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神社の登記小資料室 熊谷司法書士事務所

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〒995-0112 山形県村山市大字湯野沢2884番地

不動産登記先例訓令通達質疑応答 その1 神社財産関連 公衆礼拝用登記 承継関係 

神社財産関連
神社財産の登記を職権で抹消することはできない
神社財産抹消の登記は現在の登記名義人から申請をすることができる
神社財産抹消登記は神社の申請による
神社財産登記の抹消手続きは神社からの申請でも差し支えない
自作農創設特別措置法により農地を買収した場合職権により神社財産登記を抹消して差支ない

公衆礼拝用である旨の登記
礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記の記載例
礼拝用建物又は敷地である旨の登記の登録免許税は課されない
礼拝の用に供する建物敷地の分筆登記をする場合、礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記を転写する
宗教法人令の公衆礼拝用建物であることの証明書の発行者
礼拝用建物敷地である旨の登記のある土地の合筆はできない
公衆礼拝用建物又はその敷地である旨の登記を申請する場合、登記原因及び日付の記載は要しない
新宗教法人への承継登記をすると旧法の公衆礼拝用建物叉はその敷地である旨の登記は職権で抹消される

新宗教法人に移行しなかった神社の不動産
法人登記簿に新宗教法人に移行した記載がない神社の不動産承継登記
新宗教法人に移行せず解散した神社の法定清算人
新宗教法人に移行しなかった神社が不動産を取得することはできない
旧宗教法人に移行しなかった神社名義の土地を自作農創設特別措置法で買収することは可能
新宗教法人に移行せず解散しているものと思われる神社の財産の処分は代務者と看なされるものが法定清算人となり処分する
神社明細帳時代に明細帳から削除された神社名義の不動産の処分

新宗教法人への承継など
新宗教法人が承継する旧宗教法人所有建物の保存登記は県又は市町村県発行の所有権証明書を添付して非課税
新宗教法人へ承継登記する際の登録免許税免除証明書ひな型
宗教法人法附則18条により保存登記する場合は非課税
宗教法人法附則第18条により農地(境外地)を承継した場合農地法の許可は不要
旧宗教法人の時に贈与→新宗教法人に承継の場合登記はそれぞれ別々にする
旧宗教法人が新宗教法人となった場合不動産について承継登記を要する



神社財産関連

神社財産の登記を職権で抹消することはできない
135神社財産登記の抹消について
(昭和23年11月2日附登第163號釧路司法事務局長問合、昭和24年1月18日民事甲第51号回答、及び各司法事務局長宛通達)
 標記の件について別紙甲號の通り釧路司法事務局長から問合せがあったので、別紙擁乙号の通り同答したから、右通達する。
 なおこの旨貴管下登記官吏にも周知方然るべく取り計らわれたい。
(甲號)
 明治41年勅令第177号神社財産の登録に関する件第4條により神社の境内地につき神社財産の登記がなされていますがこの登記は其後所有権移転(宗教法人令第11條に依り主管者の承認及氏子総代の同意を得ている)して神社財産でなくなった場合も神社財産抹消の登記ができないものでしょうか何分の御回答を願います。
(乙號)
 昭和23年11月2日附登第163號で問合せのあった標記の件については、明治41年勅令第177號第4條の規定による神社財産の登記を抹消することができるのは、昭和21年司法文部省令第1號(宗致法人令施行規則中一部改正省令)附則第8項の規定による場合に限るのであって右神社財産の登記のある不動産を第三者に譲渡等処分した場合においては、當該神社財産の登記を職権で抹消することはできない。
右回答する。


神社財産抹消の登記は現在の登記名義人から申請をすることができる
神社財産登記のまつ消方について(通達)
昭和34年5月16日日記第3178号神戸地方法務局長照会、同34年6月25日付民事甲第1、327号民事局長回答並びに各法務局長及び地方法務局長あて通達
 標記の件について、別紙甲号のとおり神戸地方法務局長から問合せがあつたので、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官吏に周知方しかるべく取り計らわれたい。
(別紙甲号)
 明治41年7月20日勅令第177号神社財産ノ登録ニ関スル件は、昭和21年2月2日勅令第71号(明治39年法律第24号官国幣社経費二関スル法律廃止等ノ件)をもつて同日から廃止されましたところ、神社の境外建物若しくは境外地の不動産について、登記簿上、いまなお神社財産たることの登記が残存するものあり、それがために、不動産の取引に円滑を欠き少なからぬ支障をきたし、関係人はそのまつ消を望んでいる実情でありますが、現在の所有権の登記名義人から、登記原因及びその日附「昭和21年2月2日神社財産登録廃止」に基く右登記まつ消の申請をすることは、できないものでしようか。
