
別紙(1)
庶日記第178号
  昭和36年6月1日
     青森地方法務局野辺地出張所
          法務事務官 蛯名常夫
青森地方法務局長 照井勝男殿
   宗教法人責任役員の就任の日について
   (お伺い)
 別紙宗教法人「○○寺」規則第7條第2項の規定に基づく任期満了に伴う責任役員の就任の日は、左記のうち第3説によるべきものと考えますが、いささか疑義もあり目下差しかかつた事件がありますれば至急何分の御指示を賜わりたくお伺いいたします。
     記
第1説 当該寺院の代表役員が選定し、包括団体たる○○宗の代表役員の委嘱を受けた日
第2説 当該寺院の代表役員が選定し就任を受諾した日
第3説 代表役員が選定し包括団体たる○○宗の代表役員の委嘱を受けた後就任を承諾した日
理由 規則第7条の文意より考えますれば、寺院の代表役員の選定は包括団体たる○○宗の代表役員の委嘱を停止条件とする予選と解せられ、随つて、該委嘱を受けその旨本人に伝達された日をもつて就任の日と解するを相当と考えます。
 尚宗教法人法第63條第2項によるその登記の事由を証する書類としては、包括団体の代表役員の資格証明書及び就任承諾書の添付を要する。
 第1説、第2説によれば書類の往復に相当の月日を要し登記申請の起算日についても、包括団体たる○○宗の代表役員の発する役員資格証明書には、法人登記規則第十4條において準用する商業登記規則第21條第1項の規定は、適用されないと考えます。随つて宗教法人法第55條により登記解怠の問題を生ずる。以上
     記
第1説 当該寺院の代表役員が選定し、包括団体たる○○宗の代表役員の委嘱を受けた日
第2説 当該寺院の代表役員が選定し就任を受諾した日
第3説 代表役員が選定し包括団体たる○○宗の代表役員の委嘱を受けた後就任を承諾した日
理由 規則第7条の文意より考えますれば、寺院の代表役員の選定は包括団体たる○○宗の代表役員の委嘱を停止条件とする予選と解せられ、随つて、該委嘱を受けその旨本人に伝達された日をもつて就任の日と解するを相当と考えます。
 尚宗教法人法第63條第2項によるその登記の事由を証する書類としては、包括団体の代表役員の資格証明書及び就任承諾書の添付を要する。
 第1説、第2説によれば書類の往復に相当の月日を要し登記申請の起算日についても、包括団体たる○○宗の代表役員の発する役員資格証明書には、法人登記規則第14條において準用する商業登記規則第21條第1項の規定は、適用されないと考えます。随つて宗教法人法第55條により登記解怠の問題を生ずる。以上
別紙
   宗教法人「○○寺」規則抜華
第6條 この法人には責任役員を置き、そのうち1人を代表役員とする。
(資格及び選定)
第7條 代表役員は○○宗の宗制にふりこの寺院の住職の職にある者をもつて充てる。
2 代表役員以外の責任役員はこの寺院の干与者のうちから代表役員が選定し○○宗の代表役員の委嘱を受けるものとする。但しこの規則第17條第1号から第5号までに該当する者、及び同條第6号に該当する者のうちからそれぞれ選定しなげれぱならない。・
3 前項の場合において責任役員を選定すベき者が兼務の代表役員又は代表役員の代務者で別紙
   宗教法人「○○寺」規則抜華
第6條 この法人には責任役員を置き、そのうち1人を代表役員とする。
(資格及び選定)
第7條 代表役員は○○宗の宗制にふりこの寺院の住職の職にある者をもつて充てる。
2 代表役員以外の責任役員はこの寺院の干与者のうちから代表役員が選定し○○宗の代表役員の委嘱を受けるものとする。但しこの規則第17條第1号から第5号までに該当する者、及び同條第6号に該当する者のうちからそれぞれ選定しなげれぱならない。・
3 前項の場合において責任役員を選定すベき者が兼務の代表役員又は代表役員の代務者であるときば、他の責任役員の意見を聞かなければならない。
 若し他の責任役員すべてないときは干与老の意見を聞かなげればならない。
(任期)
第8條 代表役員の任期はこの寺院の住職の在任中とする。
2 代表役員以外の責任役員の任期は4年とする。但し再任を妨げない。
3 補欠責任役員の任期は前任者の残任期間とする。
4 代表役員及び責任役員は辞任又は任期満了後でも、後任者が就任する時まで、なおその職務を行うものとする。
別紙(2)
庶日記第612号
  昭和36年6月8日
     青森地方法務局長 照井勝男
青森地方法務局野辺地出張所長 殿
   宗教法人責任役員の就任の日について
   (回答)
 本月1日付庶日記第178号をもつて照会のあつた標記の件については、当該宗教法人の規則に別段の定めがない限り貴見のとおり第3説によるのが相当と考える。但し、委嘱された責任役員の就任受諾の意志表示の日が、○○宗代表役員の委嘱の日以前である場合には、委嘱の日をもつて就任の日となすべきである。
 なお、本文但書による就任日の場合には、法人登記規則第14條において準用する商業登記規則第21條第1項の規定による取扱をなすべきであるから念のため申し添える。
(回答)
 6月9日付庶日記第62〇号で照会のあつた標記の件については、貴職の回答でさしつかえないと考える。