 この場合の登録税については、明治41年10月19日付民刑第1057号民刑局長回答の趣旨に従い課税しないのが相当でしようか。
 至急に何分の御指示をお願いいたします。
(別紙乙号)
 昭和34年5月16日付日記第1378号をもつて問合せのあつた標記の件については、前段は積極に解し、後段は課税しないのを相当と考える。
神社財産抹消登記は神社の申請による
問題 従来、神社財産登記の抹消手続は知事の嘱託によつて抹消登記ができたのであるが現在はどんな方法により抹消登記をするか。
参照 明治41年法律第23号及び同年勅令第177号は昭和21年勅令第71号を以て廃止さる。
(南大海出)
決議 抹消登記は神社の申請による。
神社財産登記の抹消手続きは神社からの申請でも差し支えない
問題 従来、神社財産登記の抹消手続きは知事の嘱託によって抹消登記ができたのであるが現在はどんな方法により抹消登記をするか。
参照 明治41年法津第23号正び同年勅令第177号は昭和21年勅令第71号を以て廃止さる。
(南大海出)
決議 抹消登記は神社の申請による。
法務省民事局変更指示
昭和21年2月2日司法、文部省令第1号附則第8項の規定により職権でまっ消する場合のほか、神社の申請によりまつ消してもさしつかえない。
自作農創設特別措置法により農地を買収した場合職権により神社財産登記を抹消して差支ない
580 神社財産登記のある農地を措置法によつて買収した場合、當該登記の抹消方
問 神社財産當記のある農地を自作農創設特別措置法により買収した場合、措置法第12條第1項及び自作農創設持別措置登記令第5條第2項の規定によつて神社財産登記は抹消して差支ないでしようか。(中村登記研究生)
答 御意見の通り抹消してさしつかえない。
公衆礼拝用である旨の登記

礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記の記載例
3623 宗教法人において礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記の記載例
問 宗教法人から宗教法人法第六七條の規定により、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記の申請があつた場合の登記の記載については、左記振合によつて、さしつかえないものと考えますが、いかがでしようか。
(和歌山 H生)
    記
一、建物の場合
 昭和何年何月何日受付第何号
 表題部の建物は順位何番に登記した宗教法人において礼拝の用に供する建物である
 右登記する 印
二、土地の場合
 昭和何年何月何日受付第何号
 表題部の土地は順位何番に登記した宗教法人において礼拝の用に供する建物の敷地である
 右登記する 印
答 例示の記載例でさしつかえないものと考えます。
管理人注 現在は記載例は違うようです。詳細は法務局に事前協議してください。
礼拝用建物又は敷地である旨の登記の登録免許税は課されない
6414 宗教法人の礼拝用建物又は敷地である旨の登記の登録免許税
〔要旨〕宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物又はその敷地についてする礼拝用建物又はその敷地である旨の登記については、登録免許税は課されない。
問 宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物又はその敷地についてする宗教法人法第66条の礼拝用関係の登記には登録免許税法上課税の規定がないので、非課税と考えますが、いかがでしょうか。(日南 佐藤)
答 御意見のとおりと考えます。
礼拝の用に供する建物敷地の分筆登記をする場合、礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記を転写する
宗教法人法第66条第1項の登記のある土地の分筆について
(昭和39年5月2日付函法登第209号函館地方法務局長照会、同年8月10日付民事甲第2、791号民事局長回答)
甲区事項欄に
 2番 昭和21年5月14日所有権移転
     登記 取得者 ○○派○○教会
 3番 昭和21年5月14日公衆礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記
 4番 昭和30年7月4日権利承継、取得者宗教法人○○寺
と登記のある土地の分筆登記における転写について
1 分割する土地に建物の存しないことが明らかな場合は順位第4番の登記事項のみを転写すれぱよいか。
2 右以外の場合は順位第弐番、参番、4番の全部の転写をなすべきか。
右について些か疑義があり決しかねますので何分の御指示ねがいます。
(回答)
 昭和39年5月2日付函法第209号をもつて問合せのあつた標記の件については、第一、二項とも順位参番、4番の登記を転写すべきものと考える。
(解説)宗教法人法第66条第1項の規定により、宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地について、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をすると、同法第83条の規定により、当該不動産については、不動産の先取特権、抵当権又は質権の実行のためにする場合及び破産の場合を除く外、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差押えることができなくなるという法律効果が発生する。それ故、右の登記をした不動産が礼拝の用に供されなくなったとき、あるいはその所有権が宗教法人の合併又は宗教法人法附則第18項による権利承継以外の原因により移転して、その登記をするときには、礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記を抹消すべきことになつており、さらに、礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記は、その上に存する建物について礼拝の用に供する建物である旨の登記がある場合に限りすることができることになつている(宗教法人法第66条第2項参照。)だけでなく、建物についての右の登記が抹消されたときは、登記官は、職権で礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記を抹消しなけれぱならないことになつているのである。
 しかして、礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記のある土地の分筆登記をする場合において、分割する土地に礼拝の用に供する建物の存しないことが明らかなときは、礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記の転写の要否が問題となるのである。ところで、本件は、旧宗教法人令第15条及び同令施行細則第22条第1項の規定による登記をしたのち旧宗教法人が宗教法人法附則第5項又ば第6項の規定により新宗教法人となり、同法附則第18項の規定に基づき新宗教法人が旧宗教法人の権利を承継した旨の登記をした事案であるが、旧宗教法人令第15条及び同令施行細則第22条第1項の規定による登記は、宗教法人法第66条第1項の規定による登記と、取扱い及び効果の点で全く同じであるから、前記と同様の問題があるのであり、さらに、本件事案においては、礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記の転写を要するとしたときは、旧宗教法人の所有権の登記の転写の要否もまた問題となるのである。
 さて、第一の問題において礼拝の用に洪する建物の敷地である旨の登記の転写を要しないとする考え方は、分割する土地に建物が存在しないのに礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記を転写すると、結果として宗教法人法第66条第2項(旧宗教法人令第15条及び同令施行細則第22条第2項)の規定に反することになるから、かかる場合には、分割する土地については礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記にかかる権利が消滅したものと考えるべきであるとするもののごとくである。しかしながら、消滅した権利の登記を職権で抹消したり、分筆登記の際に転写をしなかつたりするためには、明文の規定の存在を必要とすると考えられるから、右の考え方には無理があるといえるのである。
 次に第二の問題については、宗教法人法附則第20項の規定により、旧宗教法人が旧宗教法人令第15条及び同令第22条第1項の規定に基づいてなした礼拝の用に供する旨の登記または礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記は、当該宗教法人が宗教法人法附則第5項または第6項の規定により新宗教法人となつた日において、宗教法人法による同趣の登記をしたものとみなされるのであるから、本件事案においては、甲区第参番の登記は、甲区第4番の登記に付着しているものとみるべきであり、従つて、甲区第弐番の登記は現に効力を有しない登記であり、転写しないものと解される。
 本回答は、以上の理由によるものであろう。
宗教法人令の公衆礼拝用建物であることの証明書の発行者
576 宗教法人令施行規則第22條の公衆礼拝用建物登記の取扱方
問(イ) 宗教法人令施行規則第22條の公衆礼拝用建物登記につき、これを證する書面には村長の証明にてよろしきや。
(ロ)右の申請書は不動産登記受附帳に受け附けるべきものでしようか。(登記見習生)