責任役員資格証明書だけで責任役員の登記はできない
3289 宗教法人の責任役員の登記
問 規則に「代表役員以外の責任役員は、氏子崇敬者の総代、その他神社の運営に適当と認める者のうちから総代会で選考し、代表役員が委嘱する。」との定めがある宗教法人において、責任役員の就任を証する書面として、別記の書面を添付した変更登記の申請は受理すべきでないと解してさしつかえありませんか。もし、そうだとすると、別記書面のほかに、当該責任役員の就任を承諾した書面を添付すべきでしようか。(YK生)
別記
  責任役員資格証明書
 左記の者は、規則で定めるところにより、昭和年月日附を以て責任役員に委嘱就任しました。
 右証明します。
  昭和年月日
   市区町番地 宗教法人○神社
答 貴見のとおり。

責任役員は代表役員が選定し、○○宗の代表役員の委嘱を受けるものとする。とある場合、委嘱書到達の日か就任を承諾した日のいずれか遅いときが任役員就任の日となる
3517 宗教法人の責任役員就任の日について 
問 「代表役員以外の責任役員は、この寺院の関与者のうちから代表役員が選定し、○○宗の代表役員の委嘱を受けるものとする。」
 右規則のある宗教法人の責任役員就任の日は、左記のいずれでしようか。
     記
一、規則により代表役員が選定した日
二、委嘱のあつた日
三、委嘱のあつたことを知つた日(委嘱書到達の日以後)
四、一〜三に関係なく、実際に就任を承諾した日 (滋賀、・愚問生)
答 委嘱書到達の日か就任を承諾した日のいずれか遅いときと考えます。

任期のある責任役員が全部辞任した場合次に就任した責任役員の任期は更新したものとする。責任役員は任期が満了しても後任者が就任する時まではなお在任することになつている場合後任者の任期には影響を与えない
1560 宗教法人の登記について
問 神社に於ては宮司の職に在る者が代表役員となり、代表役員には任期はないがその他の責任役員は任期3年となつている。
一、責任社員が任期満了し重任した場合は、その重任について登記を要するか。
二、任期のある責任役員が全部辞任した場合次に就任した責任役員の任期は更新したものとするか、或は前任者の残任期間とするか。
三、神社規則第10條第3項によると、責任役員は任期が満了しても後任者が就任する時まではなお在任することになつているが、この場合任期満了後在任した期間だけ後任者の任期を短縮することになるか、或は後任者の任期には影響を与えないか。(東京 K生)

一、登記を要する。なお、神社規則写添附のこと。
二、前段貴見のとおり。
三、後段貴見のとおり。

責任役員変更登記の可否について
2365 宗教法人の役員の変更登記について 
問 3名の責任役員中1名が代表役員となり、その代表役員の在期は教会長在職中とあり、他の責任役員の任期は5年とある法人が、現在3名の責任役員中代表役員である責任役員を除く他の2名につき任期満了による変更登記の申請があつた揚合受理してよいか。(登記研究生)
答 受理して差しつかえないでしょう。