答(イ)宗教法人令施行規則(昭和20年文部省令第1號)第22條第2項の証明書は、教育委員曾法(昭和23年法律第170號)第49條第8號の規定により、市町村教育委員曾において證明したものが必要である。
(ロ)御意見の通り。
管理人注 宗教法人令時代の質疑応答です。現在の取扱は都道府県所管課です。
礼拝用建物敷地である旨の登記のある土地の合筆はできない
5685 宗教法人の礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記のある土地の合筆の登記の可否
[要旨〕宗教法人の礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記のある土地の合筆の登記の申請は、することができない。
問 宗教法人法66条の規定に基づき、宗教法人の所有に係る土地について当該宗教法人の礼拝の用に供する建物の敷地である旨の登記が当該土地の登記用紙中甲区事項欄にされているものは、不動産登記法81条ノ3の規定により合筆の登記はできないものと考えてよろしいでしようか。(JODAN)
答御意見のとおりと考えます。
公衆礼拝用建物又はその敷地である旨の登記を申請する場合、登記原因及び日付の記載は要しない
2007 宗教法人法第68條の登記について
問 宗教法人が公衆礼拝の用に供する建物又はその敷地である旨の登記を申請する場合において、登記原因及びその日付の記載を要するか。
(函館 登研生)
答 所問の場合には、登記原因及ぴその日付が存しないものと考えるので、その記載を要しない。
新宗教法人への承継登記をすると旧法の公衆礼拝用建物叉はその敷地である旨の登記は職権で抹消される
旧宗教法人がなした礼拝用建物及ぴその敷地である旨の登記について
(昭和31年7月19日付函法登第277号函館地方法務局長照会同年8月13日付民事甲第1776号民事局長回答並びに各法務局長及ぴ地方法務局長あて通達)
 標記の件について、別紙甲号のとおり函館地方法務局長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官吏に周知方しかるベく最り計らわれたい。
(別紙甲号)
 標記の件について函館司法書士会から照会がありましたが、旧宗教法人がなした旧宗教法人令第15条の規定による公衆礼拝の用に供する建物及びその敷地であることの登記は、旧宗教法人が宗教法人法附則第5項によつて新宗教法人となつたときに同法附則第20項によつて宗教法人法第68条の規定による登記をしたものとみなされますが、新宗教法人が旧宗教法人から承継した礼拝用建物及びその敷地について、権利承継による所有権移転の登記をしたときは、宗教法人法第70条の規定によつて登記官吏が職権で旧宗教法人がした公衆礼拝用建物及びその敷地であることの登記を抹消すベきものであると考えますが、聊か疑義がありますので、至急何分の御指示をお願いいたします。
(別紙乙号)
 昭和31年7月19日付函法登第277号で照会のあつた標記の件については、貴見のとおりと考える。
〔解説〕宗教法人法(昭和26年法律第126号。以下「法」という。)は、その附則で、法施行の際に現に存する宗教決人令(昭和20年勅令第719号。以下「令」という。)の規定による宗教法人(以下「旧宗教法人」という)は、宗教法人法による宗教法人(以下「新宗教法人という。)となることができるものとされている(法附則第5項及び第6項参照)。しかして、右により旧宗教法人が新宗教法人となつたときは、新宗教法人の設立の登記をした日に、,旧宗教法人は解散し、その権利義務は新宗教法人が承継(包括承継)するものとされているのである(法附則第18項参照)。したがつて、旧宗教法人の所有に係る不動産がある場合には、右の設立の登記をした日に新宗教法人が承継するので、従つて、この場合には、承継した不動産が既登記であるときは、相続の登記に準じ、新宗教法人の申請により、承継による所有権移転の登記をすることになるのである。
 さて、本件は、右の法附則第18項による承継による新宗教法人名義にする所有権移転の登記をする場合に、当該土地又は建物について令第15条の規定による宗教法人の公衆礼拝用の建物又はその敷地である旨の登記がなされている場合には、法第70条の規定の適用があるかどうか、即ちその登記を法第70条の規定により登記官吏が職権で抹消すべきものかどうかの問題である。法附則第20項の規定によれぽ、新宗教法人が旧宗教法人から承継した不動産が令第15条に規定する公衆礼拝の用に供する建物及びその敷地である場合に、その旨の登記がなされているときは、当該登記した事項は、旧宗教法人が新宗教法人になつた日すなわち新宗教法人の設立の登記をした日において、法第68条の規定による登記をしたものとみなされることになつているので、抹消すべきものではないとの疑問が存するのである(法附則第20項は、同第21項の規定と併せ考えると、新宗教法人のため承継による所有権移転の登記をすると、法第70条の規定により、右の令第15条の規定による公衆礼拝用の建物又はその敷地である旨の登記が抹消されるので、従つて、法第83条の規定の適用を受けんとするには、あらためて、法第67条の規定により申請することになり、かくては、その登記後に原因の生じた私法上の金銭債権のために差し押えが禁止されるだけとなり、旧宗教法人が右の登記した後、新宗教法人が右の登記をするまでに生じた私法上の金銭債権のために差し押えられる不都合を防ぐための趣旨と考える。)
 しかしながら、新宗教法人となつた日に礼拝用の土地又は建物である旨の登記をしたものとみなされても、その後移転登記をする際には、右のみなされた登記について法第70条の規定の適用があることとならざるを得ない(この点法附則第20条の規定の仕方が不傭であり、その趣旨どおりに規定されていない)法第70条の規定によれぱ、合併による所有権移転の登記の場合を除いては、所有権移転の登記をしたときは、宗教法人の公衆礼拝用の建物叉はその敷地である旨の登記は、登記官吏が職権で抹消すべきものとされているのであり、令第15条の規定による公衆礼拝用の建物又はその敷地である旨の登記は、右に述ベたごとく法第68条の規定によりなされたものとみなされているのであるから、その抹消すべきでない旨の規定の存しない以上、登記官衷は、職権で抹消すべきである。(なお、本件の場合は、令第15条の規定による公衆礼拝用の建物又はその敷地である旨の登記のみならず、令付則第3項の規淀により令の規定によりなしたものとみなされる宗教団体法(昭和14年法律第77号)第21条の規定による公衆礼拝用の建物及びその敷地である旨の登記も伺様に抹消すぺきものであろう。
 なお、新宗教法人は、法第83条の規定による公衆礼拝用の建物又はその敷地については、あらためて、法第67条の規定によりその旨の登記を申請すべきことはいうまでもない。
新宗教法人に移行しなかった神社の不動産

法人登記簿に新宗教法人に移行した記載がない神社の不動産承継登記
登記事務取扱いについて
昭和37年12月24日付登第404号佐賀地方法務局長照会、同年12月3日付民事甲第3448号民事局長回答
(照会)
 宗教法人令(昭和20年勅令第719号)施行前「郷杜○○神杜」名義に登記しある不動産について、宗教法人○○神社より「宗教法人法附則第18項による承継」を登記原因とする所有権移転登記の申請がありましたが、旧宗教法人令による○○神社の登記用紙予備欄(設立の登記をなしたので宗教法人法附則第19項により閉鎖済の記載のみ)には、宗教法人登記及び神社寺院教会財産登記取扱手続(昭和20年司法省令第76号)第6條による「佐賀県知事の嘱託により昭和21年司法、文部省令第1号附則第5項の登記をした」旨の記載がなく、郷杜○○神杜は宗教法人令附則第2項によつて宗教法人とみなされた○○神杜であるかどうかについて疑義を生じましたので、左記につき何分の御垂示をお頭いいたします。
     記
一、不動産登記名義人「郷社○○神杜」(昭和21年勅令第71号附則第2項により社格廃止)と旧宗教法人○○神杜との同一性について、疑義があり、ロ説を相当と考えますが、如何でしようか。
イ、旧宗教法人登記用紙予傭欄に宗教法人登記及び神杜寺院教会財産登記取扱手続第6條による「佐賀県知事の嘱託により昭和21年司法、文部省令第1号附則第5項の登記をした」旨の記載がないので、郷社○○神杜は宗教法人令附則第4項によつて解散とみなされた神杜であるから、当該登記の申請は受理すべきでない。
ロ、右予備欄の記載の有無にかかわらず宗教法人令附則第3項による届出をなしたものであれば当該登記の申請を受理すべぎである。
 なお、この場合においては同令附則第3項の規定による届出を受埋したことの県知事の証明書又は神社明細帳に記載あることの証明書及び同令附則第3項の屈出をなした旨の上申書を添付させるのが相当である。
二、当該法人より前項ロの書面の提出があつたときは非訟事件手続法第151條ノ6の手続きにより閉鎖にかかる当該宗教法人の登記用紙の予備欄に「何県知事の嘱託により昭和21年司法、文部省令第1号附則第5項の登記」をした旨記載してさしつかえないか。
(回答)
 9月24日付登第404号をもつて照会の標記の件については、次のとおり回答する。
     記
一、宗教法人令附則第3項による届出を受理した旨の県知事の証明書の添付があれば、受埋してさしつかえない。
二、記載しないのが相当である。
新宗教法人に移行せず解散した神社の法定清算人
昭和21年九月5日民事甲第562号民事局長通達(昭和21年8月20日新潟区裁判所監督判事照会)
宗教法人に関する件
別紙甲号の通り新潟区裁判所監督判事から問合せがありましたので、別紙乙号の通り回答致しましたから、この義貴庁管下登記官吏に撚るべく御通達方御取計い相煩し度、この段通牒致します。
(別紙甲号)
宗教法人の解釈について稟伺
左記の点に疑いがあり、不動産登記上差し懸つた事件もありますから、至急何分の御回示を煩わし度