責任役員に委嘱就任したことを証明する旨の代表役員の証明書では役員変更登記できない
3254 宗教法人役員変更登記の添附書類について 
問 宗教法人責任役員の変更登記に関係事項を抜萃した規則と「左記の者は任期満了のところ規則で定めるところにより年月日付をもつて責任役員に委嘱就任したことを証明する」旨の代表役員の証明書を添附して申請があつた場合受理してよいでしようか。この場合、規則の定めるところによる選任を証する書面(選任書、委嘱書等)及び就任承諾書が必要であると思いますがいかがでしようか。(神戸・秋山生)
答 前段、受理しないのが相当です。
後段、貴見のとおり考えます。

規則に解任に関する定めがなくとも、責任役員の選任権限を有するものは当然解任権がある
2100 宗教法人登記について 
問 宗教法人の規則中責任役員の選任の方法が定めてあるが、解任に関する定めがない場合、責任役員の解任はできませんか。(吉田耕)
答 解任に関する定めがない場合でも、責任役員の選任権限を有するものは当然解任権があるものと解します。なお、規則中に直接特定の者を役員とする定めがあり、(例えば何某、終身役員として特定の者及びその世襲者を定めた場合)その者を解任する場合は、規則を変更して行うよりほか方法がないと考えます。

その他

法人登記規則第9条で準用する商業登記規則第80条の運用(登記用紙の使用方法)
2961 法人登記規則第9条で準用する商業登記規則第80条の運用について
(昭和39年4月30日付登第217号佐賀地方法務局長照会、同年5月27日付民事甲第1946号民事局長回答)
(照会)
 法人登記規則第九条で準用する商業登記規則第80条の運用について左記のとおり疑義がありますので何分の御指示を賜わりたくお伺いします。
     記
 法人について代表権を有する者がその全員について変更の登記を申請する場合には、申請書に記載すべき変更後の代表権を有する者の氏名、住所及び資格並びにこれらの者の就任年月日は名称、役員欄の用紙と同一の用紙に記載しなければならないが、代表権を有する者が一名または数名の場合においてその後数回にわたり当該用紙の余白に変更登記をすることが可能である場合は登記官において便宜従前の登記用紙に登記してもさしつかえないか、
(回答)
 4月30日付登第217号をもつて照会のあつた標記の件については、貴見のとおり取り扱つてさしつかえない。

役員の定数を欠く場合とは規則上の定数を欠く場合も含まれる
問題 宗教法人法第20條第1項第1号に所謂「欠けた場合」とは責任役員に付ては、法定数を欠いた場合は勿論、規則にある定数(例えば五人とあるとぎ)を欠いた場合と解すべきや。(高浜出)
決議 貴見のとおり。

役員変更登記には所属教派、宗派又は教團の主管者の任免を証する書面を添附すべきで効力発生日はその到達した日
99 神社、寺院又は教会の主管者の任免を証する書面の添附について
問 神社寺院又は教会の主管者の任免については、宗教法人令等に別段の規定がないが、その変更登記には、所属教派、宗派又は教團の主管者の任免を証する書面を添附すべきものでしようか。
 前項の書面を添附すべきものとすれば、その任免書到達の日より起算して登記の申請をしてよいでしようか(兵庫縣新家一雄)
答一、教派、宗派又に教団に所属する神社、寺院又は教会であつて
A、主管者の氏名が規則に記載されてある場合は、規則の変更になるので、所属教派、宗派又は教團の主管者の承認を必要とする(宗教法人令6)。この場合には、申請書にその承認書を添附しなければならない(同施行規則20)。
B、主管者の氏名が規則に記載されていない場合であつても、神社、寺院又は教会の規則の中には、主管者の更迭につき、所属教派、宗派又は教團の主管者の承認を必要とする者の規定されている場合も相當にあるので、この場合には、その承認書を添附するのを相當とする。
C、その他の場合には添付の必要がない。
二 前項A及びBの場合にあつては、その承認書到達の日から登記の期間を起算する(同施行規則13)。

役員の重任の日は任期満了日と同日でよい
3608 法人の役員の重任の日について
問 法人の役員の任期が昭和36年10月5日に満了し、同日重任された(就任承諾を含む)場合、その重任の日は10月5日でしようか又は10月6日でしようか。 (佐賀登記一年生)
答 前段ご意見のとおりと考えます。

熊野神社社務所内神社の登記小資料室・
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