一、宗教法人令第14條に基いて、宗教法人の規則に「解散した場合の残余財産は何某又は其の正統相続人に帰属する」と定めてある場合に於て、清算人から残余財産を引渡すことによつて、其の所有権は規則所定の権利帰属者に移転するものと解して差支えないと思いますが如何でしようか(参照−民法第72條)
二、前項差支えないとすれば、残余財産が不動産の場合、帰属権利者の為めにする所有権移転登記
原因は「帰属」とし、其の日附は財産引渡の日で良いと考えますが如何でしようか。
三、宗教法人令第17條によつて、宗教法人に準用される民法第73條乃至第83條の規定は其の性質に反しない限り、昭和21年勅令第70号附則第4項に依つて解散した神社にも準用され、右勅令附則第6項に於て代務者と看徹される者が、法定清算人となるものと考えますが如
何ですか。
(別紙乙号)
宗教法人に関する件
いつれも貴見の通りと思考致します。
新宗教法人に移行しなかった神社が不動産を取得することはできない
590 宗教法人登記のない神社名義に不動産登記の要否
問 登記研究第15號30頁質疑応答の部260問によれぱ、宗教法人登記のない神社名義の不動産につき登記ができる旨の解答がありますが、宗教法人令による登記のない神社が不動産の取得をする登記の場合も同様に登記ができるものと解して差し支えありませんか。なお、その場合、法定代理人の資格を證する書面は、都道府縣知事の證明書でよいでしようか。(路石登記生)
答 當該神社が宗教法人令附則(昭和21年勅令第70號改正)第2項の規定により神社明細帳に記載せられたもので、旦つ同附則第4項の規定により解散したものとみなされた神社であるとすれぱ、當該神社は清算の範囲内において存続するものである。したがつて、所問の場合において、当該不動産の取得が當該神社の解散以前に行われたものであり、現在その未済にかかる登記をする場合であるとすれば、その登記は、清算事務の範囲内においてできるものであり、この場合、右の不動産の取得の登記の申請書に添附すべき法定代理人の資格を證する書面は、都道府縣教育委員曾の證明書を提出することとなる。これに反し、所問の場合の不動産取得の登記が、当該神社の解散以後の原因によるものであるとすれぱ、法人の解散後はあらたに不動産を取得することはできないのであるから、その登記を受理すべきでない。又若し、所問の場合、當該神社が前記宗教法人令附則第2項の規定による屈出をなし、したがつて、現に存続しており、ただ同附則第4項の規定による都道府縣知事の嘱託に基く登記がなされていない場合があるとすれぱ、同項に基く登記がなされた後でなげれば、當該不動産の取得の登記を受理すべきではない。けだし、この場合においては、当該取得の登記につき申請書に添附すべき法定代理人の資格を證する書面は、登記簿の抄本等当該神社の登記あることを証する書面を添付せしめるべきであるからである。
旧宗教法人に移行しなかった神社名義の土地を自作農創設特別措置法で買収することは可能
260 宗教法人登記のない神社名義の不動産につき登記ができるか
問 宗教法人登記なき神社名義既登記の不動産を自作農創設特別措置法に依り買牧しこれが登記嘱託ありたる場合受理することができるか御教示を願います。(香川 栗熊生)
答 神社名義の不動産について自作農創設特別措置法による買収の登記をする場合において当該神社が、宗教法人令による登記を受けていない場合であつても、その登記を受理してさしつかえない。けだし、宗教法人令附則(昭和21年勅令70號改正)の規定によれば、神社明細帳に記載せられた神社は、宗教法人令による法人とみなされ(第2項)當該神社は規則を作り昭和21年8月1日までに都道府縣知事に屈出をしなければならない(第3項)若しその屈出をしないときは同月2日附を以て解散したものとみなざれる(第4項)のであり、又、昭和21年8月1日までに右の屈出のあったときは、都道府縣知事の嘱託によって宗教法人令による登記がなされる(第5項)わけであるところ、假に當該神社が右により解散している場合であつても、當該神社は、溝算の範囲内において宗致法人として存続しているわけであるから、當該神社を当事者とする登記は可能なわけである。しかして、一般の當事者申請の登記の場合にあつては、申請書に當該神社の法定代理人の資格を證する書面の添附を必要とすることは、いうまでもないが、本問の場合においては、その必要もないわけである。
新宗教法人に移行せず解散しているものと思われる神社の財産の処分は代務者と看なされるものが法定清算人となり処分する
1987 神社名義の土地の処分について
問 昭和初年からA神社名義で登記してある土地を現在処分すろには、誰がすぺきか。、なお、A神杜は、昭和14年当時の宗教団体法が施行された際に、嘱託による宗教法人の登記がなされないで現在に至つたものであり、Bが代つて納税その他管理をしている。(港区・N生)
答 所問の場合のA神杜は、昭和21年2月2日勅令第70号「宗教法人令中改正の件」附則第3項の規定による届出をしなかつたため、同第4項の規定により、同第3項の届出期間の満了の際に解散しているものと思われる(宗教団体法及び宗教法人令施行当降は、神社は登記を要する法人ではなく、右の勅令による宗教法人令の改正により登記を要することとなったのである。)。もしそうであるとすれば、右勅令付則第6項で代務者と看なされるものが法定清算人となるので(昭和21年9月6日民事甲第562号民事局長回答参照。)、右の者が当該土地を処分することとなる。
 なお、右の??による登記(例えば、売買による所有権移転登記等)の申請書には、法定清算人の資格を証する書面として、神社明細帳を保管している都道府県知事の証明書を添付することとなる。
神社明細帳時代に明細帳から削除された神社名義の不動産の処分
(六)問題 
 宗教法人令施行前で無格杜整理に際し神社明細帳から削除する旨の認可を受け神杜でなくなつたものが所有する既登記不動産は、神杜規則のない場合あるいはそれがあつても財産帰属の規定のない場合その不動産の帰属はどうなるか。(長浜提出)
決議 宗教法人令第14條の規定による。
新宗教法人への承継など

新宗教法人が承継する旧宗教法人所有建物の保存登記は県又は市町村県発行の所有権証明書を添付して非課税
宗教法人の所有に係る建造物の所有証明について
(昭和31年3月1日付文第143号栃木県総務部長照会、同年4月2日付民事甲第673号民事局長回答並びに各法務局長及び各地方法務局長あて通達)
 標記の件に関し、別紙甲号のとおり栃木県総務部長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したから、この旨貴管下登記官吏に周知方しかるベく最り計らわれたい。
(別紙甲号)
 旧宗教法人の所有に係る未登記の境内建物について、新宗教法人が法務局にその登記を申請するに当っては、知事が交付する登録税法施行規則第5條の7の規定による証明書のほかに、当該境内建物が当該宗教法人の所有物であることを証する証明書が必要であるといわれているが(宇都宮地方法務局調)境内建物が当該宗教法人の所有物であることの証明書を知事叉は市町村長において作成し、当該宗教法人に交付できるものであるか。
 もしできないとするならぱ当該宗教法人はどのようにすれぱ当該建物について登記をすることができるか。
 右のことについて別紙のとおり管下市町村長から照会があつたので右記事項について折り返し御回報たまわりたくお願いいたします。
別紙
第○○号
  昭和31年2月20日
        市町村長○○○
 栃木県知事 小川喜一殿・
   宗教法人の所有に係る建造物の
   所有証明について
    (照会)
 新宗教法人が承継する旧宗教法人財産の承継登記に建造物の所有証明を市町村長あて申請がありましたが、当該建造物は従来家屋台帳法の適用を受けず公簿に登録されていない為所有権を決定することは当を得ぬものと思料いたします。
 所有権は法務局で決定する事項であり、疑義のある場合登記官吏は現地について調査し、職権調査に基いて決定する権限を与えられているのであるから、市町村長の証明を要しないと思われまずので、該証明を拒否出来得るや否や御回示願いたく照会します。
 なお、本件については差迫つた事情もありますので折り返し御教示賜わりたく申し添えます。
(別紙乙号)
 本年3月1日付文第143号をもつて照会のあつた標記の件については、次のとおりと考える。
     記
一、宗教法人がもつぱらその本来の用に供する境内建物については、家屋台帳法の適用がなく(地方税法第348條第2項第3号、家屋台帳法第5条及び土地台帳法等の一部を改正する法律(昭和25年法律第227号)附則第2項参照)、従つて、その所有権保存の登記の申請については、土地台帳法等の一部を改正する法律(昭和25年法律第227号)附則第9項の規定により昭和17年法律第66号による改正前の不動産登記法第106条の規定(後記参照)が適用されるのであるが、同条第4号の規定による場合には、宗教法人法第5条の規定による所轄庁(文部大臣叉は都道府県知事)又は当該建物の所在地の市町村長の書面により自己の所有権を証する者から所有権保存の登記を申請することができる。なお、都道府県知事の交付する登録税法施行規則第5條ノ7の規定による証明書をもつて、右の所有権を証する書面に充てることもできる。
二、前項により了知されたい。
(参照)
不動産登記法(昭和17年法律第66号による改正前)抄
第106條未登記ノ建物所有権ノ登記ハ左ニ掲ケタル者ヨリ之ヲ申請スルコトヲ得
一建物ノ敷地ノ所有者又ハ地上権者トシテ登記簿二登記セラレタル者
二土地台帳謄本二依リ自己叉ハ被相続人力土地台帳ニ敷地ノ所有者トシテ登
録セラレタルコトヲ証スル者
三既登記ノ敷地ノ所有者又ハ地上権者ノ証明書二依リ自己ノ所有権ヲ証スル者
四判決其他官庁又ハ公署ノ書面ニ依リ自己ノ所有権ヲ証スル者
新宗教法人へ承継登記する際の登録免許税免除証明書ひな型
登録税法施行規則第5条ノ7の規定による証明書について
(昭和28年12月25日付文調宗大387号文部省調査局長照会、同29年1月9日付民事甲大20号民事局長回答)
 さきに租税特別措置法施行規則第17條の6の規定による証明書について照会しましたが、登録税法第19條第2号の6に規定する登記に係る同法施行規則第5條の7の規定による都道府県知事の証明書は、宗教法人法付則第18項の規定によつて承継した不動産に関する所有権取得の登記に限り、別紙様式のとおり記載したいので、貴見をお伺いします。
別紙
  昭和 年 月 目
都道府県知事 殿
 事務所 何都道府県郡市区町村大字何番地
       名称   何々
       代表役員・.........印
   証 明 願
 左記不動産は、右記宗教法人が宗教法人法附則第18項の規定により承継したものであって、且つ当該不動産は、当該宗教法人の境内地叉は境内建物であるから、右承継による所有権取得の登記の登録税は、登録税法第19條第2号の6の規定により免除されるものであることを御証明願います。
   記
一、何郡市区町村大字何番地、何番地及び何番地の土地
一、何郡市区町村大字何番地所在の木造茅葺平家建本殿
   (拝殿、本堂、会堂・...:)壱棟
一、何郡市区町村大字何番地所在の木造瓦葺弐階建社務所(庫裏、教職舎.........)壱棟
右を証明します。
 年 月 日
・・・・・・印
(回答)
 昭和28年12月25日付文調宗第38号をもって照会のあった標記の件については、照会にかかる様式により取り扱ってさしつかえないものと考える。
請することができる。なお、都道府県知事の交付する登録税法施行規則第5條ノ7の規定による証明書をもつて、右の所有権を証する書面に充てることもできる。
二、前項により了知されたい。
(参照)
不動産登記法(昭和17年法律第66号による改正前)抄
第106条未登記ノ建物所有権ノ登記ハ左ニ掲ケタル者ヨリ之ヲ申請スルコトヲ得
一建物ノ敷地ノ所有者又ハ地上権者トシテ登記簿ニ登記セラレタル者
二土地台帳謄本ニ依リ自己又ハ被相続人カ土地台帳ニ敷地ノ所有者トシテ登録セラレタルコトヲ証スル者
三既登記ノ敷地ノ所有者又ハ地上権者ノ証明書ニ依リ自己ノ所有権ヲ証スル者
四判決其他官庁又ハ公署ノ書面ニ依リ自己ノ所有権ヲ証スル者
宗教法人法附則18条により保存登記する場合は非課税
1848 旧宗教法人所有の境外地の承継による登記の登録税について
問 新宗教法人が宗教法人法附則第18項によつて、旧宗教法人から未登記の不動産を承継した場合、その所有権移転登記の前提として、旧宗教法人のためにする保存登記には、租税特別措置法第9条の6の規定の適用がないものと考えてよいか。また、既登記の境外地について、右権利承継の登記の前提としてする土地表示変更等の登記には、前記規定が適用されるか。
(黒滝・辻村生)
答 前段については、直接新宗教法人のために保存登記をすることができるのであり(不動産登記法第105条第1号参照)、従つて、その登記の登録税は、租税特別措置法第9条の6、同法施行規則第17条の6の規定により免除される(昭和30年2月22日付民事甲第356号民事局長通達参照)。後段については、適用されない。
宗教法人法附則第18条により農地(境外地)を承継した場合農地法の許可は不要
1978 農地法第3條の許可の要否について
問 宗教法人が宗教法人法附則第18項によつて農地(境外地)を承継した場合には、農地法第3條の許可を要するか。(愛知.S生)
答 所間の場合には、農地法第3条の適用がないものと考える。
旧宗教法人の時に贈与→新宗教法人に承継の場合登記はそれぞれ別々にする
1752 宗教法人法附則第18項の登記の取扱について
問 旧宗教法人令による宗教法人が同令による宗教法人に贈与を為し、さらに宗教法人法による新宗教法人に承継として1件の申請書で申請があつたのです。登記原因は左記のとおり。
 昭和22年8月27日贈与により甲より乙が最得したるを昭和27年12月23日承継 右の場合贈与による所有権移転と、承継による所有権移転とを別件とすべきではないでしょうか。
答 登記原因を異にするので、貴見の通り別件とすべきである。
旧宗教法人が新宗教法人となった場合不動産について承継登記を要する
1325 宗教法人令による宗教法人が宗教法人法による宗教法人となった場合における不動産について所有権移転登記の要否について
問 宗教法人令による宗教法人(旧宗教法人)が宗教法人法(昭和26年法律第126号)附則第5項の規定によつて新宗教法人となつたときは、旧宗教法人が所有していた不動産について新宗教法人名義に承継による所有権移転登記の申請を要するものと思いますがご教示ください。
 もし、要しないとすれば、その規定を示してください。
(参照、宗教法人法附則第18項)
(和歌山 西川生)
答 貴見の通り、権利承継の登記の申請を要する。

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